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優駿牝馬(オークス)の傾向と全頭診断

2021年の優駿牝馬(オークス)、神の馬ソダシの2冠はあるのか。
ルメールの5週連続東京G1無双なのか。

前半ではオークスで好走する馬の傾向分析。
後半では「血統×騎手×個体」の観点からオークス出走予定馬の全頭診断(50音順)をしていきます。
※ここで扱うデータは特に記載がない限り過去10年のデータとします

オークスで好走する馬の傾向

■過去10年のオークス3着以内馬の位置取り別成績

オークス位置取り別成績

3着以内に来た馬を位置取り別でみると、差し追い込み馬の勝利数が多く、
先行馬は2着が多いのがわかる。
オークスはスローになりやすいと言われるが、先行馬より差し追い込み馬が有利なのか?
しかし勝率、連対率、複勝率で見ていくと、差しと追い込みで差し馬の方が倍くらい好走率が高いことがわかる。
次に3着以内に来た馬を位置取り別で分け、その人気を見ていく。

■追い込み馬

オークス追い込み馬

4角10番手以下から3着以内になった馬は全て3番人気以内。1頭を除けば全頭が2番人気以内だった。勝利した馬も後に古馬相手でも大活躍した馬が多いのがわかる。このデータを見るとオークスで追い込んで好走するには、
出走メンバーで上位の実力がある馬でないと難しい
のではないかと思う。
なおかつ追い込んで勝った4頭のうち3頭はディープ産駒で、追い込んで3着以内になった10頭のうち5頭はディープ産駒でもある。

■差し馬

オークス差し馬

差し馬を見ていくと、追い込み馬とは違い比較的人気薄からも3着以内に
なっているのがわかる。追い込みほど人気上位でなければ好走できないわけではない。勝利した4頭のうち3頭がオークスの後にもG1を勝つ実力馬だったこともわかった。そして差し馬も10頭中4頭がディープ産駒と、ここでもディープ産駒が目立つ。

■先行馬

オークス先行馬

逃げ、先行馬は人気馬もそうでない馬も3着以内になっている。この中にディープ産駒は2頭だけと、差しや追い込みとは傾向が違うこともわかる。そしてこの10年オークスで先行した馬が勝ったのは2頭だけ。両馬とも鞍上ルメールで1番人気だった。
このデータを見ると逃げ先行は好走しやすいものの、勝ち切るまでは厳しいと思ってしまう。

ここまで見てきてオークスの全体傾向としては、逃げ先行馬が多いものの勝ち馬は差し、追い込み馬から多く出ており、それらの多くが強いディープ産駒G1を複数勝つような馬が多いことがわかった。
次に種牡馬別での成績とディープインパクト産駒を深堀していく。

■過去10年のオークスで3着以内馬を出した種牡馬別成績

オークス種牡馬別

種牡馬ごとの傾向と、同じ種牡馬の中でどういう馬が馬券になったかどうかを見るために上のようなデータからドリルダウンしていくことが多い。

これを見るとディープインパクト産駒の成績が圧倒的
1着馬~3着馬がそれぞれ2頭以上なのもディープ産駒だけで、他の種牡馬ではこの10年で2連対以上しているのがハーツクライ産駒だけという、かなり偏った結果となっている。
ダービーや桜花賞、秋華賞、マイルCSも得意なG1だが他の種牡馬に対しての3着以内占有率という意味ではオークスが一番だ。

しかし注意しなければならないのは勝率、連対率、複勝率で、馬券にならないディープ産駒も多くいることが分かる。
とても当たり前のことを言っているようだが、ここを分析することでどういう馬が好走するかのヒントを得られる。

ディープ産駒でも馬券になる馬とならない馬の違いは何なのか。
またこれだけディープ産駒が上位を独占する中で、ディープ産駒以外で勝利した馬はどういう馬だったのか。
普段そういう視点でデータ分析をしている。

他にも着目すべきデータはあるが全てをnoteへ書くには時間が足りないし、色々なファクターを見すぎるのも良くない。
その辺りはいつか競馬Youtubeをやれる時が来たら語っていきたい。
今回はディープ産駒とそれ以外の産駒が好走した傾向分析からオークスを紐解いていく。

オークスでのディープ産駒を分解すると、前走の上がり3F順位で特徴的なデータがある。

■ディープインパクト産駒 前走の上がり3F順位別成績

オークスディープ前走上がり

上記の通りディープ産駒でオークスを勝ったのは前走上がり3Fで3位以内だった馬のみ。このデータを前走OPクラス以上に絞ると上がり3F3位以内だった馬は14頭いて、その複勝率は57.1%。

そしてなんとノーザンファーム生産馬に限るとその複勝率は100%になる。
逆にそれ以外の牧場生産馬は複勝率0%となっている。
凡走した馬の中には人気馬も多く
1番人気 マルセリーナ
2番人気 レッドオーヴァル、デゼル
3番人気 アユサン、サトノワルキューレ
などが人気を裏切る結果となった。
これは育成方法の違いがオークスで勝つディープ産駒になるかどうかを分ける決め手になっているのかもしれない。

また気づきにくいデータだが注意しておきたいのが、ディープ産駒で前走OPクラス以上で上がり3F3位以内だったノーザンファーム生産馬も前走の3角で12番手以降だった馬は好走止まりで勝ちきれないということ。
このパターンでは1番人気でハープスターとデニムアンドルビーが惜しくも勝利を逃している。
これは連続して追い込んで勝つことが馬に取って負担であり、このコースではそれが不利になる。そして本質的にはオークスが追い込み向きではないレースであるということを示している。

■ディープ産駒で前走上がり3F4位以下

前走上がり3F4位以下のディープ産駒はオークスで来れても2着までで、前走上がり3F6位以下だった馬は1頭しか馬券になっていない。
この1頭は前走桜花賞で9着までを差し追い込み馬が占める中、ただ1頭先行してジェンティルドンナの2着に入ったヴィルシーナだ。

さらに前走上がり3F4位~5位で2着に入った馬を見ていくと、2頭(カレンブーケドールとエバーブロッサム)とも前走東京芝のOPクラス以上で1着か2着かつ先行していたことがわかる。

速い上がり実績のないディープ産駒でも、レベルの高いG1か東京芝OP以上で先行して馬券になれる力があればオークスで通用する可能性がある。
そしてそれらの馬はオークスで必ずしも先行する必要はなく、中段につけれればディープ産駒のコース適正と能力で好走することができる。

今回は前走上がり3F3位以内のディープ産駒も、前走G1で先行して2着以内or東京芝OP以上で先行して2着以内というディープ産駒の好走条件に当てはまる馬が出走しない

ディープか、ディープ以外か。

俺か俺以外か

過去10年のオークス1着馬をディープ産駒とそれ以外の産駒とで分けると違いが見えてくる。

ディープ産駒のオークス1着馬
2012年3番人気 ジェンティルドンナ 4角 15番手 上がり3F1位
2015年3番人気 ミッキークイーン  4角   9番手 上がり3F1位
2016年1番人気 シンハライト    4角 14番手 上がり3F1位
2019年1番人気 ラヴズオンリーユー 4角 10番手 上がり3F1位

ディープ産駒以外のオークス1着馬
2011年7番人気 エリンコート    4角  6番手 上がり3F4位
2013年9番人気 メイショウマンボ  4角  7番手 上がり3F1位
2014年2番人気 ヌーヴォレコルト  4角  8番手 上がり3F3位
2017年1番人気 ソウルスターリング 4角  2番手 上がり3F3位
2018年1番人気 アーモンドアイ   4角  5番手 上がり3F1位
2020年1番人気 デアリングタクト  4角13番手 上がり3F1位

ぱっと見で大きな違いがあり、ディープ産駒は4頭すべてが上がり3F1位。
4頭中3頭が4角の位置取り10番手以下。ディープ産駒以外の馬は上がり3F1位が6頭中3頭で、4角の位置取りは6頭中5頭が9番手以内。この違いはどこから来るのか。ディープ産駒でオークス1着になった4頭は前走OPクラス以上で上がり3F3位以内のノーザンファーム生産馬
これはディープ産駒の黄金パターンだが、他の種牡馬が勝った時のオークスではどうだったのか。

2011年勝ち馬エリンコート    黄金パターン 出走無し
2013年勝ち馬メイショウマンボ  黄金パターン デニムアンドルビー3着
2014年勝ち馬ヌーヴォレコルト  黄金パターン ハープスター2着
2017年勝ち馬ソウルスターリング 黄金パターン 出走無し
2018年勝ち馬アーモンドアイ   黄金パターン 出走無し
2020年勝ち馬デアリングタクト  黄金パターン 出走無し

なんと6回中4回で、黄金パターンのディープが出走無し
残りの2回も好走止まりになりやすいと前述した、前走追い込みのディープ産駒だった。つまりディープの黄金パターンに該当する馬がいない場合は、ディープ産駒以外が勝つということになる。
このデータとディープ産駒以外の勝ち馬の4角位置と上がり3Fの傾向、ディープ産駒のオークス馬券内独占率の高さから何とも言えない違和感を感じ、ディープ産駒登場前のオークスについても調べてみる事にした。

■東京コース改修後~ディープ産駒登場前のオークス(2003年~2010年)

この8年間のオークスを見てみると連対した16頭中、この4頭だけがオークスで4角10番手以下という共通点があった。
スイープトウショウ 
シーザリオ
ブエナビスタ
アパパネ

逆に言うと、残りの連対馬12頭はオークスで4角9番手以内の馬ということ。
このオークスで10番手以下から連対した4頭は、いずれも明らかな名馬。
ディープ登場以前のオークスはこのレベルの馬でないと4角10番手以下から勝利することは出来なかった。というよりもオークスのコース特性としては本来そうなのだろう。ディープ産駒の中で特別な上位馬(黄金パターン)は、圧倒的な能力と適性で本来前が有利なオークスを差して勝ってしまう。
そしてこの黄金パターンに該当する馬がいない年は、必然的に前に行く馬にチャンスが出てくるということだ。

今年のオークスは

長々と書いてきたが、今年のオークスは黄金パターンに当てはまるディープ産駒が不在。本来のコース傾向通り、4角9番手以内で競馬できる馬にとって有利なレースになるだろう。そして黄金パターン以外でのディープ産駒好走ポイントである、前走G1で先行して2着以内or東京芝OP以上で先行して2着以内というディープ産駒も出走しない。
これは今年の勝ち馬がディープ産駒以外から出る可能性が高いことを示している。

全頭診断(50音順)

アールドヴィーヴル

■血統
母系からは4代前のバレークイーンにトニービン、シンボリクリスエスとスタミナ色を強く感じる。
そこにディープで締めがキンカメだから普通のイメージならG1で通用するスピードとキレがありそう。この馬に関してはある程度期待しているが、父キンカメ×母父ディープはお互いの良いところを打ち消しあっている気がする。
この父×母父で今まで重賞勝ちはブラヴァスの1回のみ。2着は8回と多く、重賞での連対率は33.3%。
またキンカメ牝馬でG1勝ちはアパパネとレッツゴードンキの2頭だけ、2着3着になった馬は11頭。牝馬はG1で突き抜けられない傾向がある。この馬も東京2400で突き抜けるほどとは思えない。
厳しめのことを書いたが、父キンカメ×母父ディープの中では良い馬だと思う。

■騎手
松山はこの1年で確実に自信をつけていて過去のデータでは語れない。さらに去年のオークスはじめ東京G1でも実績はあり、その馬に合わせた競馬が出来るタイプ。
このコースの成績も良く、東京芝2400は9番人気以内の馬だと複勝率45.5%。
馬体重の軽い馬はデムーロだと出遅れしやすいので、この乗り替わりはプラス。

■個体分析
クイーンカップで見せた末脚から東京は向いているが今回後ろすぎると厳しそう。松山ならここは少し前目のポジションを取るはず。今年のメンバーで抜けた馬はいないので、この馬も馬券内の可能性はある。マイルより中距離の方が合いそうで、この条件は相対的に良さそうだし、2走連続で減っている馬体を戻せるかが重要な鍵。
評価:B
3列目の押さえまで

アカイトリノムスメ

■血統
父ディープインパクト、母アパパネという12冠ベイビーだが、全兄たちはG1レベルでは無かった。
牝馬だからなのか兄たちに似ず440キロ台と馬体は大きくない。それが良かったのだろう、既に重賞を勝ちG1でも好走している。父ディープ×母父キンカメは活躍馬が多そうだが、この馬以前に重賞を勝ったのはデニムアンドルビーとワグネリアンの2頭のみ。くしくもこのコースで活躍した2頭だが、さらに共通するのは450キロ前後の馬だということ。(最近のワグネリアン不調は成長で馬体重が増えたから)
父ディープ×母父キンカメは馬体重460キロを超えると成績が悪くなる。というかこの組み合わせ自体が逆ニックスで、大きすぎない馬体に出た時だけディープの良さが削がれることが無いのだと思っている。

■騎手
ルメールは現在のJRAで東京芝の中長距離が一番上手い騎手。ここは逆らってはいけない。どういう理由で横山武史から乗り替わったかはわからないが、この乗り替わりは間違いなくプラス。
先行か中段前目で直線押し切るルメールの勝ちパターンが既にイメージできる。さらに重要な事実はこの馬の馬主がソダシと同じ金子オーナーで、もう1頭の持ち馬にわざわざルメールを乗せてきたということ。

■個体分析
正直な印象としてはG1を何勝もするタイプには見えない。地味だが堅実な感じは母アパパネ似。アパパネはG1を5勝しているが、3歳までは相手に恵まれたのもあるか。
この馬も今回相手に恵まれたかもしれない。
東京で3連勝しているとおり東京向きだと思うが抜きん出た末脚があるわけではないので、上手く流れに乗れる騎手じゃないと好走しても勝つのは難しい。そういう意味ではマイルよりこの距離が良い。桜花賞で先着された相手はマイル向きでもあり、ここで騎手ルメールを考慮すれば十分に連対以上はある。
評価:S
現時点では対抗

ウインアグライア

■血統
父マツリダゴッホは芝中距離G1で求められる適性とずれる印象。母父もロベルト系ではあるが短距離志向で母母父のウッドマンでさらに短距離色が強まっている。既に好走しているとおり少頭数のOPまでなら今後も活躍の余地がある。平坦洋芝の1800で勝ったコスモス賞やこれも少頭数で重馬場の若駒Sなどクラシックとは違う適性を要求されるレース向き。今回は馬場が渋っても出番はなさそうだ。

■騎手
和田竜二は長距離の上手い騎手で阪神や京都の長距離でこそだが、オークスでも穴を開けているしこの前の青葉賞でも勝っている。ただ今回この馬でどうこうは出来ない。極端な枠順でない限りは先行か中段前目につけるだろう。

■個体分析
血統の項目でほとんど言ってしまったが、多頭数の中長距離G1で馬券になれるタイプではない。
若駒Sで牡馬相手に勝っているのが評価されるかもしれないが、ここで求められる適性は別物。
評価:D
今回は厳しい

エンスージアズム

■血統
父ディープ×母父ストームキャットは活躍馬多数で、マイルから中長距離の重賞で活躍できる血統。その点だけ言えばアカイトリノムスメより良い。
ただ同じ組み合わせの活躍馬は牝馬でも440キロ以上の馬が多く、それらと比べると現状は馬体が寂しいと感じる。この血統の良さが発現されていない印象。

■騎手
岩田望来はデビュー時点から良い馬に乗っているがまだ重賞勝ちはなく、周囲の期待とのギャップは感じる。ただ実際のところ重賞で確勝レベルの馬に乗っていたわけではない。OPレースも勝ち星がなかったが5月に入って2勝2着1回と一皮剥けつつある印象。
強い馬で先行か中段前目でレース出来れば結果を残すタイプで、少し期待されていた頃の三浦に似ている気がする。このレースでのプラス要因は特にない。ここは中段前目くらいのポジションか。

■個体分析
血統のところでも触れたがやはり馬体が小さい。現状見せているパフォーマンスからも特にこのレース向きなところがないが、1800重賞で好走できているので相対的にスタミナはある。
評価:C
今回は厳しい

クールキャット

■血統
父スクリーンヒーロー×母父ダンスインザダークで中長距離向き。母メジロトンキニーズはダイヤモンドS2着馬でスタミナもあり東京コースで走る馬だった。母系は当然メジロ縁の血統でスタミナ色が豊か。中距離重賞で活躍したトリオンフの半妹でもあり、この時点の牝馬としては相対的にこの距離は向く。

■騎手
ルメールでないとすればここで武豊はベストチョイス。長い距離での折り合いはまだまだ他の上位騎手にも負けない。と思いたいが、直近3年の芝2400以上重賞の成績は複勝率22.4%と良くない。馬質のせいもあるが特に東京2400の成績は悪く、こういうタイプの馬なら内回りコースで先行させるような時の方が良さそう。個人的には期待したいが。。

■個体分析
東京ではアルテミスSこそ5着になったもののスタミナの問われないレースだったし、大幅馬体増でもあった。東京で他の2戦は勝利している。ディープ産駒などと比べ瞬発力はないものの、中長距離でのスタミナはある。それを活かして折り合って先行出来ればだが、前走からの上積みは少ない印象。
評価:B
3列目の押さえまで

ククナ

■血統
アールドヴィーヴルと同じく父キンカメ×母父ディープ。
母は桜花賞2着、オークス3着のクルミナル。
東京コース自体は向きそう、母はマイラーだったはずでこの馬も悪くないがマイルでも勝ちきるまではいかない。忘れたころに1800から2000の牝馬限定G3で好走しそう。

■騎手
藤岡兄は数年前から急に安定感が増したものの、G1での成績はそれほどでもない。良くなった部分が以前より先行を意識するようになったからで一発がある部分が強まったわけではない。ここでこの馬に乗って好走に繋がるシナジーが生まれるとは思えないが、万が一先行するなら少し楽しみ。
全部書き終わってから騎手が横山武史に乗り替わるのに気付いた。。
武史は東京芝2400の実績がかなり悪いが、ここ1年で急激に成長してきた騎手だしこのコースで良い馬に乗っていたわけではない。
騎手のタイプ的に前目につけることが多いタイプで、この乗り替わりは好意的に受け止めたい。

■個体分析
母クルミナルを1.5段階落としたような印象。これは血統の問題が大きいが、騎手のせいもあるかもでルメールや藤岡兄のようなタイプより母の主戦だった池添の方が良さが出るかも。
クイーンカップでは中段からの競馬をしていたし、末脚にこだわらず、先行するくらい思いきればあるいは。。
この血統としては大き過ぎず、小さ過ぎないことはプラス。
※追記、武史に乗り替わりで3列目の押さえに追加
評価:B
3列目の押さえまで

スウィートブルーム

除外対象

ステラリア

■血統
父キズナ×母父モティベーター
母父ノーザンダンサー系のキズナは活躍馬が多く、欧州系ノーザンダンサーの血が濃くなるとディープボンドのように長距離でも活躍している。この馬も牝馬クラシック路線なら相対的にスタミナは上位の可能性が高い。

■騎手
この馬で2、3着以内に残る可能性が高いという意味で川田は合っていそう。5戦連続最速上がりの馬だが、例年スローになるオークスでは川田の先行力が活きる。前に行き過ぎると最後に差されやすくなるが今回のメンバーでキレキレの馬は少なく、後ろから強力な末脚で差してこれる馬は見当たらないのでこの馬としてもある程度前目で競馬して差し競馬が出来れば。

■個体分析
血統だけでなく、クイーンカップと忘れな草賞の結果からも重賞レベルでは中距離以上の方が向く。ベゴニア賞でキングストンボーイからタイム差無しの2着と力は見せていたし、前走がOPで間隔も十分なので疲れが無い状態。
血統から推測される能力と騎手の特性、実際に見せているパフォーマンスを考慮すると今回はチャンス。
評価:S
現時点では本命

ストライプ

■血統
父ルーラーシップ×母父ダイワメジャー
母系にカーネギーがありスタミナがありそうだが、現状では母父ダイワメジャーの影響が強く出ている印象。ただ母グレイスフラワーはダイワメジャー牝馬としてただ1頭の芝2400勝ち馬。母は左回りで緩い坂の東京、平坦の新潟が得意な馬で、ストライプも阪神から東京替わりで見直せる。
父ルーラーシップはこのコースでの成績が悪くなく、今年の青葉賞もワンダフルタウンが征している。今回のメンバーには強いディープ産駒がいないので相対的にこの馬の血統に秘めたスタミナに期待をしたくなる。

■騎手
鞍上は乗り替わりで柴田善臣。クラシックでの騎乗は3年ぶり。そしてストライプの母グレイスフラワーに東京芝2400を勝たせた主戦騎手が何を隠そうこの柴田善臣だ。クラシックで馬券になった7回のうち4回が東京芝2400でそのうち3回がオークス、このコースでの逃げ先行は得意なのでここは思いきって前にいったら面白い。
ストライプと母グレイスフラワーは同じ馬主さん。ここでこの騎手を乗せてきたのは素直に応援したい。

■個体分析
この馬は桜花賞の本命にしたが13番人気12着。1枠から好スタートするも後ろに下がってしまいその後伸びてくることは無かった。強い内容だったクロッカスステークスでは最速上がりも使っているが、本質的にマイルで最速上がりを使えるタイプではないので先行するべきだった。2走して両方好走している東京に舞台が移るのは良く、血統背景からも面白い。
評価:B
穴馬候補(ロマン的な要素多め)

スライリー

■血統
父オルフェーヴル×母父ディープインパクト
母父ディープインパクト産駒で、父がサンデー系という馬で重賞に出走しているのはこの馬だけ。サンデーサイレンスの3×3というクロスを持つ。
母も母母も小さい馬で、そこに同じサンデー系で小さめのオルフェーヴルというのはそれほど良いとは思えない。
オルフェーヴル産駒で重賞で活躍している馬は460キロ以上の馬が多く、それ以下の馬体重で重賞で馬券になったのはこの馬が初めて。母系がフォーティナイナー系やミスプロ系で活躍馬が出やすいのも馬体が大きく出やすいこともありそう。

■騎手
石川裕紀騎手は逃げ先行の成績は悪くない、思いきりは良いタイプ。東京で重賞勝ちはなく、距離別成績でも1800以下の方が良いタイプ。特別強調できる点はないが前走同様に先行させるとは思う。

■個体分析
前走は前が有利な流れを先行し2着。先行した時は全て馬券になっている。血統のところでも触れたが走るオルフェーヴル産駒のパターンではなく、前回の好走から上積みはなさそう。過去のレースぶりからも期待は出来ない。
評価:D
今回は厳しい

スルーセブンシーズ

■血統
父ドリームジャーニー×母父クロフネ
この組み合わせはドリームジャーニー産駒の中では活躍馬が多い。オルフェーヴルと違い馬体が小さくても走る馬が多く、この馬も小さいがそれは気にしなくて良さそう。先週トゥラヴェスーラが激走した東京芝1400は東京コースの中でも持続力が必要なコースだからか成績が良いが、ドリームジャーニー産駒自体は小回りの方が合うタイプで東京芝の成績は悪い。オークスで求められる適性とは違うタイプだと思う。

■騎手
戸崎騎手は関東では安心して任せられる騎手。2400の重賞では勝ち星がなく、マイル近辺での距離の方が成績は良い。乗り馬が決まる優先順位の問題でルメールが乗り捨てた馬に乗るケースも多いが、力の足りる馬に乗せれば結果を残す。この騎手が乗る事自体はプラスだが。

■個体分析
全3戦を中山で使っている馬で、好成績は残しているものの血統傾向からも東京芝2400は向かない。OPクラスの実績もなくここで強調できるポイントは少ない。中段後ろくらいの競馬になりそう。
評価:C
今回は厳しい

ソダシ

■血統
父クロフネ×母父キングカメハメハ
母母父にサンデーサイレンスがあるのは良いが、母父のキンカメで短距離やダート志向が強まっている印象。クロフネ産駒は芝2000以上の重賞で勝ち星がなく、このコース向きではない。ホエールキャプチャがオークスでも3着に入っているが、母父サンデーサイレンスの馬でオークス時点では450キロ程度の馬体だった。クロフネ産駒が牡馬で芝重賞活躍馬が出づらいのも、長距離で活躍できないのも馬体の大きさが関係している影響がある。
ソダシはホエールキャプチャと比べ母系もダート色が濃く、馬体重も470キロ超えと大き目。ホエールは速い上がりを使えるタイプだったし、ソダシとは違うタイプ。ソダシはオークスで求められる適性とは血統的にずれている。

■騎手
吉田隼人騎手は美浦所属のジョッキーながら主戦場を関西中心のローカルに移している。ここ数年はローカルの帝王となっており、そこで得た信頼から今はノーザンファームの人気馬を任せられることも増えてきた。芝2400の成績は悪くなく、東京でも複勝率は悪くない。ソダシとは手が合っているが、今回は先行しても距離が持つかどうか。ソダシ自体が溜めて伸びるタイプでないことは理解しているはずなので、ここは今まで同様に先行するはず。

■個体分析
クロフネ産駒で桜花賞を勝ったのは初だし、1800の新馬と札幌2歳ステークス含めて5連勝なのでどこまで強いか底を見せていない。血統傾向を破ってくる可能性もあるが、かなり厳しいとは思う。2000年以降で競馬の常識を超えてきた馬はディープインパクトだけ。同じ馬主の2番人気馬にルメールが乗り替わり騎乗することもありここは強調しづらいところ。
評価:C
今回は厳しい

--ここから枠順確定後に書いてます--

タガノパッション

■血統
父キングカメハメハ×母父シンボリクリスエス
母母がステイゴールドの全妹でスタミナを感じさせる配合。血統的にはG1で通用するレベルにはあると思うが、血統傾向的にはかなり厳しそうなローテーション。前走がOPクラスということで重賞より疲れは少ないと思うが、G1で勝ちきれないキンカメ牝馬ということもあり、頑張っても好走止まりか。

■騎手
岩田康誠は東京芝2400のG1で5勝していて、オークスで前走1着馬に騎乗だと複勝率は50%。力がある馬なら持ってくる可能性が高い。1枠か2枠に入った場合の成績は複勝率44.4%と高くこの枠はプラス。

■個体分析
前走のスイートピーSは中段から最速上がりで0.3差勝利と強い内容。2着だったアラビアンナイトも前々走でレイモンドバローズの2着があり弱い馬ではない。前走OPで重賞出走したことがないこともあり人気薄だが、今回のメンバーであれば3着以内に来ても不思議ではない。
血統のところでもG1で通用できる可能性があると書いているが、ここで勝ち切れるタイプではないこと、ローテの不安もありここは頑張っても2着止まりだと思う。
評価:A
2着までならある

ニーナドレス

■血統
父ハーツクライ×母父クロフネ
この配合からはオークスで3着だったアドマイヤミヤビやチェスナットコートも出ており悪くない。全兄のサラトガスピリットも1600万条件ではあるが芝2400で勝利している。ただハーツクライ産駒らしく、この時期に一気に力がつくとは考えづらく重賞で活躍するとしたらもう少し先になりそう。

■騎手
藤岡康太
差し、追い込み競馬をすることが多く追い込んで届かないことが多い。東京芝2400に乗りなれているわけでもなく、オークスで力が足りない馬が好走するための騎乗は出来ないだろう。

■個体分析
デビュー2連勝しており、速い上がりも使えている。血統的には悪くないがここでは力が足りないと思う。先々ハーツクライの晩成の血が覚醒してくれば重賞でも走るようにはなるかもしれない。
評価:D
今回は厳しい

ハギノピリナ

■血統
父キズナ×母父アドマイヤムーン
母父ミスプロ系のキズナも母父ND系のように活躍馬が多い。距離的には2000くらいが一番合っていそう。

■騎手
藤懸貴志
岩田父との件ばかりが目立っているが、オークス騎乗に関して目立ったプラス要素はない。タイプ的には先行から中段くらいの競馬はしそうでその点は悪くない。

■個体分析
父キズナ自体はオークスは合っていると思う。前走も条件戦ではあるが上がり3F2位だったし、阪神2200を勝っているのでスタミナはある。ただ現時点で見せている力を考えるとここで馬券になるのは厳しい。
評価:C
今回は厳しい

パープルレディー

■血統
父ディープインパクト×母父ホワイトマズル
全兄にカツジとミッキーグローリーがいる血統で、この父母父の組み合わせからはスマートレイアーも出ている。これらの馬の名前を出しただけで東京芝2400とはずれている印象。G1で活躍するディープ産駒が持っているキレが無い血統。

■騎手
田辺裕信
それなりの人気馬に乗ることもあるが、このコースの重賞で3着以内になったことは1回しかない。今までの戦績から中段か後ろ目の競馬をしそうで、そうなったらキレるディープ産駒ではないので好走はできない。

■個体分析
血統と騎手タイプのところで書いた内容からもオークス向きではない。前走までに見せているパフォーマンスからもここでは通用しないと思う。
評価:C
今回は厳しい

ファインルージュ

■血統
父キズナ×母父ボストンハーバー
母父ボストンハーバーのイメージからここでは距離が長そうだが、母母父がダンスインザダークでさらにその母系も短距離向きとは言えず、3歳牝馬ならキズナが持っている相対的な長距離適性が活きそう。

■騎手
福永祐一
最近このコースの重賞で牝馬の人気馬に乗っていないが、オークスは3勝しており、6番人気以内の馬だと7回中5回3着以内になっている。
長距離ほど騎手の腕が重要で、もちろん乗る馬が強ければ好走確率は上がる。ファインルージュが既に見せている強さを考えるとここは期待したい。

■個体分析
マイルで強さを見せていることからオークスで勝ち切る力があるかどうかまでの不安は少しある。ただ中段から前目につけて早い上がりが使えるタイプで、考えて乗る福永ならそういう競馬をするだろう。今回のメンバーなら十分3着以内はあると思う。
評価:A
2着までならある

ミヤビハイディ

■血統
父エピファネイア×母父ハーツクライ
この組み合わせはエフフォーリアと一緒。血統構成的には重賞で活躍できるレベル。

■騎手
吉田豊
馬群の中で上手い騎乗をすることが少ない騎手で、後ろからという競馬が多い。今回も外目の枠で前にいくとは思えず4角10番手くらいの競馬をしそう。

■個体分析
血統レベルは悪くないが、エピファネイア産駒自体は急激に力をつけるというよりも早い段階である程度の力を示している馬でないと重賞レベルにならないと思う。この馬は既に5走しており、現在見せているパフォーマンスを考えると重賞レベルとは言えない。
評価:D
今回は厳しい

ユーバーレーベン

■血統
父ゴールドシップ×母父ロージズインメイ
母母がマイネヌーヴェルで実にマイネルらしい血統。ゴールドシップ産駒は母父ロージズインメイや母父ブライアンズタイムの成績が良いが、重賞クラスになるとそうでもない。今後出てくるかわからないが、オルフェーヴルでいうフォーティナイナー系のような組み合わせではないと思う。
本質的には速い上がりの競馬よりも力のいる馬場の方があうタイプで、阪神ジュベナイルフィリーズはまだ2歳ということもあり差してこれたが、オークスで速い上がりを出して好走というのは厳しそう。

■騎手
ミルコデムーロ
過去10年東京芝2400の重賞で1~2番人気だと複勝率100%。ただ勝てたのは1番人気の時だけで、力が抜けている馬だった。強いディープ産駒やドゥラメンテのような圧倒的に抜けた馬でないと、後ろからいって掲示板ということになりやすい。ゴールドシップ産駒の特性的に今回速い上がりで好走できるとも思えず、後ろからいくなら大負けもありえる。

■個体分析
桜花賞除外になった時点でトライアルで好走してオークスに出てくれば面白いと思っていた。ゴールドシップ産駒はある程度叩いて好走している時の方が成績が良いからだ。ただ相変わらず後ろから行く競馬をしており、今までと同じ競馬をしたらここでは掲示板も危うい。今回レベルの高いオークスではない可能性があるが、この馬自体もここがベストのコースではなく難しいレースになりそう。
評価:B
3列目の押さえまで

評価まとめ

Sランク
アカイトリノムスメ
ステラリア

Aランク
タガノパッション
ファインルージュ

Bランク
ククナ
クールキャット
ユーバーレーベン
ストライプ
アールドヴィーヴル

Cランク
スルーセブンシーズ
パープルレディー
エンスージアズム
ソダシ

Dランク
ウインアグライア
ハギノピリナ
ミヤビハイディ
ニーナドレス
スライリー

枠順出て、ステラリア大外はテンション下がった。。
ここはルメールが勝っちゃうかもしれない。

一応前日発売で当たったら帯になるよう買ったけどオッズ下がってきて微妙。

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