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サウナが好きだけど、サウナに殺されかねない

昨今はサウナが大ブームを巻き起こしている。

もちろんそれまでもサウナが好きという人はいたんだけど、どちらかといえば日陰の趣味だったはずだ。思うにサウナは根本的に自己完結型の趣味であり、他者と交わる事が無いのでシェアー力・爆発力に欠けていた面があったのだろう。

それが「サ道」であったり、サウナメディアの充実によって一気に表層まで引き上げられてきた。それに追従するように池袋「かるまる」や東久留米「スパジアムジャポン」といった大型サウナやスパが続々オープンし、静岡の「サウナしきじ」のような昔からある知る人ぞ知るサウナにもスポットが当たりだした。

サウナは今や立派な趣味の一つに昇華した。そして、僕も胸はってサウナが好きだ、と方々に言いふらしている。

元々実家の近くにスーパー銭湯がいくつかあり、子供の頃よく父親に連れられて行っていた。当時はあまりサウナに興味が無かったが、大学生になって再びスーパー銭湯に行くようになりものは試しとサウナに入ってみるとこれが暑いだけなのにとても心地よい。自分の身体から汗が吹き出し、肌がジリジリと焼けつくような感覚。その後水風呂に入ると開ききった毛穴が一気に凝縮し脳が瞬時に覚醒する。これはまさにサウナでしか味わえないものだ。その魅力に気がついてからは月に2~3回サウナに通うようになった。


でも、サウナに入ると健康になる!だからサウナに入れ!と吹聴するつもりはない。他ならぬ僕がサウナに「殺され」かかっているからだ。

僕は風呂に入ると特に動悸がキツくなるタイプだ。詳しい原因はわからないが体温が上昇する事によって血流がよくなり、その分心臓に負担がかかっているのだろうが、人よりあまり心臓が強くないのだと思われる。

で、その点で言えばサウナは自殺行為に近い。100度にも達する空間の中にいると強制的に血流が良くなる。だがその分心臓を酷使するため、サウナから出る頃には心臓がバクバクと悲鳴を上げることになる。

そして水風呂に胸まで浸かり、急激に身体を冷やすのである。医学には明るくないが、この行為が健康に良くないことぐらいはわかる。


心臓の鼓動はSOSで、僕は常にこれを無視している。そのツケが回ってくる日がいつか来るのだろうか。でも、それを気にしてサウナに行けなくなる方が嫌だ。 

かの北大路魯山人は美食家としても高名であり美味しんぼの海原雄山の元ネタになった人物だが、生焼けの貝を食べ過ぎたことで肝吸虫に寄生されてしまい肝硬変になって死んだと言われている(諸説ある)。

まさに美食を追い求めたが故に死んだと言えるだろう。でも、死の間際になって「やっぱり生焼けの貝はやめておけばよかった」と少しは思ったかもしれないが、後悔まではしなかったのではないだろうか。

生焼けの貝を食べることが魯山人にとって代え難い美食であり、それを行っている間の幸福は常人が想像できる範囲を超越していただろう。その時点での幸福を思えば、死ぬことなんて別に大したことではない、はずだ。


死を気にしてサウナに行けなくなるなんて死ぬより最悪な事だ。「生きている内が花」とは言うけど、どうせ明日スーパービッグデッカイ隕石EXが降ってきたら皆死ぬのだから、生きている内にやりたいことをやっておくのは間違っていない、はずだ。なんかTwitterの起業家みたいな事言っちゃった。恥ずかしい。





終わり


(画像は池袋の「かるまる」。男性専用サウナだけどめっちゃ最高のサウナだから皆行ってみてね。レディースデイもその内やるらしいよ)

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