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単勝馬券を攻略する~完~

はじめに

 2021年末にtwitterに登録し、2022年から本格的に予想配信を始めました。
有料配信をした期間もありました。お買い上げいただいた方、参考にしていただいた方、ありがとうございました。

 ここ最近、生活環境の変化からロジック研究に充てる時間が確保できずにいました。深夜までデータとにらめっこしてロジック構築してた時期が、一番楽しかったかもしれません。一定の成果を出せているとはいえ、進歩の無いロジックを使い続けて予想配信を続けるモチベーションが保てないので、このあたりでゲームクリアにしておこうかなと思います。

 競馬ファンを辞めるわけではなく、今後を楽しみにしている馬もいるので、競馬自体はこれからも引き続き追いかけようと思います。

 というわけで、私の使っていたロジック、大切に育て上げてきましたが、もう使うこともないので記事にしておきます。

単勝馬券を攻略する

推奨馬抽出ロジックを簡潔に説明

私が推奨してきた馬を簡潔に説明します。
以下のファクター全てに当てはまる馬を抽出し、推奨していました。

新馬戦以外
・前走から次走勝ち上がりが2頭以上いる
・前走と今走が同クラス
・前走9着以内
・追切単走、もしくは併せ馬で後着していない
・追切で加速ラップを記録している

新馬戦
・1,600m以上
・牡馬
・追切で坂路を使用し、加速ラップを記録
・追切単走、もしくは併せ馬で先着

以上です。ずっと隠し続けていましたが、いざ文章にするとこんなに短くまとまりました。極力、対象馬が多くなり、なおかつ成績が良くなるように作り上げたつもりです。過剰に最適化しすぎないよう、極力シンプルにすることを心がけました。

レースを見る目に自信がないので、毎週の予想に主観は一切入らないようにしています。予想をするために過去のレース映像を見ることもありません。

採用ファクターの説明~前半~

まずは新馬戦以外、障害含めすべてのレースで採用しているロジックについて。

・前走から次走勝ち上がりが2頭以上いる
 いわゆる前走レースレベルを簡単に測っています。前走から次走勝ち上がりが多数いるレースの5着と、次走勝ち上がり0頭の5着では価値が違います。データさえあれば簡単に抽出できますが、出馬表をパッと見ただけでは分かりにくいデータなので、このデータだけでもまだまだ戦えると思います。

 これ、競馬予想する人には割と浸透している考え方かと思いますが、私のロジックの根幹を支えてくれたファクターです。
 私の場合は勝ち上がり2頭をCランク、3頭をBランク、4頭を…のようにランク分けしていましたが、後から成績を確認するためにランク分けしていただけで、勝ち上がりが2頭以上いれば推奨馬候補にしていました。

 レースのラップだとか、展開、有利不利を見極めることができれば、もう少し精度の高いレースレベルを判断することも可能かもしれません。私の場合は極力手間を省きたかったので、次走勝ち上がり頭数で判断することにしました。次走以降の勝ち上がりも、めんどくさいので考慮していません。

・前走と今走が同クラス
 いくら前走ハイレベル戦でも、昇級戦でいきなり勝てる馬は少ないです。少ない割に人気します。また、前走が重賞で今回下のランクに出てくる馬も人気しがちなので避けます。

・前走9着以内
 前述のハイレベル戦ファクターを活かすために採用しています。前走から勝ち上がりが多数いても、そのレースで10着以下では効果が薄いです。レース映像をよく見て不利等探せば、10着以下でもピックアップできる馬がいたかも知れませんが、そういう手間を省くためにデータで攻略しているので、10着以下は一括して切ります。
 ちなみに、推奨馬を抽出する時はエクセルでパパッとやってしまうので、前走ハイレベル戦の10着が激走していても私は気づきません。

・追切単走、もしくは併せ馬で後着していない
 これはTARGET(後述)では取得できないデータです。ロジックを考え始めた当初は、TARGETだけで勝てる方法を模索していましたが、TARGETだけではTARGETユーザーに勝てないと考え、調教データを採用しました。
 競馬道データ会員になると追切のデータが入手できます。他にも様々なデータが手に入りますが、私は追切のデータだけ活用しています。
 併せ馬先着の成績の良さは、なんとなく想像がつくかと思います。調教で併せ相手に先着した馬と後着した馬では、回収率、勝率共に明確な差があります。
 本来は併せ馬先着だけ勝ってても良いのですが、対象馬が極端に減ってしまうため、私は後着だけ候補馬から消すようにしました。

・追切で加速ラップを記録している
 いきなりスピードを上げて前半から飛ばし、最後は減速しながらゴールする追切、意図してやらないですよね、多分。まず折り合いをつけながらゆったりと進め、ゴールに向けて加速していくパターンが王道かと思います。最後の1Fで最も速いラップを記録している、つまり加速ラップで追切できている馬を買います。というより、加速ラップで追切できていない馬の方が少ないので、そういう馬を避けます。
 レース中の折り合い、最後の直線での加速力、これらが最低限備わっているであろう馬をこのファクターで抽出します。
 G1ともなるとさすがにほとんどの馬が加速ラップで追切を行っています。

抽出例

 ここで一つ、例を挙げてみます。

 先述した私のモノサシで、ここ最近で一番ハイレベルだったのが今年3月18日土曜の中京8Rです。このレース自体は私は買っていません。4歳以上1勝クラス、芝1,400m、18頭立て、勝ったのはメイショウソラフネです。

 各馬の次走成績を時系列で並べてみます。中京8Rでの着順、馬名、次走、着順(単オッズ)の順に表記します。

・12着 デンジャーマン 3/26阪神7R 10着
・1着 メイショウソラフネ 4/1阪神10R 1着
・8着 サザンステート 4/9福島8R 6着
・2着 ナバロン 4/9福島8R 1着
この時点で3/18中京8RがCランクのハイレベル戦となり、9着以下だった馬は次走推奨候補に入ります。
・10着 ドリアード 4/16福島12R 15着(前走10着なので買わず)
・7着 デヴィルズマーブル 4/23京都7R 7着(買った)
・3着 アスクオンディープ 4/23京都7R 5着(買った)
・5着 ヴェールアンレーヴ 5/7東京7R 1着3.1倍(買った)
・9着 スタニングスター 5/13新潟10R 1着39.8倍(買った)
・4着 フローレンスハニー 5/14京都8R 1着3.1倍(買った)
以下省略…

 と、2頭勝ち上がった時点でレース自体に印を付け、そこから次走同クラスに良い調教で出てきた馬を買うだけです。次走勝ち上がり0頭のレースも多い中、2頭勝ち上がるだけでも十分注目すべきレースだと考えます。
 スタニングスターは前走9着でしたが、次走で勝てる馬が3頭も出ていたレースの9着は、そこら辺のレースの5着くらいの実力は持っていたのではないでしょうか。多分。それが40倍近いオッズで買えるのは美味しいですよね。

採用ファクターの説明~後半~

続いて、新馬戦ロジックのファクターを解説します。
新馬戦については数も少ないので参考程度ですが、今のところ順調に運用できているので、まだこのロジックでしばらく戦えると思います。

・1,600m以上
 新馬戦は調教のみ考慮して推奨馬を選んでいます。距離の短いレースでは効果が薄いです。最低でも1,600m戦以上しか購入しません。

・牡馬
 ロジック構築の際に牝馬の新馬戦の成績が悪かったので牡馬しか買っていません。馬という動物のこと、よく分かりませんが、調教を重視する私のロジックと新馬戦の牝馬の相性がたまたま悪いんだと思います。

・追切で坂路を使用し、加速ラップを記録
 新馬戦以外で採用しているファクターと似ていますが、コースを坂路に限定しています。ゴールに向けて傾斜がキツくなる坂路で加速ラップを踏める馬は強いだろう…。という理屈です。実際強いと思います。

・追切単走、もしくは併せ馬で先着
 新馬戦以外では併せ馬後れのみ除外していましたが、同着も除外しています。そもそも新馬戦は数が少ないので、どうせ少ないなら良いところだけ買ってしまおうと考え、同着も消しました。

ロジック馬の成績

 上記のファクターに全て当てはまる馬を、私の推奨馬として紹介してきました。成績がこんな感じです。なお、ロジックが完成する前、2021年以前の成績も掲載しておきます。

 まずは年別成績です。2021年と2020年の2年分くらいのデータでロジックを構築しました。2019、2018年はバックテストに使いたかったため、ロジック構築の際には除外していましたが、いざ検証してみると好成績だったためこのロジックにある程度の自信が持てました。運用後しばらくして2017年でテストしたら91%でした。悲しかったですね。無視しましたが。

年別成績

 続いてオッズ別成績です。購入対象とならない単50倍超は予め省いています。こう見ると私のロジックがいかに穴馬に支えられているか、よくわかります。
 成績だけ追い求めるのであれば、5.0倍以下とかその辺りは買わなくてもいいんですよね。ただそこを切ってしまうと的中率がガクッと下がるため、メンタル的に継続が困難になります。また、50倍前後の馬を買えたり買えなかったりがあるのに、下でもオッズで切ってしまうと集計と実成績の差がかなり開いてしまうと考え、単勝下限オッズで切ることはやめました。

オッズ別成績

 クラス別成績です。新馬戦は数が少ないので126%は上振れています。最も参戦数の多い未勝利、1勝クラスが稼ぎ頭ですね。
 特に得意不得意は無いつもりでしたが、こうしてみるとオープン以上の成績があまり良くないですね。確かに重賞で穴馬獲れた記憶、最近無いです。あったかな?

クラス別成績

推奨馬抽出に使用するデータ

 推奨馬の抽出にはデータが必要です。タダで手に入る競馬データ、世の中に溢れかえっています。タダで手に入るということは多数の競馬ファンが簡単に入手できる、オッズ的にうまみのないデータです。
 例えば前走着順、前走2着は強いです。勝率も高いです。が、バレバレすぎてガッツリ人気するため、そのデータだけで馬券で勝つことは不可能です。というわけで、データで競馬するならデータを買いましょう。

JRA-VAN データラボ 月額 2,090円(税込)
 言わずと知れたデータ競馬のお供。これが無いと始まらないです。
 加入すると最新の競馬情報を利用した様々なソフトが使えます。
 私が利用しているのは以下の3つです。

 ・TARGET frontierJV (データラボと言えばこれ)
 ・KSC投票プラグイン2 (自動投票に利用)
 ・KSC自動投票Plus (同上、作者様に少し改造していただきました)

競馬道データ会員 月額 2,750円(税込)
 JRA-VANデータラボで取得できないデータ、私の場合は主に調教データを仕入れるために契約しています。定期的にメールにてデータが届きます。追切データ以外にも有用な(私は使いこなせませんでしたが)データがたくさん届くので、興味のある方はぜひ。

推奨馬の抽出~実践編~

 ここからは私が毎週末行っている作業を紹介します。36レースから推奨馬を抽出する作業、慣れれば5分程度で完了すると思います。
 TARGETを使ったことのない方には、少し難しい内容になるかも知れませんが、この記事はロジック説明がメインなので、ここから先は蛇足です。実際の作業に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

1.TARGETで先週のレース結果を読み込み、必要なレース印を設定する

 1.TARGETを起動しデータ登録を行います。
 2.レース検索から「レース条件」「選択馬条件」はそのままに、12ヵ月分のレース検索を行います。(もしこれを読んでいる方が実際に行う場合、初回のみ12ヵ月ではなく36ヵ月分くらい検索するといいです。)
 3.「前走読込」を実行し、集計項目から「前走個別レース」を選択。そこに表示される着別度数が、個別レースに対する次走勝ち上がりの頭数です。
 4.次走勝ち上がり頭数2頭以上のレースを選択し一括マーク。表示タブから「各馬の前走成績を別画面で一覧する(マークデータのみ)」を選択し、前走を別画面で表示。
 5.別画面が表示されたら、編集タブからレース印の一括設定。ハイレベル戦に印を付けます。私は勝ち上がり頭数別にSABCとしていました。

この作業は週に1回行えばいいです。土曜のレース結果も開催が終わらないと反映されないので、土曜に2頭勝ち上がったレースは日曜日に拾えないのです。悲しいですが、今のTARGETの仕様では仕方ありません。

2.競馬道データをTARGETに登録

 1.開催前日の昼頃、翌日出走する馬の調教データがメールにて届きます。ファイル名に「hb….」と付いているものが追切データです。このファイルのみダウンロードします。他のファイルは最近開いていないのでなんのデータが届いているのか忘れました。
 2.KOLデータCSV変換を使い、ダウンロードしたデータをCSVに変換します。
 3.変換したファイルから「kol_den2」をエクセルで開きます。非常に見づらいですが、ここに調教データが記載されています。ラップ、脚色、併せ馬相手、短評、調教本数、回った位置等…。
 4.このデータをTARGETの予想コメントに登録したいのですが、そのままではTARGETに登録できないため、変換します。この時、加速ラップを刻んでいる馬には印を付けます。私の場合、最終1Fの後に*マークを付けています。ちなみにこの変換作業は、「kol_den2」の中身をコピペするだけで綺麗に整列させるような関数が入力されたExcelファイルを、あらかじめ作成してあります。

こんな感じのデータを
このようにレースID+必要なデータに整理すると
TARGETの予想コメント欄に綺麗に入ります。

 5.変換した予想コメント用データをCSV形式で保存し、TARGETの予想コメントインポート機能を使い、予想コメント欄に調教データを一括入力します。

3.TARGETで出馬表を開き馬印を付ける

 1.TARGETを起動し「出馬表」メニューから当該開催日を選択し、「出馬表分析」を選択。予想を行う日の「出馬表分析」画面を開きます。
 2.「前走読」をクリックし、前走情報を読み込みます。前走着順と前走ハイレベル戦に出走していたかどうかが一目でわかります。前走ハイレベル戦に出走していた馬には印を付けておきましょう。
 3.「予想コメ」タブを開きます。「2.競馬道データを…」で登録した調教情報が予想コメントとして登録されています。右上の「コメント検索」をクリックし、各種ファクターに合致した馬を抽出、一括処理機能を使い馬印を付与していきます。検索文字列は画像のような文字列にしています。

 正規表現について詳しくないので、もっとスマートな検索方法があるかもしれません。特に追切で坂路を使用した馬を検索する時、「 坂」で検索していましたが、坂井瑠星騎手が追い切りで騎乗した馬は問答無用で抽出されます。手作業で削除します…。

 4.今走クラス、併せ馬情報、前走レベル、加速ラップか否か、前走着順、前走クラス、追切コースが確認できるようになりました。1画面で確認できるように「★項目設定」してください。

 5.右クリックで全てを選択後、選択範囲をクリップボードにコピー(CSV/エクセル用)を選択、あらかじめ用意しておいたExcelシートに貼り付けます。別のシートで条件に合致する馬に印を付けるよう、関数を入力してあるので、降順で並び替えます。

◎は新馬以外、○は新馬

 6.並び替えたら、印が付いている馬名を全てコピーし、TARGETの出馬表分析画面に貼り付けます。抽出状態が「マーク馬[クリップボード]」となり、貼り付けた馬のみが表示されます。一括処理で最終的な馬印「◎」を付けましょう。

 おまけ.

こんな感じでコピーして
貼り付けると
いつものこれができます

4.自動投票の設定

 自動投票に関しては「KSC 自動投票Plus」のマニュアルを読んでいただくのがいいかと思います。オッズフィルターをかけることは可能です。しかし、私の場合は単勝50倍未満かつ複勝3.5~9.9倍と、2つの条件を満たすときのみ複勝を買いたかったので、作者の方に有償でカスタマイズをして頂きました。公式HPの問い合わせフォームからカスタマイズを依頼することができます。(R5.7.12現在)

おわりに

 私がたどり着いたのがこのロジックでしたが、他にも様々なファクターを検証し組み合わせることで、さらに良いロジックを見つけられる可能性があります。当初は前走馬場状態や馬体重、前走人気なども考慮していましたが、結局割とシンプルなロジックに落ち着いたかなと思います。

 有料記事にして推奨馬抽出に使うExcelファイルの配布でもしようかと思いましたが、さすがに需要なさそうなのでやめておきます。

 というわけでデータ競馬は一旦おやすみ。今後は好きな馬の馬券を宝くじ感覚で買います。

 1年半、ありがとうございました。

ファクター研究のモチベーションになります。 いつもありがとうございます。