2024年 第19回ヴィクトリアマイル(GI)【出走馬全頭診断[1]】

割引あり

1枠1番 ライラック

【馬主】芹澤精一
【生産】杵臼牧場
【厩舎】相沢郁(美浦)
【騎手】戸崎圭太
[父]オルフェーヴル
[母]ヴィーヴァブーケ
[母父]キングカメハメハ

最終追い切り【調教評価B】
美浦W稍重 81.8-66.1-51.2-36.9-23.7-11.7(戸崎圭太騎手)

半兄ブラックホール(父ゴールドシップ)も相沢郁厩舎が管理していた馬で、札幌2歳Sを制し、弥生賞では4着に好走するなど重賞で通用するだけの下地をみせていたことを思い出す。この血筋は、生産した杵臼牧場と相沢厩舎が連携して、しっかりと手掛けながら地力強化を図ってきた経緯もあり、牧場と厩舎のゆかりの血統といえる。ステイゴールド系と母ヴィーヴァブーケの配合は相性が良く、兄姉馬の活躍にも表れている。本馬ライラック自身も2022年のエリザベス女王杯で2着に好走するなどGIでも惜しい競馬をしてきた実績があるだけに能力は高い。問題は距離適性の部分に尽きる。3歳時にマイル重賞「フェアリーステークス」を勝っているため、マイルの実績はあるものの、本質はもっと長いところこそがこの馬のベストな距離だ。2200mのエリザベス女王杯で好走できているように、もう少しスタミナが必要な条件でこそ上位評価すべき。マイルのスピード勝負となると、適性がだいぶズレたところにある。長く良い脚を使えるのが特徴で、中距離でこそ、買いのタイプだろう。2500m戦の有馬記念を走った後、前走は阪神牝馬Sに使ってマイルに慣れさせようとしたが、レース展開的にもやはり不向きであったことは否めない。状態面は前走時よりも明らかに良くなっているが、適性の差で厳しいレースが強いられそうだ。

2枠2番 フィアスプライド


【馬主】ゴドルフィン
【生産】ダーレー・ジャパン・ファーム
【厩舎】国枝栄(美浦)
【騎手】C.ルメール
[父]ディープインパクト
[母]ストロベリーフェア
[母父]キングマンボ

最終追い切り【調教評価A】
美浦W稍重   66.9-51.6-36.8-23.1-11.1(調教助手)

“牝馬の国枝栄厩舎”らしく、さすがの仕上げ。6歳となり当初は前走の中山牝馬Sを最後に引退し繁殖入りするというプランであったものの、不完全燃焼となったことで引退を撤回。もう一度仕上げてGIに臨む。鞍上は怪我から復帰のC.ルメール騎手を迎える。引退を撤回してまで使うというのは陣営の意地。つまりは、「この馬はもっとやれる」という感触があるからこその判断だ。GII重賞で引退するつもりが、GIに臨むだけに相手強化となる分、厳しくなることは言うまでもないが、この馬のポテンシャルを出し切ってどこまでやれるかを確認したいのだろう。半姉のミッドサマーフェア(父タニノギムレット)は2012年にオークスで1番人気に支持された馬。全姉ソフトフルートは2020年の秋華賞で“故・藤岡康太騎手”の手綱で3着に好走。ゴドルフィンが誇る[芝中距離路線での重賞活躍血統]であり、牝馬だからこそ、引退後は「繁殖馬としての期待度」も高い。ともすれば、やはりGIタイトルに手は届かなくとも、GIの舞台でどれだけ通用するかを確認したいというのが生産者の意向。この血を紡いでいく上での配合戦略を考える上でも重要なエビデンスとなるだろう。配合相手にどのランクの種牡馬を掛け合わせるか。このヴィクトリアマイルでどれだけの競馬ができるかによって、配合相手のレベルが決まる。

2枠3番 スタニングローズ


【馬主】サンデーレーシング
【生産】ノーザンファーム
【厩舎】高野友和(栗東)
【騎手】西村淳也
[父]キングカメハメハ
[母]ローザブランカ
[母父]クロフネ

最終追い切り【調教評価S】
栗東・坂路・稍重   53.5-38.7-24.5-11.8(西村淳也騎手)

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