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【中京記念2024】小倉芝1800mで確変する血統を狙う!出走馬徹底考察!

皆さんご機嫌いかがですか。中崎です。
7月21日(日)に小倉競馬場で行われます「中京記念」に出走予定の注目馬について、血統分析、アビリティ分析を中心に「中京記念」への展望をお伝え致します。
中京記念を十分に楽しむためにも、各馬の考察は事前知識になりますので、是非最後まで御覧いただければ幸いです。



◆血統傾向について

今年の中京記念は、諸々の事情で小倉と中京の開催が入れ替えられている関係で、2022年以来の小倉芝1800mでの開催になります。
したがって、直近10年の血統傾向は参考に出来ませんので、今回は以下のレースを対象に小倉の芝1800mを好走するために必要な血統を考察しております。
・2021年と2022年の小倉芝1800mで行われた中京記念
・7/13(土)と7/14(日)に行われた小倉芝1800mと2000mのレース

これらのレースで馬券内になった馬の血統傾向を確認したところ、以下の5点を血統内に内包する馬の好走が顕著となっています。

小倉芝レースの血統傾向

今回はこの『5つの血統』を重要視して、注目馬の血統考察をしていきたいと考えております。


◆アルナシーム

◇血統

5代血統表(アルナシーム)/引用:netkeiba 公式HP

▶母の母がドバイマジェスティで、近親に皐月賞と大阪杯を勝ったアルアインと、日本ダービーとドバイシーマクラシックを勝ったシャフリヤールがいる血統背景で、アルナシームはお母さんのジュベルアリが6歳時の産駒です。
▶配合型としては、父モーリスに母父ディープインパクトという組み合わせは、モーリス産駒で最も産駒数が多い配合パターンとなっています。
▶なお、モーリス×ディープインパクト産駒の牡馬全体での芝1800mの成績は、『勝率19.5%』『複勝率50.6%』と得意としています。
▶冒頭で述べた『小倉芝1800mの血統傾向』でいうと、アルナシームは、『His Majesty持ち (Ribot6×7)』
『Roberto持ち』
『Hyperionの血量5%以上』
『Danzig持ち』

と5項目中4項目を血統に内包している点も、小倉芝1800mで行われる今年の中京記念では注目しておきたい血統構成となっています。
▶特に『His Majesty』『Roberto』『Hyperion』からはスタミナやタフさ、底力を受け継ぐ傾向が強く、中央開催の瞬発力やSP勝負とは異なる『ローカル開催らしいタフさ』が求められるレースへの適応力の源泉になっているという位置づけで問題ないという見解です。

◇アビリティ分析

▶左回りは直線で逆手前で走っていることもあって、あまり得意としていない節があり、右回りになること自体は歓迎と考えています。
▶馬場自体もレース後のジョッキーコメントで散見される通り、緩い馬場は脚を取られる傾向があるようで、良馬場でこそ力が発揮できるというタイプで、阪神・京都の高速馬場で結果を出しているだけに、あまり時計が掛かるような馬場コンディションになってしまうと減点かなという見解です。
▶能力的には、今回と同じ舞台で行われた今年2月の小倉大賞典で先着を許した『エピファニー』『ロングラン』『セルバーグ』との再戦になりますし、2走前の都大路Sで展開に恵まれなかったとはいえ『セオ』にも先着を許している状況で、そもそも重賞級の相手には苦戦しているという戦績であることを踏まえると、重賞で勝ち負けするには展開等の恩恵が欲しいという見立てです。
▶タイプ的には、馬券内になっているレースを見ると、新馬戦の函館以外は、阪神又は京都の外回りで好走しており、後半の時計が速くなる持続力勝負を得意としているため、今年の小倉大賞典での走りを見る限り、小回りをこなす機動力は問題なさそうですが、小倉競馬場がベストかと言われるとやや適性的にはズレるのかなという評価をしています。
▶また、ちょこちょこゲートで遅れることもあるので、小倉競馬場でポジションを求められる展開、ペースになった場合には、ゲートの悪さが致命的なビハインドに繋がることも想定した上で馬券の取捨は検討すべきという見解です。

◇中京記念でのポイント

☆血統傾向◎⇔渋った馬場▲
▶ローテは前走から中5週と、特段気にする必要はなさそうで、フォトパドックを見ても前走時で440㎏と牡馬としては小柄な馬ではありますが、前後のバランスは良く立ち姿も筋肉量も豊富ですし、下腿部の血管もモリモリ浮き出ていて仕上がりの良さを感じます
▶1週前の調整も栗東CWで4F(51.0)-1F(11.4)とこの馬としては、ボチボチの時計ですが、夏場ということも考えれば、時計的には及第点なのかなという印象です。
▶能力的には、先ほども述べた通り、小倉大賞典で先着を許した馬たちとの再戦になりますし、『ロングラン』『セルバーグ』とは、小倉大賞典の時と同様に同斤量(57㎏→57㎏)での対戦となるため、厳しいレースが予想されますが、小倉大賞典での着差を考えると展開(ペース、枠順等)でひっくり返せるくらいの着差ではあったので、小倉競馬場2度目で、さらに上手に競馬をしてくれると、馬券内も見えてくるのかなという評価です。
▶あと、アルナシームについては直近の小倉芝の中距離レースの血統傾向からの推せる材料を、今回のメンバーの中でも多く持っていると評価しているだけに、隠された適性に賭けるというのも、能力差が曖昧なメンバー構成のレースでは有用なのかなという見解です。
▶OP昇級以降は、好位で競馬をしてもジリ脚で勝ち切れない、突き抜け切れない競馬が続いていることを考慮すると、逃げ、先行馬の兼ね合いでペースが流れる展開になりそうな今回の中京記念では、これまでのレーススタイルではなく、後方でジッと我慢して差す競馬に振り切るのも面白いのかなという見立てです。


◆エピファニー

◇血統

5代血統表(エピファニー)/引用:netkeiba 公式HP

▶母の母がミュージカルウェイで近親に『ミッキークイーン』『ブレイディヴェーグ』『ミッキーゴージャス』と、あと個人的に期待している3歳馬『ニュージーズ』がいる活気のある血統背景で、エピファニーはお母さんのルールブリタニアが6歳時の産駒です。
▶配合型としては、『デアリングタクト』『アリストテレス』『ジャスティンカフェ』『オーソクレース』などエピファネイア産駒の成功型の一つとなっている『Special牝系のクロス』を持っており、エピファニーはこの『Special牝系クロス』を『Sadler's Wells≒Nureyev』で抑えている点は、エピファネイア産駒のスケール感としては及第点という評価です。
▶冒頭で述べた『小倉芝1800mの血統傾向』でいうと、エピファニーは、
『Roberto持ち』
『Special牝系クロス』

と5項目中2項目を血統に内包しており、小倉芝1800mで行われる今年の中京記念との相性でいうとボチボチの血統背景かなという評価です。

◇アビリティ分析

▶距離については前走の2000mから1800に距離短縮となることについては大歓迎といった見立てで、昨年12月のチャレンジカップのレース後のジョッキーコメントでルメール騎手が話していた通り、ベストは1800mという評価です。
▶能力的な評価としては、気性面の課題もあって重賞では嚙み合わずに大敗ということもありつつ、今年2月の今回と同じ小倉芝1800mで施行された小倉大賞典で重賞勝利を挙げるなど、展開次第では重賞でも勝ち負けできる能力水準にはあるという見立てで、前走の大阪杯も10着と着順こそ見栄えは悪いですが、『適距離外の2000m』『スタート後に挟まれて不利』がありながら勝ち馬から0.7差であれば、上々の走りだったのかなという考えです。
▶また、大阪杯の勝ち馬『ベラジオオペラ』とは、チャレンジカップでは0.2差だったという点も、この馬の能力の高さの証左の一つという見解です。
▶ここまでの戦績からは大箱、小回り等のコースによる適性差はなく、どちらかという気性・折り合いの部分が、この馬を検討する上で最大のポイントになっているという印象で、勝った小倉大賞典を見てもペースは流れれば流れる程、競馬はしやすくなるという評価で、スローになるようだと、厳しい展開が想定されるだけに、今回の中京記念では、『セルバーグ』『テーオーシリウス』の存在は、エピファニーにとってはある程度、味方してくれるのかなという見解です。

◇中京記念でのポイント

☆距離短縮◎⇔折り合い▲
▶今回ローテ的には中15週と休み明けにはなりますが、これまでも休み明けは問題なく走ってきており、特段気にする必要はないとう見立てです。
▶ただ、直近のレースでは3戦連続で馬体重を減らしてきており、前走の大阪杯はGⅠということで仕上げていたとはいえ、498㎏という馬体重はデビュー以来、最軽量だったことは頭に入れておいた方が良さそうで、さすがに今回は休み明けということもあって、プラス馬体重では出走してきて欲しいと考えています。
▶フォトパドックを見る限りでは筋肉に張りも感じますし、毛ヅヤも良く状態は良さそうですが、1週前の調整では、栗東滞在で調整されおり、栗東CWで4F(51.4)-1F(11.5)と、この馬としてはやや控えめな時計になっている点は気がかりです。
▶また馬体的に、スラっとした馬体で、エピファネイア産駒らしく胴に伸びもありながらも距離に限界があるのは、おそらく前脚の短さに起因しているのかなという見立てです。
▶今回と同条件の小倉大賞典を、ペースに恵まれたとはいえ、きっちりと勝ち切っている点は評価できますし、重賞を勝っていることで斤量を背負うことにはなりますが、大阪杯もスタート後の不利や、不向きな条件である程度の走りは見せていたことからも、近走の充実度は高いと評価しているので、馬券的には注目をせざるを得ないという見解です。


◆エルトンバローズ

◇血統

5代血統表(エルトンバローズ)/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのショウナンカラットはJRAで5戦未勝利で、産駒には芝1200m~1400m活躍し、JRAで3勝を挙げたダイワメジャー産駒のカバーガールや、芝1200mを中心にJRAで3勝を挙げているキタサンブラック産駒のドグマがおり、牝系自体は短距離志向が強い血統背景で、エルトンバローズはお母さんが13歳時の産駒となります。
▶血統構成としては、お父さんのディープブリランテに母父ブライアンズタイムということで、瞬発力よりも持続力に振れている血統構成で、エルトンバローズは特に母父ブライアンズタイムの影響を感じる走りをする馬で、大物に先着する勝負強さは『Ribot』の良さが出ているという評価です。
▶冒頭で述べた小倉芝1800mの血統傾向でいうと、エルトンバローズは、
『His Majestyと全兄弟のGraustark持ち』
『Roberto持ち』

と5項目中2項目を血統に内包しており、小倉芝1800mで行われる今年の中京記念で求められそうなスタミナやタフさはしっかりと引き継いでいるという見解です。

◇アビリティ分析

▶前走の安田記念は瞬発力負けというレース内容で、明け4歳の3戦はいずれもパッとしない走りになっていますが、昨年の秋の充実期と比較すると、やや仕上がりや、体調面で今一つだった印象です。
▶その昨年秋の競馬については、マイルCSでは、上位馬たちには瞬発力の差で着順こそ譲っていますが、そもそもマイルCSが行われる11月は、マイルの距離だと古馬との斤量差が1㎏差で、同時期のエリザベス女王杯やジャパンカップが、古馬と3歳の斤量が2㎏差であることと比較すると、3歳馬には厳しい条件となっていて、その条件の中で、勝ち馬ナミュールから0.2差の4着であれば、悲観するような内容ではないという評価です。
▶あとは昨年の毎日王冠では、ソングラインとシュネルマイスターが直線でドン詰まりをしたとはいえ、エルトンバローズ自身も直線で進路がなく追い出しを待たされる不利がありながら、あの2頭の猛追を直線で凌ぎ切っていますし、
▶ラジオNIKKEI賞でもレーベンスティールにとって展開が向かなかったとはいえ、しっかりと先着するど、骨っぽい相手に、展開利を引き寄せて勝ち切る競馬を見せているところがこの馬の強みです。
▶展開利を引き寄せる要因としては、先行力と立ち回りの巧さという評価で、逆にいうと今年に入ってからの3戦は、この馬の持ち味を生かせないレースになっているが故に結果が出ていないという見立てですので、体調面を立て直して、この馬らしい先行力と器用に立ち回る競馬さえ出来れば、重賞2勝馬、GⅡホースとして、例えトップハンデを背負ったとしても、他馬を寄せ付けない競馬をして、不思議のない能力を持った馬という見立てをしています。
▶また、瞬発力勝負だけは避けたいでしょうから、小倉の芝1800mという舞台が直線SP勝負・瞬発力勝負にはなりづらい点は、この馬にとっては、前走の安田記念よりは確実に条件的にプラスという評価です。
▶あとは、多少気になる点としては、直近では安田記念、チャンピオンズマイル、中山記念とスタートで出遅れている点と、馬力を感じるフットワークではありますが、今年の中山記念で稍重馬場でノメっていたというジョッキーコメントがあったこともあり、馬場が渋るようだと減点が必要かなという意見です。

◇中京記念でのポイント

☆立ち回りの巧さ◎⇔出遅れ癖△
▶ローテ的には中6週で、これまでの戦績からも、エルトンバローズ自身は使いつつ状態を上げていくタイプという見立てではありますし、そもそも安田記念がGⅠといえど、抜群に仕上げていた感じもしないので、使って良くなることを期待したいところではありますが、直近3走は海外遠征含む、輸送競馬が続いており、今回も小倉での競馬となると、臨戦過程的には負荷が大きい印象で、強く推しづらいというのが本音です。
▶1週前の調整をみると、栗東CWで4F(50.7)-1F(11.3)という時計を計時しており、昨年秋の良い状態にこそもう一息も、今年の春よりも時計面では良くなってきているのは確かですし、フォトパドックをみても下腿部の血管が浮き出ていて仕上がりは良さそうで、中山記念の時よりも馬体はシャープで研ぎ澄まされてきた印象です。
▶ただ、GⅡ勝ち馬で、かつ重賞2勝という実績のある馬が、近走で結果が出ていない状況とはいえ、ハンデ重賞に使ってくるというのは、考えようによっては勝ちに来ているとも言えますし、別の側面でいうと強い馬との競馬を避けているとも取れるので、レース選択という観点で言うと、若干、陣営も疑心暗鬼になっているのかなという邪推をしています。
▶実績はこの中に入れば、頭一つ抜けてはいますが、3歳秋の良かった時よりも状態的には怪しい部分があるという評価ですので、実績を買われて人気を被るようであれば、ハンデ59㎏というトップハンデを背負うことになる点も考慮して、馬券的には軽視するのも選択肢の一つになるという見解です。


◆カテドラル

◇血統

5代血統表(カテドラル)/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのアビラは英国産で現役時代はこれといった実績はありませんが、産駒にはJRAで7勝を挙げたエルムS勝ちなどがあるアグネスタキオン産駒のジェベルムーサがおり、JRAで勝利を挙げた産駒を5頭輩出している優秀な繁殖牝馬で、カテドラルはお母さんが12歳時の産駒です。
▶配合型としては、『サリオス』『ワンアンドオンリー』『ヌーヴォレコルト』らと同じ、ハーツクライ産駒の成功型の一つであるお母さんが『Danzig持ち』の配合で、ハーツクライ産駒にトモの筋肉量を増幅する形で先行力をもたらす配合パターンではありますが、カテドラルについては年齢を重ねても一貫して後方からの競馬に徹しており、サリオスらとはタイプが真逆です。
▶冒頭で述べた小倉芝1800mの血統傾向でいうと、カテドラルは、
『His Majesty持ち』(Ribot2本持ち)
『Hyperionの血量5%以上』
『Danzig持ち』

と5項目中3項目を血統に内包しており、そもそもカテドラルは小倉芝1800mで行われた重賞レースで4戦2着3回と適性をしっかりと示しており、カテドラル自身が小倉芝1800m巧者という評価です。

◇アビリティ分析

▶今回はハンデ58㎏ということで、今年の小倉大賞典と、2023年8月の小倉記念で背負った58.5㎏と比較すると、0.5㎏斤量減となり、2着だった2023年の小倉大賞典と同じ58㎏に戻りますが、近走の競馬内容を踏まえると、やや背負わされた感はあるのかなという印象です。
▶能力的には今年の大阪杯で0.7差(9着)で、10着だったエピファニーに先着をしているものの、エピファニーがスタートでごちゃついた分を考慮するのと、今年の小倉大賞典でのエピファニーとの着差も踏まえると、現状としてはエピファニーの方が能力的には上と評価すべきという意見です。
▶ただ、2着で勝ち切れていないとはいえ、小倉芝1800mで行われた重賞では4戦で2着3回と抜群の適性を見せており、この馬のコーナリング性能の良さや、小回りコースで早めにレースが動き出して持続力勝負になりやすい点がマッチしている印象で、得意の舞台に条件が変わる今回は、瞬発力勝負となって苦手なレースだった前走の安田記念と比較すると、舞台条件は大幅なプラスという見立てです。
▶また、カテドラルは7月、8月の夏競馬で過去にしっかりと好走できている点も評価したいと考えています。

◇中京記念でのポイント

☆小倉重賞巧者◎⇔8歳馬▲
▶ローテ的には中6週でレース間隔的には特段気にする必要はなさそうですし、GⅠ後の一戦でお釣りがどうかとも考えましたが、カテドラルについては、過去にも『安田記念』⇒『中京記念』のローテで結果を出していることからも、結論としてはローテ自体はそこまで気にする必要はなさそうという意見です。
▶ただ、1週前の調整は、栗東坂路で4F(55.4)-1F(12.7)とこの馬としては時計的にはやや物足りない調整内容だったことは否めないので、当週の調整内容と、当日の状態はしっかりと確認した上で最終的なジャッジをすべき馬の1頭という見立てです。
▶また、馬体重の増減が本当に少ない馬なので、逆に馬体重に大幅な変動があった場合は疑ってかかった方が良いという意見です。
▶カテドラルについては、近走のレース内容からも、さすがに年齢的な衰えを危惧すべき時期ではあると思いますが、個人的には小倉芝1800mの重賞で複数回好走しているという実績、舞台適性を評価すべきという立場で、人気を背負うタイミングではなさそうな今回は、『人気薄のリピーターは抑えておく』という考え方を大事にしたいという見解です。


◆セルバーグ

◇血統

5代血統表(セルバーグ)/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのエナチャンはJRAで2戦未勝利という競走馬で、繫殖牝馬としては現状は産駒の出世頭がセルバーグという繁殖成績で、セルバーグはお母さんが7歳時の産駒です。
▶配合型としては、個人的にはエピファネイア産駒の好きな組み合わせではなく、評価しづらいのが正直なところではありますが、
▶冒頭で述べた小倉芝1800mの血統傾向でいうと、セルバーグは、
『His Majesty持ち』(Ribot2本持ち)
『Roberto持ち』

と5項目中2項目を血統に内包しており、該当項目こそ少ないですが、個人的に注目している『His Majesty』(Ribot2本持ち)と『Roberto』を内包している点は好評価で、欲を言えば、これに加えてお母さんが『Kingmambo』の血を持っていれば、ほぼほぼ私の血統考察としては、現在の小倉芝1800m適性は満点に近い評価だったという印象です。

◇アビリティ分析

▶相手関係も大事ではありますが、セルバーグは逃げ馬なのでとにかく自分の形に持ち込むことが重要なタイプで、理想の展開はハナを切って後続馬に道中でなし崩し的に脚を使わせて、勝負所からの持続力を生かし、前々で粘るという競馬という見立てで、消耗戦を自分で仕掛けていくの理想の展開という見立てです。
▶ただ、そうなってくると頭(1着)までを狙うにはやや力不足感があって、さらにパフォーマンスを上げるとすれば、馬場が渋るなどして、時計が掛かる馬場になった場合という意見で、一雨降ることで相対的にこのメンバーでは浮上してくる力関係と考えています。
▶また、前走のエプソムカップの東京芝1800mでの直線SP勝負よりも、小倉の小回り・周回コースでの早仕掛け戦の方が向いていると考えており、舞台条件は好転するという見解です。
▶あとは、距離でしょうか。2000mは合っていないのは明白ですが、1800mもこなしていると言えば、こなしていますが、やはり気持ち1Fは長い印象で、今年のエプソムカップも小倉大賞典も、さすがにゴール前は脚が上がっており、ベストの距離はやはりマイルなのかなという印象です。

◇中京記念でのポイント

☆消耗戦◎⇔同型馬の存在▲
▶ローテ的には中5週で、かつ休み明け3戦目となりますが、セルバーグは休んだ後は、レース間隔をあまり開けずに3戦レースに使って、また休んでというパターンで、レースを使っているので、特段、今回のローテが気になるという部分はありません。
▶直近3走は輸送も続いていますが、馬体重は基本的には増減が少なく、体調が安定しているタイプで、
▶今回の1週前の調整も、栗東CWで4F(50.8)-1F(11.3)と、いずれも直近1年では最も速い時計を計時しており、フォトパドックがないので、断定的なことは言えませんが、しっかりと時計が出せているというのは、状態は良い方向に行っている証左なのかなという印象です。
▶とにかく、今回の中京記念では同型馬の存在が、セルバーグの好走・凡走の鍵を握ってくると考えて差し支えないという見解で、『テーオーシリウス』とのハナ争いや、それに続く先行馬である『セオ』『ワールドリバイバル』『アナゴサン』あたりとの枠順、道中の隊列を含めた前半のポジション争いが激しくなる可能性があり、激しくなるほどにセルバーグにとっては辛い展開となりそうです。
▶これら逃げ、先行馬と相対するセルバーグの好走を後押ししてくれるファクターの一つは枠順だと考えており、可能な限り内枠、さらに言えば『テーオーシリウス』よりは最低でも内側の枠が欲しいという見解です。


◆ニホンピロキーフ

◇血統

5代血統表(ニホンピロキーフ)/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのニホンピロアンバーは、現役時代には芝とダートの1200mで勝ち星を挙げ、JRAで2勝した競走馬で、ニホンピロキーフ以外の産駒は、父キズナのニホンピロタイズが芝1800m~2000mでJRAで3勝を挙げるなど、デビューした3頭中2頭がJRAで勝利を挙げており、アベレージのよい繫殖牝馬で、ニホンピロキーフはお母さんが9歳時の産駒です。
▶配合型としては、『ウィルソンテソーロ』『ガイアフォース』『ラヴェル』と同様にキタサンブラック産駒の成功型の一つになっているお母さんが『Deputy Minister持ち』の配合で、キタサンブラックが持つ持続力をより強調する形の血統構成となっています。
▶冒頭で述べた小倉芝1800mの血統傾向でいうと、ニホンピロキーフは、
5項目中、該当する血統は持ち合わせておらず、小倉芝1800m、ないしは先週の小倉の芝で活躍した馬たちとは血統傾向としては、共通点は薄いので、純粋にこの馬のこれまでの走りから、適性面を推し量っていく必要がありそうです。

◇アビリティ分析

▶前走の鳴尾記念は枠も外で、道中も終始馬群の外々を回らされるロスの多い競馬になり、かつ折り合いも欠いていた部分があって、1分57秒前半という時計勝負の決着になってしまうと、道中のロスが結果に響いてしまうと考えているので、前走の着順、着差がこの馬の能力ではないという評価です。
▶逆に2走前のマイラーズカップでは、『GⅠ馬セリフォス』『GⅠで馬券内があるソウルラッシュ』相手に、見せ場のある走りをみせており、特に4角の勝負所でソウルラッシュに外から来られる形で、決して楽な競馬ではなかったと評価しているだけに、今年に入ってからのレースだけで、今回の出走馬の能力比較をするならば、能力面では頭一つ抜けているという印象です。
▶なお、重心が高く、フットワークに素軽さがあってコーナリング性能も高いという評価をしていますし、素軽いフットワークの中にもパワー、馬力も感じさせる部分もあって、馬場はある程度、時計が掛かる馬場状態の方が、相対的にこの馬が浮上してくるのかなという見立てです。
▶また、ペースに関してはスローで結果を残している回数が多いですが、イーブンペースや前傾ラップでもしっかりと自分の能力は出せており、個人的にはペース不問のタイプという評価をしています。
▶あとは、未勝利、1勝C、3勝Cとはいえ、小倉の芝コースでは3戦3勝であることは事実なので、先ほど述べた血統相性的には、推せない部分はありますが、そこはこの馬がこれまでに残してきた実績を重視するという考え方でも良いのかなと考えています。
▶最後に、1Fの距離短縮となる点も、前走から条件が好転するという評価です。

◇中京記念でのポイント

☆距離短縮◎⇔状態面▲
▶ハンデ56.5㎏というのは、56㎏の『アスクワイルドモア、エスコーラ、アナゴサン』や、57㎏の『セオ、セルバーグ、ロングラン、アルナシーム』と比較すると、絶妙で納得感のある設定で、個人的には感心するハンデの付け方という印象です。
▶ローテとしては中6週で、年明けからコンスタントにレースに使っていて、今回が今年5走目になります。
▶1週前の調整では、栗東CWで4F(52.9)-1F(11.3)と、この馬としては時計面ではやや物足りない内容で、コンスタントにレースに使っている分を考慮すると仕方ない部分はありますが、当週の調整内容や、当日の気配は確認が必要という意見です。
▶昨年秋に+14㎏と一気に馬体を増やし、馬体的な成長力を見せて、GⅡ競走でGⅠ馬相手にある程度の競馬ができるまで、競走能力も成長してきてはいますが、前走の鳴尾記念が展開的に不利だったと個人的には回顧しているものの、連戦の疲れの影響もあった可能性も、全く否定ができる訳でもないと思うので、そこからの中6週での立て直しが、しっかりと出来ているかがポイントにはなりそうです。
▶マイラーズカップ時のパフォーマンスが出せる状態にあれば、先ほども述べた通り、今回のメンバーでは能力は最上位と見ているだけに、状態面の見極めがカギを握る1頭という見解です。


◆穴馬候補

◇ボーデン

◇血統

5代血統表(ボーデン)/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのボージェストはダート1600m~1700mでJRAで2勝を挙げた競走馬で、牝系は皆さんご存じの『ダイナカール・エアグルーヴ牝系』です。
▶近親には『ルーラシップ』『ドゥラメンテ』『ローシャムパーク』『ジュンライトボルト』など錚々たる名馬が輩出されており、現代日本競馬においては『シーザリオ牝系』と並ぶ名牝中の名牝系という評価です。
▶配合型としては、『ブラストワンピース』『モズカッチャン』『ローシャムパーク』と同様で、ハービンジャー産駒の最大の成功型となっている『Roberto×Kingmambo』のパワー増強型ニックス配合で、血統構成として牝系も含めてケチのつけようがないという評価です。
▶冒頭で述べた小倉芝1800mの血統傾向でいうと、ボーデンは、
『His Majesty持ち』(Ribotクロス6×8)
『Roberto持ち(6代目/Sookeraの父)』(Kingmamboとのニックス)
『Hyperionの血量5%以上』
『Danzig持ち』
5項目中4項目を血統に内包しており、今回の特別登録馬の中では、ダントツで現在の小倉の芝の傾向と、小倉芝1800mへの血統的な相性が良い馬という評価です。これまで小倉芝コースで競馬をしていないだけに、まだ見せていない小倉適性が、ここで開花する可能性を秘めた1頭という見立てをしています。
▶しかしながら、前走で3勝Cを勝っての昇級戦になりますし、その前走のレース振りも、走破時計は一定の評価はするものの、その走破時計も馬場とペースの恩恵を受けている印象で、重賞で即通用するかどうかは、評価が難しいというのが正直な感想です。
▶ただ、今回はペースが流れる可能性が高そうで、後方から競馬する馬にも比較的チャンスがありそうなレース展開が想定されること、ハンデもソレイユヴィータを除けば実質最軽量ハンデで出走できることを踏まえて、穴馬候補としては検討の余地がある1頭ということで、少し触れさせていただきました。


◆中京記念まとめ

それでは!

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