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【クイーンS2024】近年最高の出走馬が揃う!出走馬徹底考察!

皆さんご機嫌いかがですか。中崎です。
7月28日(日)に札幌競馬場で行われます「クイーンS」に出走予定の注目馬について、血統分析、アビリティ分析を中心に「クイーンS」への展望をお伝え致します。
クイーンSを十分に楽しむためにも、各馬の考察は事前知識になりますので、是非最後まで御覧いただければ幸いです。



◆血統傾向について

今年のクイーンステークスは例年通り、札幌芝1800mでの開催となります。
したがって、直近5年の馬券内馬を中心とした血統分析と、直近の札幌芝の傾向を掴むため、先週のレースで好走した馬についても、血統分析を行った上で、今年のクイーンSで好走するために重要な血統を3つ挙げさせていただきます。

クイーンSの血統傾向

今回はこの3つの血統を内包している出走予定馬が少なかったですが、ぞれぞれ重要な血統ですので、この血統傾向を参考にしつつ、注目馬の考察をしていきたいと考えております。


◆ウインピクシス

◇前走回顧

前走のレース回顧/引用:netkeiba 公式HP

▶前走の福島牝馬Sでのウインピクシスの走りですが、前半3F(35.3)-中盤3F(36.6)-後半3F(35.0)と中盤が緩むペースで、前有利な展開を逃げる競馬でした。
▶スタート直後に右に流れて他馬にやや迷惑を掛けたものの、道中はハナを取り切ってマイペースでレースを進め、最後の直線でもまずまず粘る走り。
▶ゴール前で勝ち馬と2着馬に捕まりはしたものの、バテたというよりは直線SPの差という印象で、ペース的な展開利があったとはいえ、マイペースで競馬が出来れば、牝馬限定重賞で上位を争える能力を示してくれた一戦だったという評価です。

◇血統

5代血統表/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのコスモアクセスがJRAの芝1200mで4勝を挙げた競走馬で、コスモアクセスの産駒はデビューした6頭中5頭がJRAで勝利を挙げているアベレージの高い繁殖牝馬という評価です。
▶ウインピクシスはお母さんが10歳の時の産駒です。
▶配合型としては、父ゴールドシップに母父ロージズインメイと『コスモヴューファームやビッグレッドファーム』らしい組み合わせで、Robertoの6×5と、SSを経由しないHaloの4×5が特徴的で、Robertoからはスタミナと底力を引き継ぎ、Haloからは芝での瞬発力を補う俊敏さを補完している血統構成という評価です。
▶前年2着の実績が示す通り、ある程度スタミナを要する洋芝の札幌コースへの適性はしっかりと感じられる配合型という評価です。

◇アビリティ分析

▶マイペースでハナ、或いは番手で競馬をして直線では後続馬を振り切る形の競馬が理想という評価で、自分でペースが作れない展開だとあっさりと負けてしまう典型的な逃げ馬という印象です。
▶ここまで重賞では、2歳時の新潟2歳Sと昨年11月の福島記念を除くと、全て牝馬限定重賞を使ってきていますが、今回の対戦相手でいうと、『キタウイング』や『エリカヴィータ』『ラリュエル』との対戦程度で、能力を推し量るにはやや物差しに乏しい印象です。
▶適性的には先ほども述べた通りマイペースでレースを進められた時の粘り強さが身上で、折り合いも特に問題ないですし、直線平坦コースも特に苦にしている印象はありません。
▶たた、直線平坦コースもこなしてはいるものの、本質的には直線急坂コースや起伏のあるコースの方がこの馬の持ち味は生きるという印象で、昨年のクイーンS2着馬で札幌競馬場はこなしているとはいえ、この馬にとってはもっと得意な競馬場があるという見立てです。
▶ペースについも、当然前に行く馬なので、前半~中盤はゆったり流れるスローペースがベストではありますが、それよりも他馬に邪魔されずに、道中競馬が出来る方が大事な印象で、多少のきついペースでも、前目で競馬することを選択した方が良いタイプという見解です。
▶またこれまでの実績からも距離は1800mがベストという見立てをしており、今回の札幌芝1800mという条件は、ベストとまでは言いませんが、中央競馬の中では、この馬にとっては、比較的こなしやすい条件であるという評価をしています。

◇クイーンSでのポイント

・リピーター◎⇔同型馬の存在▲
▶ローテは昨年と同様に福島牝馬Sからの臨戦過程で、中13週となっており、レース間隔としては特段気にする必要はありませんが、
▶前走の福島牝馬Sが馬体重-14㎏とかなり絞って仕上げてきての好走だった点は抑えておいた方が良さそうで、そこから間隔は空くとはいえ、状態がしっかりと維持できているかは、調整内容や当日の状態を確認して見極めたいところです。
▶そもそも近年のクイーンSはリピーターが増加傾向で、2021年と2022年の『テルツェット』の連覇を筆頭に、『サトノセシル』『スカーレットカラー』と2年連続して好走する馬がいた点も、昨年2着のウインピクシスには心強いデータです。
▶あとは、同型馬の『コンクシェル』『ラリュエル』あたりとの兼ね合いが鍵を握ってきそうで、ベストはハナを切れる展開、それが叶わない場合は、番手で揉まれない競馬が必須という見立てで、好走条件の一つとして枠順が重要なファクターになるという見立てです。
▶過去の傾向的に前走で逃げた馬の成績が芳しくはありませんが、得意な距離であることと、前年2着の実績を持つ、ウインピクシスはこのメンバーに入れば、十分に馬券候補という見立てです。


◆コガネノソラ

◇前走回顧

前走のレース回顧/引用:netkeiba 公式HP

▶前走のオークスですが、『ショウナンマヌエラ』と『ヴィントシュティレ』の2頭が飛ばす形で、レースラップは速かったですが、離れた3番手を追走していた『ランスオブクイーン』で前半5Fの通過が59.5秒程度だったことと、馬場の速さを考えれば、3番手以降はミドルペースか、ややスローペースくらいだったと考えて良さそうです。
▶コガネノソラは道中後方からの競馬で、道中の折り合いは特段問題なく直線まで回ってきましたが、直線序盤は手応えがあったものの、直線中盤以降は力尽きた印象で、結果的に距離も長かったし、ローテもタイトで苦しかったのかなという見立てです。

◇血統

5代血統表/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのマイネヒメルがJRAの芝1600m~1800mで4勝を挙げた競走馬で、『コスモチェーロ』の牝系で近親には『ウインマリリン』がいる血統背景です。
▶コガネノソラはお母さんのマイネヒメルが12歳時の産駒です。
▶配合型としては、先ほどのウインピクシスと同じ父ゴールドシップに母父ロージズインメイという血統構成で、コガネノソラは『Haloを4×5+6』と3本持つのが特徴的で、ここまで東京で2勝を挙げるなど直線SPを生かした競馬で活躍をしていますが、本質的には芝の中距離での機動力戦が適している印象で、小回りでのコーナリング性能や道中の加減速が求められる展開で進化を発揮するタイプの血統構成という見解です。

◇アビリティ分析

▶スイートピーSと、3走前の牝馬限定の3歳1勝Cの時計内容を評価して、オークスで3番手に評価していた馬ですが、当時も指摘していた通り、競馬は時計だけではなく、競ってきた相手のレベルも重要で、その観点でいうとオークスまでのいずれのレースも、メンバーレベルに手薄感があった点は否めず、今年のレベルの高い牝馬クラッシック路線の上位馬には、オークスでは跳ね返されてしまいました。
▶ただ、この馬自身は血統背景から奥手な面もありますし、そもそも5月生まれの馬で春のクラシックに間に合ったことを褒めるべきという評価で、オークスでの負けは悲観する必要はないという見立てです。
▶適性的には馬場もペース・展開も不問なタイプで、操縦性が高く、また3歳1勝Cの中山芝1800mで見せたコーナー加速の良さからも、器用に競馬ができる機動力に長けたタイプという評価です。
▶また、直線でのトップSPの高さはまずまずといった評価ですが、ゴールに向かってバテない失速率の低い末脚がセールスポイントで、持続力勝負、加速ラップには強いという見立てをしています。
▶ただ、出遅れ癖や直線で抜け出してソラを使うなど、ウィークポイントもあることは確かなので、出来れば乗り慣れた騎手が継続騎乗してくれた方が馬券的には買いやすかったのかなという印象です。
▶あとは前走オークスからの距離短縮は間違いなく、プラスになるという評価です。

◇クイーンSでのポイント

・距離短縮◎⇔出遅れ癖▲
▶ローテ的にはGⅠレース後の中9週で、そもそもオークスまでが連続中2週とかなり詰めたローテだったということも踏まえると、オークス後からクイーンSまでの期間にどれだけ態勢を整え直せたがポイントになりそうです。
▶ただ、ハードなローテの中でもこの馬自身は馬体重を少しずつ増やして出走して来れるだけの芯の強さや成長力があり、今回も馬体重を増やして出走してこれるようなら、好走の期待値は上がるという見立てです。
▶また他の3歳馬にも言えますが、今回は別定戦で斤量51㎏という軽い斤量で出走できるアドバンテージは相当大きいという評価で、かつ今年のレベルの高い牝馬クラッシック路線で、クラシックトライアルを勝って、オークスに出走しているという実績は評価すべきという立場で、当然、ここでも勝負圏内にいる馬であるという評価をしています。


◆コンクシェル

◇前走回顧

前走のレース回顧/引用:netkeiba 公式HP

▶前走のヴィクトリアマイルでのコンクシェルの走りですが、出鞭を入れてハナを取り切る競馬でしたが、前半3F(33.8)-前半4F(45.4)と流石にペースが速く、そもそもマイルという距離もこの馬にとっては距離不足という点も重なって、結果が伴わないレースとなってしまったという評価です。
▶適性外の距離(1600m)と、展開的に苦しいレースだったという点からも、前走のヴィクトリアマイルは度外視で問題ないかなという見解です。

◇血統

5代血統表/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのザナはJRAで5戦未勝利の競走馬ですが、デビューした産駒は8頭中5頭がJRAで勝利を挙げているアベレージの高い繁殖牝馬です。
▶コンクシェルはお母さんのザナが12歳時の産駒です。
▶配合型としては『ソングライン』『ディープボンド』『アカイイト』らと同様にキズナ産駒の成功型の一つとなっている『SSを経由しないHaloクロス(4×5)』を持っていますし、また、札幌芝との相性が良い『Hyperionも5%以上』血統に内包するなど、キズナ産駒としてもバランスが良く、直近の札幌芝傾向にも親和性が期待できる血統構成という評価です。

◇アビリティ分析

▶逃げ馬としてはスタート後の行き脚が遅いタイプで、近走はスタート直後から鞍上が相当押っ付けて加速させていますし、前走のヴィクトリアマイルでは出鞭も入れているほどです。
▶能力的には、今年の中山牝馬Sを制してはいますが、その時のハンデが53㎏とトップハンデだった馬とは3㎏差がありましたし、レースも3角入口付近で捲ってきた『ヒップホップソウル』『フィアスプライド』『フィールシンパシー』が、結果的に自滅する競馬になるなど、展開利も相当あった印象で、中山牝馬Sに関しては、相手関係、展開に恵まれての好走という位置づけです。
▶そのような能力感という観点でいうと、今回の斤量56㎏は他馬との比較だと、やや苦しいという評価が妥当といった見立てをしています。
▶適性的には競馬場は問わずに活躍をしていますが、近走で見せた走りの中では、小倉芝1800mの『不知火特別』でのパフォーマンスが良く、得意な競馬場のタイプでいうと『小回り平坦』→『内回り急坂』の順番かなという印象です。
▶あとは、馬場は時計が速くても遅くてもこなしますし、昨年の夏にローカル競馬場の条件戦回りをして結果も残しており、暑さ耐性もある程度兼ね備えている点は評価すべき点という見解です。
▶また距離が前走のヴィクトリアマイルから、1800mに延長となる点は,
これまでの距離実績から確実にプラスという評価です。
▶ただ、ペースには注文が付く馬で、前半に急かされると、後半の粘りに多分に影響を受けるタイプで、ハイペースでの粘り強さに長けた馬ではない点は十分に押さえておいた方が良いという見解です。

◇クイーンSでのポイント

・距離延長◎⇔ハイペース適性▲
▶ローテ的には中10週で、これまでの戦績からも使って良くなるタイプという評価をしているだけに、休み明けを感じさせる走りとなる可能性も高いのではないかという見解です。
▶1週前の調整が栗東CWで4F(51.3)-1F(11.5)と、この馬としてはやや控えめな時計ではありましたが、2週前の調整が栗東CWで4F(50.9)-1F(11.5)としっかりと負荷を掛けられている点を考慮すると、体調的には問題なくレースに臨めるのではないかなという見立てをしています。
▶あとは、フォトパドックを見ると、胸が深く心肺機能が高そうですし、背中が短く、後肢が曲飛で、かつトモにも迫力があるだけに、持続力で早めに動いて押し切るよりは、ある程度、後続を引き付ける溜め逃げの方が脚質的には合っている印象です。
▶今回は同型馬である『ウインピクシス』『スタニングローズ』『ラリュエル』あたりとの前半のポジション争いが重要になってきそうですし、そもそも今回のメンバーに入ると、一枚落ちると評価しているだけに、馬券的にはここでは積極的になれる要素が少ないかなという見解です。


◆ドゥアイズ

◇前走回顧

前走のレース回顧/引用:netkeiba 公式HP

▶前走のヴィクトリアマイルでのドゥアイズの走りですが、前半4F(45.4)とハイペースの中、大外の15番枠から終始馬群の外目を回る競馬。
▶直線でも持続力タイプらしくジワジワと伸びるも、勝ち馬『テンハッピーローズ』と3着『マスクトディーヴァ』には瞬発力負けしての4着という結果でした。
▶ゴール前までジワジワと伸びる走りで、相手なりに走るこの馬らしい競馬だったという見解です。

◇血統

5代血統表/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのローズマンブリッジはJRAの芝1600mで2勝を挙げた競走馬で、近親には生涯複勝率83.3%の安定感を誇った『シンギュラリティ』、ファルコンS勝ちの『ルークズネスト』がいる血統背景です。
▶ドゥアイズはお母さんのローズマンブリッジが10歳時の産駒です。
▶配合型としては、『トニービン』の影響を感じさせる馬で、特にトニービンのスタミナや底力を下支えしている『Hyperionの血量が7.62%』と豊富となっている点は、この馬の持続力と底力を語る上では外せない要素の一つにという見解です。
▶かつ成長力豊かな血統背景でもあるので、4歳夏を迎えての伸びしろにも十分に期待ができる血統背景です。

◇アビリティ分析

▶能力的には6頭が特別登録しているヴィクトリアマイル組の最先着馬になりますし、特に同世代のモリアーナとは2歳時からしのぎを削っている関係性で、ここまで6戦して3度ずつ先着するという、対戦成績だけでいうと互角の力関係となっています。
▶適性的には持続力タイプでエンジンの掛かりが遅い分、後半の失速率も低い末脚が持ち味で、大箱の競馬場が合っているという見解です。
▶札幌競馬場は直線こそ短い競馬場ですが、札幌記念を見ても分かる通り、東京競馬場で活躍するような末脚自慢でも好走できるくらいコーナー角度は緩い競馬場なので、ドゥアイズの持続力は十分に発揮できるという見立てで、そもそも2歳時に札幌で3戦走って結果が出ていることを加味しても、札幌適性は高いという評価です。
▶あとはペースが重要になってくる馬で、スローペースになってしまうと立ち回りづらい部分があるので、ミドルペース以上で、ある程度前半からしっかりと逃げ馬がペースを流してくれた方が相対的に浮上してくるという評価をしています。

◇クイーンSでのポイント

・斤量55㎏◎⇔相手なり▲
▶ローテ的にはGⅠレース後の中10週と、しっかり仕上げて、目一杯走らせた後のレース間隔としては、評価が難しいという見立てで、状態面の見極めも重要になってくる馬という評価です。
▶馬体重的にはデビュー時から20㎏以上も増加しており、この馬の成長力の高さを感じる部分で、4歳秋に向けて益々馬体的な完成度が高まってくると考えられるので、素直に馬券的には買い時なのかなという印象です。
▶また別定戦で重賞勝利がない戦績ということもあり、斤量55㎏と他馬比較で有利な斤量で走れることも、この馬を検討する上では考慮すべきという見立てで、そういった点を踏まえると、陣営もGⅠ後の一戦、かつ秋のGⅠを見据えても、このレースを勝ちに来ていると考えてもよさそうです。
▶今回もコンクシェルが逃げて前半が流れる競馬になるようであれば、ヴィクトリアマイルでそのペースを経験して、最先着したドゥアイズにとってはおあつらえ向きの展開になる可能性が高いと考えられるので、当然、ここでは馬券の有力候補として期待ができる1頭という見解です。


◆ボンドガール

◇前走回顧

前走のレース回顧/引用:netkeiba 公式HP

▶前走のNHKマイルカップでのボンドガールの走りですが、五分のスタートを決めて行き脚がつき、前々で競馬をする形でした。
▶3角あたりでは、頭を上げる仕草もあり、相変わらず折り合いにはやや難儀している様子でしたが、直線では外から寄られる不利で、レースとしては不完全燃焼となってしまいました。
▶当然、NHKマイルカップの結果は度外視です。

◇血統

5代血統表/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのコーステッドはブリーダーズカップジュベナイルフィリーズターフ2着という実績を持つ競走馬で、ボンドガールの半兄にはハーツクライ産駒の『ダノンベルーガ』がいる血統背景です。
▶ボンドガールはお母さんのコーステッドが7歳時の産駒となります。
▶配合型としては、ボンドガールはダイワメジャー産駒の成功型を2つ満たしていて、
▶1つ目は『レシステンシア』『メジャーエンブレム』と同様でお母さんが『Danzigを持ち』であること、
▶2つ目が『セリフォス』『メジャーエンブレム』と同様でお母さんが『Blushing Groom持ち(6代目)』である点です。
▶ボンドガールはこの2つを抑えている点において、ダイワメジャー産駒としてのスケールを感じる配合型ですし、同時に牝系の優秀さも相まって、血統評価としては文句なしという見解です。

◇アビリティ分析

▶能力的には約6か月の長欠明けで得意とは言えない中山芝1600mのNZTでエコロブルームと0.1差の2着
▶アルテミスSという選択肢がありながらサウジアラビアRCでゴンバデカーブースと0.3差の2着と、同世代の実力派マイラーとしのぎを削っている点は評価すべきという考えです。
▶あとは、新馬戦の評価については、再三述べているので聞き飽きた方も多いと思いますが、
▶まずメンバーが強力で「チェルヴィニア」「コラソンビート」「マスクオールウィン」「キャットファイト」と後に桜花賞まで駒を進めた馬が4頭も含まれていること
▶もう一つが時計面で重賞級の評価ができる点です。

時計比較

▶2014年以降に東京芝1600mで行われた2歳戦で、レースの後半4Fが46秒以下を計時したレースを勝ち切った馬は、少なくとも後に重賞で活躍しており、GⅠ好走馬も複数輩出している分かりやすい走破時計の指標です。
▶直近ではチェルヴィニアが今年のオークスを制しています。
▶ボンドガールは2014年以降では最速の後半4Fを計時したレースを勝ち切っています。
▶この指標で推察できる大事な能力は『上り3FのトップSP速さ+もう1Fを粘る持続力』だと考えており、ボンドガールも重賞を勝てるだけの器であることは、個人的には信じて疑わないというところです。
▶ちなみに余談ですが、今年の2歳馬でも『コートアリシアン』がこの時計水準をクリアしてきましたので、今後の重賞での活躍を大いに期待したところです。
▶あとはこの馬の課題としては折り合い面で、そこまで酷い掛かり方をする馬ではありませんが、サウジアラビアRCの走りを見ていると、折り合えていれば、もっとやれていたのに、と思わせるだけの道中のロスは感じるので、ペースは落ち着くよりも、前半から流れた方が気性的には競馬がしやすいという見立てです。
▶また跳びが大きいフットワークで綺麗な走りをするタイプなので、東京のマイルがベストな舞台とは思いますが、コーナー角度が緩めで開幕2週目の札幌のきれいな馬場であれば、そこまで苦にすることなく、走ってくれそうなイメージを持っています。

◇クイーンSでのポイント

・ポテンシャル◎⇔折り合い▲
▶ローテ的には中11週とNHKマイルカップから少し間隔は空きますが、元々休み明けは苦にしないタイプですし、今回のクイーンSでデビュー5戦目ということもあり、使い減りするようなタイミングでもないので、これまで通り、能力は出してくれるだろうという見立てです。
▶1週前の調整ですが、美浦の南Wで6F(80.9)-4F(52.3)-1F(12.2)と、6Fの時計はいつも通りの水準ではありますが、ラスト1Fは11秒台前半が当たり前のこの馬にしては手控えた内容となっており、調整パターンを変えてきたのかなという印象を受けています。
▶恐らく気性面での課題を念頭に、終いに重点を置かない調整方法を試しているのではないかと邪推しています。
▶またフォトパドックを見ても、馬体重以上にトモにも胸前にも迫力を感じさせる筋肉質な馬体で、直線スピード勝負には滅法強そうな体型という評価で、前走から馬体重を増やしてきていても、特段心配はなさそうな馬体の造りといった印象です。
▶桜花賞候補と期待されながらも順調さを欠き、賞金的に桜花賞への出走が叶わなかった馬で、順調さに欠くイメージが付きまといますが、秋以降のレースを見据えて、賞金加算は必須の立場であることには変わりはありません。
▶他の3歳馬と同様に有利な負担重量を最大限に生かして、最低でも勝ち負けはしたいだろうし、出来るという見立てです。
▶不完全燃焼なレースが続いていますが、レースで見せているポテンシャルは本物だと個人的に評価をしているだけに、今回の好メンバー相手の一戦だとしても、十分に勝負圏内にいる1頭という見解です。


◆モリアーナ

◇前走回顧

前走のレース回顧/引用:netkeiba 公式HP

▶前走のヴィクトリアマイルでのモリアーナの走りですが、前半3F(33.8)-前半4F(45.4)としっかり前半から流れる展開ではあったものの、3~4角でもレースラップが緩まず、後方からの競馬だったモリアーナはポジションを押し上げられないまま直線を迎える競馬でした。
▶ラスト3Fのレースラップが11.6-11.7-11.7とラップだけを見ると、モリアーナが、仮に上りを33秒台中盤を使ったとしても、届かない道中のポジション差で、純粋な力負けだとは考えていませんが、
▶マイルの距離自体は特段問題ないですが、道中のペースが流れると脚が溜まりづらいモリアーナのウィークポイントが如実に表れてしまったレースだったという評価です。

◇血統

5代血統表/引用:netkeiba 公式HP

▶お母さんのガルデルスリールはJRAの芝のマイル前後の距離で2勝を挙げた競走馬で、ガルデルスリールの産駒はデビューした4頭全てがJRAで勝利を挙げるなど安定感のある繁殖牝馬という評価です。
▶モリアーナはガルデルスリールが9歳時の産駒となっています。
▶配合型としては、『Habitatのクロス(5×5)』『Hyperionの血量も5%以上』という部分が特徴的で、Habitatからは豊富SPと瞬発力を、Hyperionからはスタミナやタフさや成長力を引き継いでいる印象で、エピファネイア産駒としては欧州のアイルランド色の強い重厚な血脈がもう1本くらい入ると、GⅠでの勝負強さが増す印象ではありますが、GⅡ、GⅢであれば十分な血統構成という評価です。

◇アビリティ分析

▶能力的には『対ドゥアイズ』は先ほども述べた通り、6戦して3度先着と互角の対戦戦績ですが、『ウンブライル』相手には6戦して先着は2度だけと、やや分が悪い対戦成績になっています。
▶ただ、今年のAJCCでは『チャックネイト』『ボッケリーニ』『クロミナンス』などのGⅡ番長たちと時計差なしから0.2差程度の競馬をしていることからも、重賞戦線でしっかりと活躍ができるポテンシャルの高さは示せているという評価をしています。
▶モリアーナは2歳時からずっと見てきている馬で、馬体の造り、トモの幅や筋肉の付き方からも、ベストはマイルだと見立ていますが、
▶ある程度ペースが流れるマイル戦だと、道中での追走が苦しく脚を溜めることが難しくなる印象で、
▶ペース的には、1800~2000くらいの距離の方が、モリアーナにとっては道中で脚を溜めやすいラップ構成になりやすい印象で、今回の距離延長はモリアーナにとっては多少ですが追い風になるという見立てです。
▶3歳時のクイーンCやNZTで早めに仕掛けてはラストが甘くなるという競馬を繰り返していた馬で、道中はギリギリまで脚を溜めて直線で勝負するのがベターなタイプですが、今回はその3歳時のレースで、幾度も早仕掛けをしていた武藤雅騎手に乗り替わりとなる点は不安要素と見ています。
▶長く脚を使えない分、紫苑Sの直線で見せたように加速してから多少の進路変更にも対応できる器用さと加速性能が、モリアーナの強みですが、
▶そもそも脚を溜めるという、我慢が必要な競馬には、前走まで騎乗していた横山典騎手の『丹力』が必要だという見立てで、
▶繰り返しになりますが、ここでの乗り替わりは買いづらいです。
▶あとは出遅れ癖があるので、その点は考慮して馬券を検討する必要があるタイプという評価です。

◇クイーンSでのポイント

・加速力◎⇔ハイペース適性▲
▶ローテとしてはGⅠ後の中10週となりますが、そもそも休み明けは苦にしないタイプですし、馬体重も近走も増やしつつレースをこなしている充実ぶりからも、GⅠからの折り返しでの出来落ちはあまり考慮してなくても良いのかなという印象です。
▶あとは、別定戦で斤量57㎏とこれまでに背負ったことのない負担重量を背負うことになる点は、他馬比較でいうと決してプラス材料にはならないという評価で、
▶持ち前の加速力でトップスピードまで最速で到達したいこの馬にとっては、斤量の影響は避けられないのかなといった見解です。
▶舞台設定的には、札幌芝という条件は2歳時に結果を出している経験からも悪くないという評価ですが、『乗り替わり』『負担重量57㎏』『対戦成績が分が悪い馬の存在』など、積極的に馬券を買いに行く材料が乏しいという評価の1頭です。


◆クイーンSのまとめ

それでは!

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