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KE Holdings (BEKE) 決算解説 FY20Q4

今回は3月15日に発表された中国不動産仲介プラットフォーム大手KE Holdings (BEKE) のFY20Q4の決算解説をしていきたいと思います。

BEKEについては以前に他社比較等も含めて徹底分析した記事も執筆していますので、よろしければそちらも参考にしてみて下さい。BEKEに関して様々な視点から分析しているので、BEKEにかなり詳しくなれると思います。

また、不動産関係で言うと、米国不動産Tech業界に関しても以下の記事で徹底分析しています。米中比較で検討されたい方はこちらもお勧めです。

ということで、前半で決算の事実関係の確認、後半ではより深く決算のポイントや今回の決算に対してどう解釈すべきか私なりの所感も書いていきたいと思います。

FY2020Q4決算概要

概要については、ユーエスさんのツイートをお借りします(ユーエスさんいつもありがとうございます)。

財務諸表(PL)

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2020年第4四半期のビジネスハイライト

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✔ 総取引額(GTV)は、前年同期比65.4%増の1兆1,200億人民元(1,716億米ドル)となった。中古住宅取引のGTVは5,847億人民元(896億米ドル)で、前年同期比69.8%の増加。新築住宅取引のGTVは4,692億人民元(719億米ドル)で、前年同期比55.5%の増加。エマージングおよびその他サービスのGTVは661億人民元(101億米ドル)で、前年同期比113.2%の増加
✔ 純収入は227億人民元(35億米ドル)で、前年同期比57.6%の増加
✔ 純利益は1,096百万人民元(168百万米ドル)。調整後純利益は 20 億 100 万人民元(3 億 700 万米ドル)で、前年同期比 4,424.8%の増加
✔ 店舗数は2020年12月31日時点で46,946店舗となり、1年前に比べて25.1%増加
✔ 代理店数は、2020年12月31日時点で493,088店となり、1年前に比べて37.9%増加
✔ モバイルの月間アクティブユーザー数(MAU)の平均は4,820万人で、前年同期比88.3%増

2020年12月期のビジネスハイライト

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✔ GTVは3兆4,991億人民元(5,363億米ドル)で、前年比64.5%の増加。中古住宅取引のGTVは、1兆9,400億人民元(2,973億米ドル)で、前年比49.5%の増加。新築住宅取引のGTVは1兆3,830億人民元(2,119億米ドル)で、前年同期比85.0%の増加。エマージングおよびその他のサービスのGTVは1,761億人民元(270億米ドル)で、前年同期比113.0%の増加
✔ 純収入は、前年同期比53.2%増の705億人民元(108億米ドル)となった
✔ 純利益は2,778百万人民元(426百万米ドル)でした。調整後の純利益は57億2,000万人民元(8億7,700万米ドル)で、前年同期比245.4%の増加

共同創業者兼CEO Stanley Yongdong Pengのコメント(翻訳)

当社は2020年に卓越した成長を達成し、第4四半期の業務および財務状況を堅調に推移させて1年を終えました。当社の大規模なスケール、運営効率、高品質なサービスが強力なネットワーク効果と相まって好循環を生み出し、当社の通年のGTVは前年比64.5%増の3.5兆元に達しました。この1年間で私たちが経験したことは、困難であっても正しいことを行うというコミットメントがもたらす価値が、私たちのすべての業績の基盤であるという確信を固めました。

お客様のために価値を創造し、店舗や代理店に力を与えることに注力した結果、当社の中古住宅取引サービスのGTVは、2020年に49.5%増の1兆9,400億人民元に大幅に拡大しました。当社のプラットフォームでは、本物の物件保証や取引資金のエスクローサービスなど、8つのコア・コミットメントをお客様に積極的にアピールし、2020年第4四半期には上位30都市の84%の店舗に浸透しました。新築住宅取引サービスのGTVは、2020年には85%増の1兆3,800億人民元に達しました。これは、お客様のニーズを確実に満たし、サービスプロバイダーを支援し、より多くの不動産デベロッパーと関係を築き、お客様のニーズに合わせた、より効率的なサービスを提供するという3つのアプローチによるものです。2020年には、新築住宅の販売手数料分割の40%以上をカバーする手数料前払い制度をコネクテッドストアやその他のプラットフォーム参加者にも拡大し、すべてのプロセスをオンライン化することに成功しました。また、次の成長に向けて、ホームデコレーションやリフォームサービス、金融サービスなども順調に進めています。

2021年に向けて、当社は5つの重点分野を設定しています。すなわち、お客さまへの対応、サービスプロバイダーのサポート、新興サービスの育成、社会的価値の創造、そして、この幅広い市場機会におけるテクノロジーの重要な役割の強化です。私たちは、中国の3億世帯に包括的で信頼できる住宅サービスを提供するというビジョンの実現に向けて、当社の成長軌道を確信しています。

CFO Tao Xuのコメント(翻訳)

第4四半期も高い収益成長と高い収益性を示す堅調な業績を達成することができました」と述べています。第4四半期の純売上高は、前年同期比57.6%増の227億人民元となり、前回のガイダンスレンジの上限を上回りました。これは、店舗の持続的な成長を支える適切な水準であると考えています。これは、当社の代理店協力ネットワーク(ACN)の強力なネットワーク効果を示すものです。今後も、消費者の皆様により良いサービスを提供することに注力し、仲介ブランド、店舗オーナー、代理店、不動産デベロッパーなどのプラットフォーム参加者が消費者の皆様により良いサービスを提供できるよう支援するとともに、継続的に競争力を強化し、速いペースで事業を成長させていきます。ACNのインフラ、ユーザーベースの拡大、革新的なA.I.技術への投資を継続することで、収益化能力をさらに高め、持続的な成長を実現できると確信しています。

事業の見通し

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2021年第1四半期の総純売上高は185億人民元(28億米ドル)から195億人民元(30億米ドル)の間で、2020年同期比で約159.8%から173.9%の増加になると予想

決算解釈

以下は、上の事実関係やBEKEのビジネスモデルを踏まえて、より深く決算を精査し、どの様に今回の決算を理解し、解釈していくべきかを私なりの視点で分析したコメントになります。決算のどの様な点を見れば良いのかわからないといった初心者の方にも、どの様にして決算を確認し、メンテナンスをしていけば良いのか分かるように出来る限り平易な言葉で書いていますので、最後まで読んで頂けますと幸いです。

今回分析するにあたって、特に重点的に確認した点は以下の点です。

・四半期別財務数値推移分析
・今後の見通しについて
・上記分析を踏まえた雑感

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