Bumbleへの投資判断プロセスを書いてみた~新規米国IPO銘柄紹介&企業分析プロセス紹介~
2021/2/11 22:20 追記
IPO価格の最終決定に伴い、バリュエーション関係の項目を修正
ケイ (@Kei_IPOstock)です。主に米国IPOに関する情報を発信しています。
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この記事でわかること
・Bumbleの銘柄情報
・Bumbleへの私自身の雑感
・初見の会社をどの様にして分析し投資判断を行うかまでの思考過程の説明
・S-1の読み方
というわけで、今回は2月11日(木)に新規IPO予定のデーティングアプリ大手Bumbleについての記事を書いてみました。
とは言え、恐らくしっかりとした網羅的な銘柄分析については、カピバラさんもnoteを書くとツイートしていたので、カピバラさんにお任せしようかなと思います。カピバラさんすみません・・・(笑)。
実際、カピバラさんはMatchの深い分析も過去に執筆されていたので、恐らくこの業界については私なんかより相当詳しいのではないかと思います。ですので、Bumbleについてしっかりと押さえたい方はカピバラさんのnoteを是非ご参照ください(えっ!?)。
となると、
「お前何書くねん?存在意義ないじゃん??」
と言われそうですが(笑)、今回は新しい試みとして、初見の業界や会社をどの様に企業分析して、投資判断をしたのかというプロセス書いてみたいと思います。
簡単に言うと、私が今回BumbleのS-1を読んで、脳内でどう考えて、どの様にして投資判断、また、いくら位の株価位までなら買っても良いかな~というのを考えたかというプロセスを書きました。
米国IPOマガジンの紹介でも書いた通り、同マガジンで書きたいことの一つに、公認会計士がどの様に財務分析や企業分析をしているのかということを追体験してもらうというのがあります。私の脳内を説明することで、今後読者の方が、「あ~こうやって初見の会社の企業分析やら財務分析やらすれば良いのか~」といった点で、少しでも示唆を与えればと思っています。ですので、今回はあえて、初見且つあまり馴染みのない業界について、追体験できるような企画にしてみました。
というわけで、Bumbleへの投資に興味ある方は勿論のこと、企業分析や財務分析の勉強をされたい方、また、興味がある方は割と面白い内容になっているかと思いますので、是非最後までお読みいただけますと幸いです。
1.Bumbleの銘柄概要
一旦、本題に入る前に、簡単に銘柄概要だけ記載しておきます。
【会社概要】
✔ 女性中心のデーティングアプリ大手
✔ 既存投資家:投資ファンドのBlackstoneが80%超の株式を保有
✔ 創業者兼CEOのWhitney Wolfe Herdは元々Tinderの創業者。その後、セクハラ問題や差別等を理由にTinderを提訴するとともにBumbleを創業。マネジメントメンバーは他に元Google Cloud社長であるTariq M. ShaukatがPresident、CFOは会計事務所のEY→Citi→事業会社CFOを経て現職。
✔ 設立2006年、従業員数650名、本社はテキサス州オースティン
【IPO条件】
✔ 主幹事:Goldman Sachs(トップレフト)、Citi、Morgan Stanley他
✔ 監査法人:EY
✔ ディールサイズ:$1,001M(IPO後の浮動株比率は17%程度)→最終的に次の通り修正 ディールサイズ $2,150M (IPO後の浮動株比率は25%程度)
✔ 公開価格:$28-$30→最終決定値 $43
✔ 調達資金使途:借入残高(タームローン)の返済に使用
【ビジネスモデル】
✔ マネタイズ: フリーミアムモデルで収益化。サービス利用は無料な一方、プレミアム機能にアクセスするためにサブスクリプションやアプリ内課金を支払うことでマネタイズ
【市場環境】
✔ 北米(米国・カナダ)が最大のオンライン・デート市場であり、オンライン・デートの月間アクティブユーザー数は約4,400万人、2020年時点で約20億ドル(約2,000億円)のオンライン・デート市場に相当
✔ 中国を除いた世界ベースでは、2020年時点で約1億9,000万人の月間アクティブユーザーがオンラインデートを利用しており、世界のオンラインデート市場は約53億ドル相当と予測(約5,300億円)
✔ 北米のオンラインデート市場は、2020年の約20億ドルから2025年には約34億ドルへと年率約11%成長すると予測され、世界市場は2020年の約53億ドルから2025年には約99億ドルへと年率約13%成長すると予測
✔ 市場成長の主な推進要因としては、独身者人口(未婚者と定義)の増加、オンラインデートのさらなる浸透、マネタイズの増加を見込む
✔ BMBLとしてはは、オンラインデートは「勝者がすべてを手にする」市場ではないと主張(恐らくMatchのことを暗に指していると思われる)。BMBLとしては、規模、使命感を持ったブランド、一貫した製品革新により、ユーザーに選ばれるトップアプリになることができると考えている
【財務状況&バリュエーション】
FY2018とFY2019の比較
✔ 売上高はFY2018の3億6,010万ドルからFY2019の4億8,890万ドルで、前年比35.8%成長
✔ 純利益(損失)は、それぞれ△2370万ドル、8580万ドルとなり、前年比1億950万ドルの増加。純利益(損失)マージンはそれぞれ△6.6%、17.6%。
✔ 調整後EBITDAはFY2018の6,580万ドルに対してFY2019の1億180万ドルとなり、前年比54.7%成長。調整後EBITDAマージンはそれぞれ18.3%、20.8%となり改善
✔ 営業CFはFY2019ではプラス
FY2020(予測)
✔ 売上高はFY2019の4億8,890万ドルからFY2020は5億8,049万ドルの前年比19%成長を予測
バリュエーション
✔ IPO時想定時価総額は$5,776M→最終決定値 $8,667M
✔ PSRはFY2020(予測)ベースで10倍→最終決定値ベースだと14.9倍
というわけで、以上、ざっと銘柄概要を押さえたところで、早速本題に進みたいと思います。
2.Bumbleの投資判断プロセス&雑感
以下の順番で、今回BumbleのS-1を読んで、どの様に投資判断し、また、もし買うとしたらいくらまでなら買っても良いかというプロセスを記載しました。
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