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OZONのプレ決算を見て何を考えたか?~FY2020Q4プレ決算解説&思考過程を書いてみた~

今日はロシアEC企業、OZONについての記事を書いていきたいと思います。

先週、2月17日(水)にOZONがプレ決算発表の様なものを公表しました。プレ決算発表というのは、正式な決算数値ではないものの、主要なKPI等のFY2020Q4での進捗について会社側が報告したものになります。

なお、正式な決算結果&監査済財務諸表は、2021年3月30日に公表することも併せてアナウンスメントとがありました。

今回の記事では前半でプレ決算の事実関係の確認、後半ではより深くポイントや今回発表された事項に対してどう解釈すべきか私なりの所感も書いていきたいと思います。

ちなみに以前に目論見書の内容は下記の記事でまとめていますので、そもそも事業内容や市場等の情報を知りたいという方はこちらも参考にしてみて下さい。

FY2020Q4プレ決算概要

前半については、下記の発表をまとめ、記載します。

Q4サマリー

2020年第4四半期も好調なモメンタムが継続し、成長が加速
✔ サービスを含むGMVは740億ルーブルを超え、前年同期比140%以上の成長に加速
✔ 注文数は2019年第4四半期に配信された1250万件に対し、137%増の2960万件に増加
✔ Ozon Marketplace GMVのシェアは52%に達し、2019年第4四半期の26%に対して2倍に拡大。
✔ Ozonプラットフォームは引き続き、力強い営業キャッシュフロー(ポジティブ)を示す

FY2020(年間)サマリー

✔ サービスを含むGMVは前年比140%以上増加し、1,950億ルーブルを超えた
✔ 受注件数は7,390万件に増加し、2019年通年では3,180万件だったのに対し、132%の成長を遂げた
✔ Ozon Marketplace GMVのシェアは、2019年通期の17%に対し、48%に到達
✔ 2020年通期の営業キャッシュフローは損益分岐点に到達

Q4ハイライト

① サービスを含むGMVは740億ルーブルを超え、前年同期比140%以上の成長に加速

好調なマーケットプレイスの業績、顧客の注文頻度の増加、地域別売上の増加、フィンテックの拡大などが牽引した

↓ 具体的には・・・

好調なマーケットプレイスの業績
✔ 2020年3月、ロシアは食品以外のオフライン小売店やショッピングモールの一時的な閉鎖を含むCOVID-19ロックダウン措置を発動。政府は5月下旬から6月にかけて、これまでの規制を緩和。6月から7月にかけて小売店やショッピングセンターが再開されたにもかかわらず、Ozonのプラットフォーム上での販売者数と注文頻度は増加を続けた
✔ Ozonマーケットプレイスのシェアは、継続的な売り手の流入を背景に拡大。販売者数の増加により、複数の製品カテゴリーのSKUが継続的に増加

顧客の注文頻度の増加
✔ 注文頻度は、より迅速で信頼性の高い配送、より幅広い品揃え、カスタマーエクスペリエンスの強化、およびフィンテックイニシアチブの展開により、継続的に増加

地域別売上の増加
✔ 地域別売上高の成長は、Ozonのラストマイル配送とフルフィルメントインフラへの投資によって支えられました。2020年、Ozonはロストフ・オン・ドン、カザン、サンクトペテルブルク、ノボシビルスクにフルフィルメントセンターの運営を開始し、バイヤーへのより迅速な配送を促進し、地域の売り手のためのフルフィルメントとロジスティクスサービスを強化

フィンテックの拡大
✔ Ozonは、買い手と売り手の両方に向けたフィンテックの取り組みを拡大しました。2020年第4四半期、Ozonは主要銀行との提携を開始し、Ozon.Investプラットフォームを介してマーケットプレイスの売り手にローンを提供し、売り手のビジネス成長を支援
✔ 2020年12月、Ozon.Cardはバーチャルカードの提供を開始し、Ozon.Cardのより迅速かつ広範な普及を可能にした。Ozon.Card保有者は、より高いロイヤルティと高い注文頻度を示しており、これまでのところOzonバーチャルカードで示された同様のダイナミクスを示している

② Ozon Marketplace GMVのシェアは52%に到達し、2019年第4四半期の26%から倍増

この成長は主に・・・

・全国規模のフルフィルメントおよび物流インフラへのアクセス
・大規模で成長中の顧客基盤
・売り手のための高度なビジネス分析と広告ツール
・フィンテックサービス

等、加盟店に包括的な価値提案を提供するOzonのプラットフォーム上の売り手の数が急速に増加したことによるもの

③ 2020年第4四半期の強力なプラスの営業キャッシュフロー

✔ 販売量の大幅な増加と有利な運転資金の動態に起因
✔ 売掛金が少なく、多額の支払債務を抱えるOzonのビジネスモデルは、流動性管理の重要な要素として、マイナスの運転資金を活用することを可能にしている

プレ決算解釈

以下は、上の事実関係を踏まえて、より深く決算を精査し、どの様に今回のプレ決算を理解し、解釈していくべきかを私なりの視点で分析したコメントになります。

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