PCPD診断備忘録

受けたので備忘です。なお、「イメージコンサルティングとは」「PCPD診断とは」のような基礎知識は、この記事を読む方なら全員ご存知だと思われるので省略します。


受診のきっかけ

①単純に趣味。骨格・PC・顔タイプについてはほかのサロンで診断済みで、総合的な診断となるパーソナルデザイン診断がどんなものか興味があった。
②近々スーツを仕立てる予定があり、その参考にするため。

事前情報

身長:160cm
骨格:ストレート。ものすごくわかりやすいストレート。
鎖骨が見えにくい、というか見えない。肩幅がデカい。
背中の肉がすごく、肩甲骨が見えにくい、というか見えない。
肋骨に急角度がついているので正面から見るとくびれと呼べそうなものはあるが、逆三角形という形容のほうが近い気がする。
腿は太いが脛と足首は細い。
PC:冬。暗く濃く鮮やかな色が似合う。特に黒が最強。
顔タイプ:クールカジュアル。いかにもなアジアンというか、韓流な顔立ち。塩顔通り越してもはや水。ショートが最強に似合う。
PD(予想):初対面の人に男子中学生と間違われることが多く、「キュート(ボーイッシュ)」と予想。

サロンについて

いわゆる「本家筋」。都内某住宅街の一角(詳細非公開)のサロン。
朗らかな人柄のコンサルタントは白地に黒のキャラクターが描かれたロゴTの上にフューシャのニット、下はペールブルーのワイドデニムで、ザ・ブルべ冬の出で立ちだった。
室内にはすばらしく毛並みの良いネコチャンがいて、人懐っこく愛らしかった(が、猫アレルギーの方は当然受診できないので注意)。
「本家」では7時間を診断に費やすこともあるというが、このサロンでは1人で訪問したためか2時間で終了。長ければいいというものでもなく、筆者は長いとおそらく集中力が持たないし、パッと即断即決してくれる快刀乱麻な審判者が何事においても好きなので、このサロンは合っていた。

PC診断

別のサロンでの診断結果「冬」については、100%信頼しきっているわけではないものの、幼いころから自分にはモノトーンがいちばん似合うし好きだという確信があるため、深く納得はしている。
そのため、「『冬』以外の診断が出たらここのサロンの信頼性はそうとう揺らぐな」と緊張しながら診断を受けた。とあるPD診断レポで、「でたらめなコンサルタント(サロン名不明)にでたらめなPCPDを診断された」という報告があったこともあり、身構えていた。そのレポでは「PC診断時に自然光ではなく室内光を使っていた」というめちゃくちゃな話が載っていたが、幸い筆者の訪問日はよく晴れていたこともあり、室内の照明はすべて落としてあった。まずはここで安心する。
「まず目の色を見せてください。きれいな焦げ茶ですね」
「冬」の瞳は黒しかありえない(自分でも黒だと思っていた)ので、ここで軽く不安になる。はたして。
「そうですね、では『秋』と『冬』の比較から始めます」
PC診断サロン恒例の布当てが始まる。
「茶色はアウターのイメージで見てみましょう。鏡に映ったお顔を見ていてください……うん、『秋』の茶色は部屋着、『冬』の茶色は高級なコートですね」
「赤はそんなに違和感なく、『秋』の赤も『冬』の赤も似合いますね」
何色か試し、
「『冬』が強いです」
「では次は『春』と『冬』」
「緑いきます。お料理教室をイメージしてください、どちらが信頼できる先生ですか? 『冬』のほうですね。『春』の緑は生徒って感じです」
また何色か試し、
「また『冬』が強かったです。イエベは遠いですね」
「最後、『夏』と『冬』です」
「ピンク当ててみますね……ああ、こっちも『冬』ですね」
また何色か試し、
『冬』で確定です
よかった、過去の結果と相違なかった。よほどわかりやすく「冬」だったのか、最後の「夏vs冬」は限られた色しか登場せず、ものすごいスピード感で診断が終了した。
にしても、各ドレープを次々に筆者の肌に当て、ポンポンと流れるように「こっちの布は東京電力の作業着ですね」などの「喩えツッコミ」をしていくさまはまるで芸人で、診断を受けながらゲラゲラ笑ってしまう。「本家」のコンサルタント養成講座には大喜利の実習もあるのだろうか?
最後に色見本帳をお渡しいただく。筆者に似合うのはモノトーン、青系の色(ロイヤルブルーやトゥルーブルー)、極端に薄い色(アイシーカラー)、極端に濃い色。明度が中途半端な色は似合わない。ブルべ冬の色見本帳は彩度が高いという点では統一されているが、明度に関しては「高いものと低いものが多い」というだけでわりとまちまちである。そのため、掲載色の中でもたとえばターコイズやトゥルーレッドなんかはまずいかもしれないという話。

PD診断

芸能人の名前をたくさん出してパーソナルデザインの基礎知識を概説していただくが、筆者はテレビに出ている人にめちゃくちゃ疎いのでぼーっと聴いていた。そしてセッションが始まる。
「いちばん遠いと思うものはなんですか?」
「『フェミニン』、ですかね」
「そうですね、こういうふわふわしたスカートなんか……」
「穿かないです」
「即答でしたね。フェミニンさんは七分丈とか、『中途半端』なものが似合う方なんですが、(筆者)はそういう感じではないですね」
後知恵の考察:PC診断で「極端な色が似合う」、ここで「中途半端は似合わない」といわれたことは今思うと伏線だったのかもしれない。
「では次になにが消えると思いますか?」
「すみません、もうほんとにわからないです。……ファッショナブル? とか?」
「では、私のほうでひとつ消します。『キュート』が消えます。キュートさんはロゴTにリュック背負ってスニーカーとかでデートにでも行ってしまえる人なんですが、ロゴTとか……」
「ああ、着ないですね……」
事前予想「キュート・ボーイッシュ」がここで消えた。なるほど、「ボーイッシュだと言われる」ことと「PDボーイッシュと診断される」ことの間には大きな乖離があるようだ。ちなみにコンサルタントがきょうロゴTを着ているのも「キュート」を根拠としているそうだ。
ここで(だったと思う)、身長を尋ねられる、前髪を分けさせられる、服の襟ぐりを広げさせられる、正面と横からの立ち姿を観察されるなど、先駆者たちのPD診断レポにかならず登場するシーンが展開した。
「グレースを消します。先ほどドレープを丸めてコサージュに見立てて胸に当てたときに、コサージュが大きくても負けなかったので」
「ロマンスを消します。ロマンスさんってお化粧をしないで外に出るとなんだか締まらないって方々なんですよ。先ほど、『お化粧はほとんどしない』とおっしゃいましたよね?」
コンサルタントは目もくらむような速さで可能性を潰していく。新幹線に身を委ねているような心地よさだ。
「では、ナチュラルとファッショナブルの2つに絞れましたので、ここからメインとサブを決めていきます。ほぼ同じ割合で混ざってるので、悩むんですが……(筆者)って怖い感じはしないんですよ。だからメインはナチュラル。サブはファッショナブルですね

ここに、「イメコン界隈」のことばでいうところの「ナチュファッ」が誕生した。
後知恵の考察:「ナチュラル」は肩幅が広い人が多いらしく、ここで骨格ストレートが効いた可能性は高い。
ここからはアドバイスのパートである。「直線が強いので、ストライプとかお似合いになります」
後知恵の考察:不勉強な筆者はここで「直線PD」「曲線PD」の概念を知ったが、「直線」は顔タイプ診断でも頻出する語だ。診断にはクールカジュアルの要素も効いたのだろうか。
「お化粧は薄めが似合います」
後知恵の考察:筆者はふだん(めんどくさいので)化粧をほぼしないのだが、これも「伏線」だったということだろうか。「化粧をせずにいられない」という人間の感情は完全に想像の埒外だったのだが、異なるPDに生まれついていれば嫌でも共感できてしまっていたのだろうか。
「ヘアスタイルは手の込みすぎたものが苦手で、飾らない感じで」
後知恵の考察:筆者は地毛の黒から染めたことがなく、ベリーショートでヘアアレンジは寝癖を直す程度、剛毛かつ直毛でパーマもかけたことがなかった。これをPDナチュラルの「飾らない魅力」として解釈してよいのなら、鮮やかな「伏線回収」だろう。また、黒が似合うのはブルべ冬の特徴だし、ヘアアレンジを一切しなくてもなんとなく良い感じになるのはクールカジュアルのあるあるだ。
だが、筆者は幼いころからPCも顔タイプもPDもいっさい考慮せず、ただ自分が「好きだから」このように髪と付き合ってきたのであって、生来の好みがPCとも顔タイプともPDとも完璧に一致しているのは、なにやら超自然的なものすら感じてしまう奇妙な現象だ。

「ナチュラルさんは『普通』が似合うのですが、ファッショナブルが入っているのでそれだけだと野暮ったくなります。たとえばシンプルなTシャツとシンプルなデニムなら、デニムをワイドやダメージにしたり、トップスに個性を足してみてください」
「ファッショナブルのルックブックの中では色のコントラストが控えめなものがお似合いになります。コントラストが強いと派手になりすぎます」
「スーツはシンプルなものが良いですが、襟の大きさは大きくても小さくてもOKです。柄はストライプも素敵です。スーツがシンプルなぶん、ネクタイやYシャツを華やかにして、ちょっとだけ遊ぶのがお似合いです」
後知恵の考察:インターネットに転がっている記事だと「ナチュラルだけ」「ファッショナブルだけ」のアドバイスが多いので、ナチュラルとファッショナブルを上手く混ぜ込む手法を提案してもらえるのはパーソナルなコンサルティング受診の特権だろう。

メイクレッスン

筆者が所持しているメイクアイテムはグレー系アイブロウペンシル1本のみである。過去にBBクリームを買ったが、塗っても塗らなくても変わらない気がして使用をやめた。これが「厚化粧が似合わない」PDナチュラルの「伏線」と言われれば、そんな気もする。
「ファンデーションは米粒程度にとって、目の下にすっと塗る感じで。でもお肌がきれいですから……」暗に「やらなくていい」と言われる。
「アイブロウはグレー系をお持ちとのことで、良いですね。大人PDなのでかなり長めで、小鼻と目尻を結んだ直線の延長線上に眉尻を置くくらいの気持ちで」
「チークは顔の前側に持ってくると『チークが主役』の印象を与えてしまいます。頬骨から外側、こめかみやもみあげに向かって、ほとんどもみあげに塗りこめます」
「アイシャドウはモノトーンやラベンダーのパレットが似合いますよ。(「モノトーンで行ってみます」と言うと)白はアイホール全体に薄く塗ります。つぎに灰を睫毛の生え際に、筆の幅と同じくらいの太さで置きます。最後に黒を目尻に置いて、指でぼかします。中途半端な明度の色は使わないことが重要。マスカラやアイライナーは要らないです」
「リップですが、ほとんど紫みたいな色でもブルべ冬の方はきれいに発色します。おしゃれに決めたい日は濃い目のボルドー、普段使いならショッキングピンクが馴染みます」
最後に写真撮影、LINEの交換とアフターフォローの案内を受け終了。帰宅して鏡を見ると、『花様年華』のマギー・チャンを一重まぶたにして全パーツを横に伸ばしたような、恐ろしくエキゾチックで妖艶なアジアンビューティーが写っていた。
眉をめちゃくちゃ長くして、目尻をほんの少し黒で締め、唇に薄く紅を引いただけで、こんなにも自分から色気が引き出されると思わなかった。コンサルタントに感謝したい。

『花様年華』のマギー・チャン(左)。(https://eiga.com/movie/1470/より)

まとめ

筆者のPCは「冬」(転生なし)、PDは「メイン:ナチュラル、サブ:ファッショナブル」であった。良く言えば今までの人生が鮮やかに「伏線回収」される気持ちよさのある結果、悪く言えば意外性のない結果だった。
個人的な白眉はメイクレッスンで、今まで見たことがないほど美しい自分自身――それは「顔のパーツが整っている」ということではなく、しなやかなプライドを感じさせるオーラというか、とにかくことばにしがたい「魅力」が引き出された自分自身を人生で初めて目撃して、鮮やかな緑に囲まれた道が目の前に突如開けたような気分だった。この顔に合うスーツを作るのが今から楽しみである。


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