「鳴いて泣いて凪いで、」 #青い傘 企画小説
"あっ、いま大丈夫? 明日からの旅行なんだけど、熱が38℃から下がんなくて。自分の分のキャンセル料は払うから、ごめんねー!"
やけにテンションが高い友人からの電話を受けたのは、金曜日の夕方だった。
「えっ?……いや、部屋とか二人で取ってたじゃん、どうすれば良いの?」
会社なのに大きな声が出てしまい、私は慌てて立ち上がると、こそこそと隠れる様に廊下へ出る。
"んー、ホテルにメールしとくよ。それで一人部屋代金とか取られたら、私に請求してよ。全然払うし!"
「いや、全然払うし、