映画感想「ディスコネクト」ネット二重人格の世界
ディスコネクト
2012年のアメリカ映画、この映画を見ていると現実の家族や学校や職場のほうが仮想現実で、SNSなどのネットの世界を現実のような感覚で生きているのかもしれないとみんなが不安になると思う。アメリカ人だけでなく世界中の人々がネットの世界も日常の一部のように思って生きている、そして突然スマホやPCの画面から思ってもみない生身の人間が姿を現して、その現実に存在すると思われる人間の生々しい人間性に面食らう、この映画にはそういう衝撃がある。
ネットがない時代でも、詐欺師はいて人は騙されたし、不快な人との交友に悩み、親子なのに関係が成立しないことに苛立つことはあったけれど、この映画を見ていると、確かにネットの世界に対してみんなは根拠のない性善説を信じていて現実にはない何か素晴らしいものがあると思い込んでいる。そしていざトラブルが発生したときにスマホやPCの向こうに悪魔がいたことに気が付き愕然とする。
こちらが電源を入れて始めたのだから、自分のほうがネットの世界を支配しているみたいな感覚はあるのかもしれない。だけど本当に時々文字化けしたみたいに、ネットの向こうにいる人間が突然変換して、一体自分は今まで何と相対していたのかとパニックになるような怪物を見つけてしまうことはある。
ディスコネクトは電源を切るとか縁を切るという意味らしいけれど、今となってはネットの世界と縁を切ることは本当に可能なのかという気もする。仮にネットの世界と断絶出来ても現実の家族や周囲にいる人間との間に特別な関係が築けるのかもわからないし、ネットの世界のほうが自分を理解してくれる人がいるような妄想めいた誘惑は断ち切り難い気がする。この映画の最後もこれから先は不透明みたいな感じで終わる。