『未上場市場』

先日設定されたファンドでもクロスオーバートレードを実施するなど、
未上場企業への投資の重要性が高まったように感じます。
今回はユニコーンが生まれる背景等を簡単にまとめましたので
情報提供いたします。



■ユニコーン企業が増加

世界で創業10年以内、評価額が10億ドルを超える未上場の企業
「ユニコーン」の数が年々多くなっています。

2014年   :100社未満
2015年10月 :142社
2021年3月   :528社 (2021年10月:約800社)
 


■世界のベンチャー投資が拡大

昨今、未上場でも多額の資金調達が可能になりました。

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世界のベンチャー投資額の増加の背景には、
今まで公開市場で上場企業銘柄を中心に運用してきたファンドやヘッジファンドの投資家が未公開市場に降りてきていることが考えられます。

彼らは先進国における上場企業の成長余力がかつてほど大きくないと考えており、より成長が見込める投資先として未上場企業への投資を加速させています。


■長期的な事業展開が可能

上場すると大規模な資金調達が可能な一方で
株主が増え、経営のコントロール権が弱まり、また短期的な利益のプレッシャーが高まります。

未上場のまま資金調達を行うことで、
より長期的な経営ができるようになります。
IPOやM&Aを早く完了させるよう要求されることはありますが、
四半期ごとの利益を強く求められるわけではないので、比較的長期的な事業展開が可能になります。

ジェフ・ベゾスのブルーオリジンが2000年から
イーロン・マスクのスペースXが2002年からロケット開発を行っているように、大きなことを成し遂げるには長い時間を要するのです。


■バイトダンスやスペースXは未上場

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従来であれば上場していたであろう企業が
未上場のまま多額の資金を調達し、企業価値を高めることでユニコーン企業の数が多くなっていると考えられます。


■レイターステージのスタートアップは上場企業と遜色ない

未上場企業への投資というと、創業してすぐに投資をするイメージがあるかもしれませんが、上場間際のレイターステージの資金調達の割合が増えています。

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レイターステージのスタートアップはビジネスモデルの確率度合いが高く、売上規模も大きくなることが多いです。
外形的に上場企業と遜色ないケースが増えているため、上場企業投資家が未上場市場へ参入しているということも背景にあると考えられます。


■大規模IPOが多い

未上場の段階で大規模な資金調達が可能になったとはいえ、
企業にとってIPOは資金調達の強力な手段です。
ただ、上場するまでに調達する資金は多くなっており、創業からIPOまでの期間も長期化しています。
そのため、AirbnbやRobinhood等、企業価値が高まった状態での大規模IPOも増えています。

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■成長の恩恵を享受できなくなる

将来の成長が期待される企業が上場を選択しないことで懸念されるのは、
企業の成長の果実を享受できるのがVCや機関投資家などに限られていることです。

ただ、今後も一般投資家が直接未上場企業に投資をするのは難しいと考えます。
なぜなら、企業側からお断りされるためです。
企業が求めているのは
自分たちの経験不足や人脈不足を補ってくれる、経験豊かで且つ、資金を提供してくれる投資家であり、ただお金を持っているだけの人ではありません。
実際、有望な企業には多くのVCからアプローチがあり、企業側が誰から資金提供を受けるか選択しています。

つまり、私たちができるのは
経験豊富で企業から求められているようなVCや投資家に資金を提供することでしょう。


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