『原油』



先日門田さんのロープレにて
「原油の需給のうねりははじまったばかりか」とのお話がありました。
直近の物価上昇圧力に一要因にもなっている原油に関して、最近のニュースをまとめました。

上昇
・新型コロナウイルス感染抑制とともに、個人の外出規制及び経済活動制限が緩和による
 石油需要の増加
・OPECプラスの協調減産がうまく運んでいる
・中東情勢の不安定化と当該地域からの石油供給への影響に対する市場の懸念の増大

下落
・米国ドライブシーズンに伴うガソリン需要期の終了
・消費国からの働きかけによる減産処置の縮小加速(供給増)
・テーパリングによる原油市場へのリスクマネーの供給減少


▽10月のIEAの見通し
IEA(国際エネルギー機関)は10月の世界の石油需要が4ヶ月ぶりに増加するとの見通しを示した。
「新型コロナの流行が収まりつつある兆候がすでに出ており、
10月の需要は日量160万バレル急増する見通し。年末まで増加が続く」と指摘。

▽OPECプラスの協調減産
昨年5月に日量970万バレルの強調減産を始め、今年の8月からは協調減産を毎月日量40万バレルずつ縮小している。
先月9月のOPECプラス会合でも引き続き、毎月日量40万バレルずつ増加させることで一致している。
OPECプラスによれば
「減産幅を縮小(供給増)しても今年の世界の原油受給はなおタイトな状況が続く」という。
※次回のOPECプラスの会合は10月4日予定

▽OPECプラスが増産拡大との見方
10月1日の原油先物は軟調。
OPECプラスが供給懸念の緩和に向け、増産計画を強化する可能性があると見方が背景。
原油価格が3年ぶりの高値に近づき、消費国から供給を増やすよう求める声が出ており
4人の関係者が「追加的な増産が1つのシナリオとして検討されている」と明かした。

▽テーパリングの影響
FRBによる資産購入額が減少すれば原油市場へのリスクマネーの供給が先細りするとの懸念から8月の原油価格は下落。
2014年後半からの大幅下落もFRB のテーパリングの影響が指摘されていた。

▽石油・ガスの開発投資3割減
世界で石油やガスの開発投資が縮小している。
再生エネルギーへの投資額は発電コストの低下もあって増加が続き、石油・ガスを初めて上回った。

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エクソンモービルは21年の油田などの探査・開発投資を160億〜190億ドルと
20年から最大25%減らす。
背景には、脱炭素を求める投資家からの圧力がある。
米エクソンモービルは今年5月に開いた株主総会では「物言う株主」が推薦した環境派が取締役に選任。
英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルもオランダの地方裁判所から、温暖化ガスの大幅削減を義務付ける判決が出た。


▽2026年まで上昇
IEAの試算では、世界の原油需要は
2021年 日量9,650万バレル → 2026年 日量10,410万バレルへ増加する見通し。
過去10年は石油需要増加分のうち6割が陸上運輸だったが、EV等の普及により
今後10年はプラスチック材料が増加分の6割を占めると予想している。
原油需要は世界の人口増加と経済成長に伴い、特に新興国で拡大する見込み。


原油価格上昇(需要増、供給減)から
原油価格下落(需要減、供給増)まで様々なニュースがあり見通しは不透明だが
さらなるインフレ、金利上昇に備え
エネルギー関連の株式を保有する効果はあるだろう。


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