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日本で英語を学ぶ大学生と、国内外で日本語を学ぶ大学生をつないで Language Exchange をやってみました

今春から日本の大学で英語を教えています。で、そこの学生たちが「英語を使う機会がほしい」「ネイティブと話したことがない」「話してみたい」と言うので、「じゃ Language Exchange でも企画しよっか?」ということになりました(かなり端折って書いています)。

上司に許可を取り、当初は学内で留学生たちに声をかければいいかなと軽く考えていたのですが、諸事情によりその手が使えないことが発覚。ならば万事休す…とあっさり引き下がりたいところでしたが、やる気満々、楽しみにしている学生たちに中止とはとても言い出せず。仕方がないので個人的なツテを頼って、日本語教育に関わる方々に問い合わせたり紹介してもらったりすることにしました。

英語が母語で日本語を学ぶ人たちへの接触は予想をはるかに超える難度の高さでした。問い合わせなどのやりとりは主にテキストなのですが、気分的にはあちこちで頭を下げては門前払いされる日々。いろんな意味で心が折れそうになる場面が多発しました。でも、うちのコたちのためならエンヤコラなのです。

同時に Language Exchange の運営方法や注意点を調べ、経験者のお話を聞くなどして企画を固めていきました。安全面や出席率、時差などを考慮し、学生たちに希望日時を投票してもらって、募集チラシを作成しました。

そんな中、本当に本当にありがたいことに、ご協力いただける日本語の先生が見つかりました。捨てる神あれば拾う神あり。C大学のA先生とR大学のM先生には足を向けて寝られません。心から感謝しています。

こうして企画からわずか1ヶ月あまり。イギリス、アメリカ、日本に住む英語ネイティブの日本語学習者と、日本語ネイティブで英語を学ぶうちのコたち、計16名がZoom上に集まり、初の Language Exchange を開催することができました。

当日は参加者がそろったところで私から簡単に挨拶と説明をした後、さっそくブレイクアウトルームに移動して Exchange がはじまりました。みんながいなくなったメインルームに残された私は、アシスタントと一緒に音声や接続にトラブルがあった参加者のケアをしながら、「ちゃんとできてるかなあ」「なに話してるのかなあ」とソワソワしっぱなしでした。

終了のアナウンスをして数分後、参加者がメインルームに戻ってきました。「おかえりなさい!どうでしたか?」と尋ねると、数人、「楽しかったです」と言ってくれたものの、その後が続かず全体が静かになってしまいました。教室ではよくしゃべるうちのコたちも何も言いません。しばらく「他の人はどうでしたか?」「感想をシェアしてくれる人、いませんか?」などと声をかけていましたが反応がないので、参加者アンケートを配布してお開きとなりました。

あぁ、このイベントは失敗だったんだ、と思いました。つまらなかっただけならいいけれど、なにか嫌な思いをしたのかもしれない。学生たちは忙しい中、場所によっては朝から時間を作ってくれたというのに申し訳なかった。急ごしらえで強引に集めたのがよくなかったのか、私が自己満足に陥っていたのか。親切に協力してくださった先生方にも申し訳ない。うちのコたちもあんなに楽しみにしてたのに。みんな、ごめんなさいと思いました。

ほとんどの参加者が退席した後、うちのコが3人残っていました。なにか言いたげだったので、恐る恐る「…どうだった?」と聞くと、「めちゃくちゃ楽しかった!!!」

え?

そこから3人はせきを切ったように話しはじめ、どんな相手とどんな話をして、何がうれしかった、おもしろかった、驚いた、勉強になった、自信がついた、できなくて悔しかったなどなど、「誰かに聞いてほしかった!」「わかるー!」とノンストップで語り続けました。彼女たちのキラキラした表情に、いろいろあったけどやってよかったと思いました。

ちなみに全体で集まったとき反応がなかったのは、緊張していたせいだそうです。「少人数だから、こんなにしゃべれるんですよー」
ほー。

終了後アンケートでは、イベントの満足度と、また参加したいと思うかを5段階で尋ねたのですが、16人の回答の平均はそれぞれ4.75と4.88でした。

えええ、そうなの??いや、なにはともあれ、それならよかった。ホッとしました。

寄せられたコメントの一部を紹介します。参加者本人たちに同意をもらった上でシェアしています。

まずは圧倒的多数だった「よかった」系。

It was fun to talk to the students!

The conversation was fun!

日本語と英語で会話できて勉強になったし、何よりすごく楽しかった!!

I enjoyed getting the opportunity to meet new people and practice my Japanese!

英語を話すことと日本語を上手く伝える、教えることの両方ができて楽しかった

It allowed me to practice my Japanese skills with a native speaker and understand my strong and weak points.

全部楽しかったです。またやりたいです。

とにかくすごく楽しかったです!また、海外と日本の違いも分かって、とても勉強になる時間でした。

自分のできなさを実感したし、自分の英語力をもっと磨きたいと思った。 相手の方の日本語がとても上手で刺激になったし、自分ももっと勉強してリベンジしたい!

日本語を教えることがいかに難しいか分かった。話すスピードや、普段の言葉づかいではなくて、相手に理解してもらいやすいようにするにはどうしたらいいかを考えながら話した。英語を学ぶのと同時に、言葉を教える難しさも学べてよかった。

ネイティブの英語話者と話すのは少し緊張したけど、自分の話したいことが伝わったときはとてもうれしかった。

そして、「時間が足りなかった」系。

I would love a little more time to talk in each language.

A little longer would be better.

15分はあっという間だった

15分という時間をあまり有意義に使えず話し足りないことがあった

「自由に話す」については、賛否両論でした。

I found it quite difficult to think of things to say.

沈黙ができたりする時間があったから話題の候補がいくつかあると良いと思った

次は質問をいくつか事前に用意して参加したいと思いました。

The students are easy to talk to and we have a lot in common.

I also liked that there were no specific rules regarding what to talk about so our conversations felt more natural and fun.

週が明け、教室であらためて感想を聞いたところ、今回参加したコたちは「また参加したい」。そして、参加できなかったコたちは次回こそ参加したいらしいです。というわけで、どうやらまた来学期にやることになりそうです。英語話者に日本語を教えている方で「学生にチラシ渡せるよ」という方、いらっしゃったらぜひご連絡ください。笑


Photo by Compare Fibre on Unsplash

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