前置詞体操について(その1)

初投稿から3か月以上が経とうとしていますが、情報発信が滞ってしまったこと、お許しください。

ご覧の皆さんにとって価値のある情報として、初めに何を取り上げようか思案した結果、私が発案した「前置詞体操」をぜひともご紹介差し上げようと思います。初回からこんなに馬鹿げた内容でいいのかとお思いかもしれませんが、私としてはとても真面目に発信しているつもりですので、ぜひとも最後までお読みください。

近年、前置詞学習においては、「前置詞がそれぞれにもつ空間的なコアイメージを先に把握し、そこから多様な用法を派生させて整理し体系化する」という指導法が主流となりつつあるように思います。前置詞の種々の用法を暗記だけで乗り切るのはたしかに苦しいため、私も基本的には、この「コアイメージの利用」という手法を採用して指導しています。

しかし、学生の中には、前置詞のコアイメージを覚えるのが苦手(もしくは億劫)と感じる学生もいます。また、結局のところ、各前置詞がもつコアイメージそのものは暗記するしかないのではないか?という疑問に突き当たります(暗記作業を減らして理解を突き詰めたところで、最終的にはどうしても暗記作業にたどり着いてしまう、というのは皮肉ですね)。そこで、前置詞のコアイメージについて暗記負担を極力減らすために開発したのが「前置詞体操」です。具体的には、前置詞のコアイメージがもつ空間的イメージを、体操を通じて身体で叩き込むことで、暗記負担を減らそうという試みです。

前置詞体操は、「コアイメージ同士の関連性に着眼することでグルーピングし、前置詞全体の体系化を目指す」という創意から開発されています。「コアイメージを利用した指導法」では、一つの前置詞の用法について、コアイメージから派生させて体系化を試みます。これは、すでに多くの場所でなされている指導法でしょう。しかし、コアイメージを利用して前置詞同士を関連付けることで前置詞全体を体系化するという発想は、従来の受験参考書ではあまり見かけません。そこで、前置詞体操は、単独の前置詞について種々の用法を体系化するのではなく、コアイメージ同士を利用することで前置詞全体の体系化を目指すことを目的としています。

さて、前置詞体操に取り組む前に、まず使用頻度の高い以下の「基本9前置詞」を3つずつ、3グループに分割します。

① at, on, in ② from, for, to ③ by, with, of

この分類は、拙著『門脇渉の英語[正誤問題]が面白いほど解ける本』p.95において、以下のように掲載しています。

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地味で目立たない表のため、読者の皆さんもこの分類は何気なく読み飛ばしているかもしれませんが、実はこの分類がとても重要で、前置詞体操のベースとなっています。3つずつ、3グループに分類されているので、9個バラバラに覚えるよりも圧倒的に覚えやすいと思います。

次に、それぞれのグループの特徴を理解しましょう。

①グループ[at ⇒ on ⇒ in]は、「点のat」「線のon」「枠のin」という感じで、空間が広がるイメージを持ちます。おそらく中学校で前置詞を習う際にも、この3つについては、時間的な広がりを意識して「時刻」「日付」「月」というように整理した経験がある人も多いでしょう。それと同様に、空間的に段階的に広がりを持たせていくのがポイントです。

②グループ[from ⇒ for ⇒ to]は、「起点」「方向」「到達点」というように、一方向の直線になぞらえてイメージします。「起点のfrom」と「到達点のto」がともに「点」であることが重要です。forは、「起点」と「到達点」という2つの点の間を直線的に矢印でつなぐイメージですが、到達点には向かっているものの、まだ到達点には到達していない、という具合です。

③グループ[by ⇒ with ⇒ of]は、2つの円をイメージします。2つの円を少しだけ離した状態で「近接のby」、2つの円をピタッとくっつけて「付帯のwith」、片方の円をもう片方の円の中で入れこんで「包摂のof」、さらには中に入れた円を外側の円の外へとくくりだして「分離のof」、となります。

あとはこの流れを3つの体操に落とし込むことになるのですが、それは次回に持ち越すこととしましょう。

次回もどうぞご笑覧ください。

以下、追伸となります。

初投稿で「過去問解説の発信」については、著作権に抵触しないように配慮するためにも、著作権の勉強をしっかり行ってから発信を開始したいと考えています。もう少しお時間をください。

成増塾の紹介についても、2021年度の開講が近づいていることから、近日中に発信を開始するつもりでいます。その際は、どうぞよろしくお願いいたします。

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