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損害賠償金は課税されるのか?

所得税法

問題
 公害により近隣の商店に損害を与えた企業が次の損害賠償金を支払った。所得税の取扱いは?

① 公害が原因で業務を停止したことに伴い支払った賠償金。
② 商品が損害を受けたことにより支払った損害場賞金。
③ 公害により店主が健康を害したことにより支払った賠償金。

Ⅰ 取扱い
① 事業を続けていたら、本来入ってくる売上を補填するためのものなので、所得税では、この損害賠償金を売上として計上する。つまり、事業所得の金額の計算上総収入金額に計上するということだ。
この補償金は、収入金額に代わる性質を有する。

② 公害で商品を廃棄したことによる損害賠償金についても所得税では売上とみなす。売上金額と同じ金額を賠償金で手に入れたわけなので、収入金額に代わる性質を有する。

③ これに対して店主が健康を害したことにより支払われた賠償金は、非課税となる。所得税法では「身体の障害に基因して支払を受けるもの、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他損害賠償金は非課税。」 
身体の障害に基因して支払を受けるものにまで所得税を課税するのは過酷であるという理由だ。

Ⅱ 根拠規定
[1] 収入金額とされる保険金等
  不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行う者が受ける次の保険金等で、その業務の遂行により生ずべきこれらの所得の収入金額に代わる性質を有するものは、これらの所得に係る収入金額とする。
① その業務に係る棚卸資産(これに準ずる資産を含む)、山林、工業所有権等又は著作権につき損失を受けたことにより取得する保険金等(山林の資産損失に係るものは損失の金額を超える部分の金額に限る)
②その業務の全部又は一部の休止転換廃止等によりその業務の収益の補償として受ける保険金等。

[2]非課税とされる保険金等
次に掲げる保険金等は所得税を課さない。
損害保険契約に基づく保険金、生命保険契約に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に類する共済に基づく共済金で、身体の障害に基因して支払を受けるもの及び心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかったことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む)

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