見出し画像

税制上有利な退職制度を組み込んで、節税するとともに社員のインセンティブをあげよう

税理士の高木です。

今回は退職所得についてお話します。

有利な退職金制度を会社の仕組みに組み込んで、会社の節税をするとともに、受け取られた退職者の税金の負担を減らすとともに、その企業で働くことに対するインセンティブを退職制度で構築することをおすすめします。

■退職所得 退職所得の税金は、次のように 計算します。

① まず対所得控除額は 勤務20年までは1年につき40万円、20年を超えると1年につき70万。

  例えば、勤続年数30年の場合は  8 00万円(40万✕20年) + 700万円×(10年)=1500万 です。
  その金額までは、もらう退職金から控除できますので税金はかかりません。

② (収入金額-退職所得控除額) 1/2=課税退職所得の金額 (千円未満切捨)
   
  仮に上記の社員が30年勤務で退職金が2000万とすると
   ( 2000万 - 1500万 ) ✕1/2 = 250万に課税されます。

③ ②×税率(1円未満切捨)

■勤続年数5年以下の場合の例外

ところが、退職所得の計算方法 には例外があります。
まず、法人 税法上の役員については、勤続年 数が5年以下で役員退職金の支給 を受ける場合に、①の2分の1が できません。つまりその分、退職 金にかかる税金が多くなることになります。

これは、在籍期間の短い役員が、 給与の代わりに課税上優遇されて いる退職金の支給を受けることで 所得金額を低く抑えるという租税 回避行為を抑制する趣旨で設けられた例外措置です。

また、役員等ではない従業員に ついても、令和4年分以後の退職 金については、勤続年数5年以下 の退職金につき、退職所得控除額 を控除した残額のうち300万円を超える部分は1/2ができないことになりました。

 

■退職金と確定申告


退職金は分離課税となり、他の 所得(給与などの総合課税の所得) と合算せず、退職金だけ分離して 所得税及び復興特別所得税の税金 計算を行ないます。住民税も同じく 他の所得と分けて税金計算を行います。

このように、退職金としてもらうと、税制上 かなり有利になることが分かります。

なんせ、退職所得控除額が多いのでかなりの金額まで税金がかからないのと、所得は二分の一できるので有利です。
おまけに 分離課税なので 給与や年金と合算せずに計算できます。

このように、退職金制度は会社の節税上有利であるとともに、社員のインセンティブも向上でき、また、受取者本人の節税にもなりますので、ぜひ真剣に取り組むことをおすすめします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?