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読書感想文:「ぼくらの頭脳の鍛え方」


マガジンの分類 Book Review


タイトル: ぼくらの頭脳の鍛え方
著者: 立花隆、佐藤優
出版社: 文藝春秋
出版日: 2009年10月17日
ページ数: 328ページ

読書感想文

「ぼくらの頭脳の鍛え方」というタイトルからして、知性の鍛錬についての一冊であることが想像できる。本書は、知の巨人・立花隆氏と知の怪物・佐藤優氏による400冊に及ぶブックリストを軸に、知性の磨き方を徹底指南する内容だ。この二人の著名な知識人が持ち寄った書籍リストには、圧倒されると同時に、自分自身の知性がいかに未熟であるかを痛感させられる。

知の総合化の重要性

本書の中で特に強調されているのは、「総合知」の重要性だ。断片的な知識をいくら持っていても、それが総合され、自在に使いこなせなければ意味がないという考えに深く共感した。立花氏と佐藤氏は、この「総合知」こそが真の実用性を持ち、自分を形づくる骨格であると説いている。

特に印象に残ったのは、立花氏の「金を惜しまず本を買え」という教えだ。知識を得るためには投資を惜しまない姿勢が大切であることを再確認させられた。また、佐藤氏の「読むことで脳の回路が開ける」という言葉も心に響いた。読書が単なる情報収集ではなく、脳の構造そのものを変える力を持っているという点に深く納得した。

おすすめのブックリスト

本書では、「東大教師が新入生にすすめる本」と「教養のためのブックガイド」の二冊が特に推薦されている。これらは、教養を深めるために必読の書であり、読書によって得られる知識の質を高めるためのガイドブックとして紹介されている。実際にこの二冊を手に取り、教養を深めるための旅に出ることを決意した。

戦争と教養

戦争についての理解は、現代人にとっても必須の教養であるという指摘には考えさせられるものがあった。戦争が民族性や国民性、科学技術、文明を凝縮して表すものであるという視点は新鮮だった。これを知ることで、現在の日本や世界の在り方について深い洞察が得られると感じた。

読書の力と疑似体験

読書による疑似体験の力は非常に強力であり、実体験に匹敵する学びを提供するという点も本書の重要なテーマの一つだ。例えば、地政学や人間のダークサイドに関する知識は、現代の教養教育において欠けているとされており、これを補うためには読書が有効であると示されている。

実践的な読書法

立花氏による「実戦に役立つ十四ヵ条」の一部も紹介されており、その中でも特に「本を読みながらノートを取るな」「本を読むときには、懐疑心を忘れるな」という教えが印象に残った。読書中にノートを取らないことで、内容を深く理解し、懐疑心を持って読むことで、情報の真偽を自ら確かめる姿勢が重要であると学んだ。

実践ポイント

  1. 『東大教師が新入生にすすめる本』を読む
     教養を深めるための基礎として、この本を読むことが推奨されている。

  2. 『教養のためのブックガイド』を読む
     質の高いブックガイドとして、教養を広げるためにこの本を読むことが勧められている。

  3. 地政学を学ぶ
     日本人に欠けている地政学の知識を補うために、地政学を学ぶことが重要とされている。


「ぼくらの頭脳の鍛え方」は、知識の総合化を目指し、真の教養を身につけるための指南書だ。立花隆氏と佐藤優氏の対談を通じて、読書の重要性とその実践的な方法が具体的に示されている。自分の知性を深め、総合知を体得するための第一歩として、この一冊はまさに必読である。読書の力を活用し、自分自身を鍛え上げたいと考えている人にとって、本書は最高のガイドとなるだろう。


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