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デザイナーはなにをする人なのか?

こんにちは。デザイナーはそもそも何をする人なのかを考えてみた記事です。

そもそも、デザインとは何なのか?

デザインは「モノに意匠を施す」だけの作業ではありません。課題を解決することがデザインの目的です。使う人の体験や、それらを取り巻く環境・社会にいい影響を及ぼす…と書くと大げさに聞こえるかもしれませんが、いまから50年以上も前の1964年に起草されたデザインマニフェスト「First Things First (1964)」にもその思想は書かれています。このマニフェストはその後2000年に「First Things First (2000)」として改訂され、デザインの力をより『課題解決』に使うべきと宣言しています。

「課題解決をする人」=デザイナー

「デザイナー」といって一般的な人々が想像するような、『画面のレイアウトを作る』『キービジュアルやグラフィックを作る』…などの作業は、課題解決のプロセスの中にあるひとつの工程にすぎません。デザイナーに求められる領域が拡大してきたといわれる昨今ですが、これは『領域そのものが拡大した』というよりも、モノを作り上げていく工程のなかで『デザイナーが頭のなかでやっていた領域がより認知され、チームで協業されはじめた』と解釈しています。

デザイナーは思考しよう

モノづくりのプロセスの初期段階 – 実際に形を作るフェイズ以前の領域 – にもデザイナーが力になれることがたくさんあると認知され始めた一方、これまでのように「形を作る人」としてデザイナーを認識している人との間で、『期待されているもの』と『アウトプットの状態』にギャップが生まれることがあります。
従来の「形を作る人」としての認識から『デザイナーがプロジェクトにアサインされた』という状態で求められるアウトプットは、画面のレイアウト案だったりビジュアルデザインだったりします。実際にはまだプロジェクトは「思考」をしているフェイズなので、「画面のデザイン」に着手する前に、調査をしたりペルソナを作ったりストーリーボードを書いたりしている段階です。『デザイナーをアサインしたのに、なかなか画面デザインがでてこない!あいつら仕事してるのか…?』という誤解を生まないためにも、いままではデザイナーが頭の中や個人のノートでやっていたことをブラックボックスにせず、チームメンバーにきちんと見えるようにしておくことも大切です。

デザイナーは試行しよう

プロジェクトの初期段階からデザイナーが加われたのならば、モノを作るその試行過程をひとりの頭の中や個人の作業環境でPSDファイルのバージョンが増えていくだけの状態に留めておくのはもったいないです。試したものはチームで共有し、いろいろな人の意見を聞きましょう。見た目は紙に手書きしたレベルのものでもいいですし、Prottなどのツールを使ったプロトタイピングはチームの意識共有や課題確認のための強力な武器になります。

より良い状態で課題解決をするための「意匠」

ただ、意匠デザインがまったく不要というわけではありません。同じような機能を持つものであれば、より好ましい外観のものを選択するのは当然ですし、それが結果として良い体験につながるということもあります。時には、『見た目が良いから機能がちょっと劣ってるけどこちらを使いたい』という選択もあるでしょう。理論的に説明しづらい「直感的な良さ」を演出できるのもデザイナーの重要なスキルです。引き出しを増やしておく目的は最後の最後にセンスを吹き込むためです。

デザイナーがやるべきこと

こっちを考えるのはディレクターの人、あっちを考えるのはエンジニアの人、だからデザイナーはここしかやらない…というプロジェクトの進め方は過去のものとなりつつあります。チームとしてモノを作るのであれば、デザイナーがやっている「思考」や「試行」をブラックボックスにせず、チーム全体のものとして共有することで、より「デザイン」が本来の『課題解決』という力を発揮できるのではないでしょうか。

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