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rakugo1000 (154) : 春風亭昇太「心をこめて」

概要
「早く起きてきて食べちゃってよ、片付かないじゃない!」。朝からガミガミと奥さんに怒られる旦那さん。何を言われても生返事。それに「私はちゃんと会話がしたいの!」とまた怒られる始末。
双方にいらついて、それぞれ街に出るが、旦那はかつてのバイト先だった居酒屋に寄り、そこのおばちゃんに「心を込めてはなしをする」べきという話をされ、朝の夫婦の様子を思い出す。「よし!やり直そう!」と勢いこんで帰ってみて…。

今日聴いた噺
19/12/13 SWAリターンズ〜SWA傑作選
オープニングトーク
柳家喬太郎 八月下旬
春風亭昇太 心をこめて
林家彦いち 泣いたチビ玉
三遊亭白鳥 奥山病院綺譚
エンディングトーク

プチメモ
SWAの復活公演2日目。昨日はもう彼らが4人で登場する段でウルウル。オープニングトークでウルウル。彦いちさんの闘う姿にウルウル。エンディングのトークでウルウル。そしてエンディングポーズにウルウル。
おめでたい場だし、ええ歳した女が泣くのもどうよ、とぐっとこらえたけど心では号泣でした。
それほどに待ったSWAの復活。ここ4年ほどの落語ファンとしては、本当にSWAの時代を並走できなかったことを悔しく思っていたので。彼らが変えたであろう風当たりの強かった新作・創作落語の世界をともに走り抜けたかった…。

2日目の今日はすこーし冷静に見れたように思います。席がかなり後ろのほうだったこともあって、俯瞰する気持ち。前日に聴いた4席をあらためて噛み締められた。
SWAは、4人4席が勝手に成り立っているのではなくて、それぞれにつながりがあって、仲入りもなく、何人の方がTwitterで書いてたけど映画を見ているみたい、とも表現できる。そうだな、どちらかいうと、芝居をみているみたいな感じ。

冒頭ビデオ上映(過去のクリエイティブツアーのときに作られたもの)のあとトップバッターは6号喬太郎さん。「八月下旬」。喬太郎さん作品での特徴的な突飛な女子。電車のなかで、声をかける2人のお姉さんとして颯爽と登場しました。
まぁ、アクが強いこと強いこと!彦いちさんがこの作品を「二月下旬」に変えてやっているけど、女子の描き方がおふたりの特徴をすごく表している。喬太郎さんはパンクロック、彦いちさんは尾崎みたいな。
初日はさりげなくやられていて「一番手って楽なんじゃないの?」なんて失礼なこと思ったけど、実はちゃんと違和感ないレベルで後ろへの伏線が張ってあったことに2日目しっかり気づく。このあたりのさりげなさがやっぱり喬太郎さんの上手さだよなぁ、と。

2番手は誰だろうと思っていたら、意外や意外、4号昇太さん。今回の公演の全体テーマ「心をこめて」と同タイトルの「心をこめて」。初めてこの2日間で聴いたこの噺は、SWA活動停止間際のネタおろしでやられた噺でした。昇太さんがときどき作る「遠い記憶」とか「人生が二度あれば」「オヤジの王国」みたいなちょっとノスタルジックな昭和が匂うはなし。私は昇太さんのこの世界観が大好きなのです。

バトンを受け取って1号彦いちさん。「泣いたチビ玉」。喬太郎さんが小さいおじさんを出していたり、昇太さんが「大衆演劇のチビっ子玉三郎」ってキーワードを言ったりしていたから、私のなかで浮かんでいたのは「チビ玉との遭遇」。これは去年のしぶらく「しゃべっちゃいなよ」で彦いちさんがネタおろしした噺で出だしがかなり近かったので、一瞬それがかかったかと思った。…のだけど実際は違っていて。それこそ昇太さん同様SWA活動停止間際のネタおろしの会で「泣いたチビ玉」はかけられていたのでした。「チビ玉との遭遇」のほうが後なんだね。チビ玉2部作。

そしてシンガリは2号白鳥さん。回収しまくってた。すごいな。「奥山病院綺譚」は過去にもDVDで聴いている噺だったのだけど、今回いろんな要素も入っているからまた新しく聞こえて。

最後にエンディングビデオがあり、全体に関連した車とか鳥居とかうつってて。そして全員揃ってのトーク。新しい揃いの着物に身を包んで、でも、以前のアディダス着物から今回はデサントっぽいのになったとw
オーラス、幕がおりるときに、4人で高座にのって決めポーズ。これがねぇ、もう泣けてねぇ。2日ともやばかったです。胸いっぱい。

SWAは来年以降もしっかりやっていくそうで、再来年からは小屋もきちっと定めてやるっぽい。どこまででもついていきたいと思ってる。いまのところ。
なんだか、夢みたいすぎて、ぼやーっとしているのがいまの気持ちです。そうかぁ、、、SWA復活したんだなぁ…。


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