見出し画像

【小説家の仕事】作家キム・ヨンス バイオグラフィー

作家キム・ヨンスが初めて日本を訪れたのは1999年。
当時連載していた「グッバイ、李箱」を書き進めるにあたり、
1930 年代の東京で詩人の李箱が感じた思いを体感するためでした。
それから20 年余りが経ち、作品の邦訳も進み読者と出会う場も数多くもたれてきましたが、
さらに深く作家キム・ヨンスを知っていただきたいと
クオン、新泉社、駿河台出版社が合同でこのマガジンを作りました。
図らずも、作家の30代から50 代までの姿も浮かび上がってきました。
作家の新たな一面を発見していただき
作品を実際に手に取っていただければと願っています。
2021年8月

作家キム・ヨンス バイオグラフィー / biography

1970年  韓国慶尚北道金泉で三人きょうだいの末っ子として生まれる

※キム・ヨンスの幼少期ならびにファミリーヒストリー等については「キム・ヨンス、記憶を語る―「ニューヨーク  製菓店」のあった町、金泉」( 橋本智保著、『韓国文学を旅する60章』明石書店刊、所収)に詳しい

小学校時代 同じ金泉出身で1歳違いのキム・ジュンヒョク(『楽器たちの図書館』『ゾンビたち』著者)と、 野球のスコアブックを交換したことがきっかけで友人になる

高校時代 李箱(1910 -1937)の詩・小説に惹かれ、遺稿の主人公の名前「衍」を自分の手紙の署名に使い始める。(のちにデビューした際、自分の名前の一文字[영]を、署名で使っていた「衍[연]」 に変更)

1993年 成均館大学校英文科在籍中「作家世界」に詩が掲載され詩人として登壇

1994年 長編「가면을 가리키며 걷기(仮面を指して歩く)」が作家世界文学賞を受賞し、作家としてデビュー

大学卒業後 女性誌、次いで書評雑誌で記者として働く

1999年 「꾿빠이, 이상(グッバイ、李箱)」執筆中に初めて東京を訪れる

2001年 「グッバイ、李箱」で東西文学賞を受賞

2002年 
• FIFAワールドカップを観たいがために会社を退職する
• 李箱文学賞の推薦優秀作に「첫사랑(初恋)」が選ばれる
• 故郷を舞台にした短編集『내가 아직 아이였을 때(僕がまだ子どもだった頃)』刊行

2003年 
• 李箱文学賞の推薦優秀作に「노란 연등 드높이 내걸고(黄色い燃橙を高く上げて)」が選ばれる。
•『僕がまだ子どもだった頃』で東仁文学賞受賞。

2004年 『夜は歌う』執筆のため中国・延辺に滞在する

2005年
• 国際交流基金主催「開高健記念アジア作家講演会シリーズ」に招かれ日本の5都市で講演。野中柊と対談。(※講演書き起こしと対談の様子が主催者ホームページに掲載されています。https://www.jpf.go.jp/j/project/culture/archive/kaiko/kouen14.html)
• フランクフルト国際図書展記念行事に参加
• 短編集『ぼくは幽霊作家です』刊行。同作で大山文学賞を受賞

2006年 韓国における平野啓一郎講演会にて司会を務める。 2007年 「月に行ったコメディアン」で黄順元文学賞受賞

2008年 長編『夜は歌う』刊行

2009年 
•「散歩する者たちの五つの楽しみ」で李箱文学賞受賞
• 短編集『世界の果て、彼女』刊行
• ホン・サンス監督の映画「良く知りもしないくせに」(日本公開2012年)に出演し映画監督役を演じる
• ロックバンドThe Moonshinersに歌詞提供(アルバム『冒険狂白書』収、「空気も読まずに」)
• 雑誌「CINE 21」にキム・ジュンヒョクとコラム連載
(連載をもとにしたキム・ジュンヒョクとの共著『대책 없이 해피엔딩(なすすべもなくハッピーエンド)』 は 2010年刊行)

2010年 東アジア文学フォーラムに参加。同フォーラム参加作家のアンソロジー『いまは静かな時』に「皆に幸せな新年」「 ケイケイの名を読んでみた」の邦訳収録

2012年
• 長編『ワンダーボーイ』刊行
• 長編『파도가 바다의 일이라면(波が海のさだめなら)』刊行(駿河台出版社より邦訳刊行予定)

2013年 
• 東京国際ブックフェア併催イベント「文学における疎通とは~「生きること」を 受け入れる勇気について~」にて、キム・エラン、川上未映子と鼎談
• 短編集『四月のミ、七月のソ』刊行

2014年
•『世界の果て、彼女』邦訳刊行
• 東京国際文芸フェスティバルのシンポジウム(国際交流基金・国際文化会館共催) 「いま、アジアで 『文学する』こと」に中島京子らと共に登壇
•『世界の果て、彼女』刊行記念イベントで平野啓一郎と対談(※両イベントを振り返った寄稿文「小説の力は国境を越えて」はウェブ上で公開されています。https://www.wochikochi.jp/special/2014/07/power-of-the-novel.php

2016年
•『ワンダーボーイ』邦訳刊行。刊行記念トークイベント開催
• 第8回韓国文学読書感想文コンテスト表彰式で講演

2019年 『STUDIO VOICE』Vol. 415(INFASパブリケーションズ)にチェ・ウニョンとの対談が掲載される

2020年
•『夜は歌う』『 ぼくは幽霊作家です』邦訳刊行
• 8年ぶりの長編『일곱 해의 마지막(七年の終り)』刊行

2021年 
•『四月のミ、七月のソ』邦訳刊行

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?