キッカケを掴む場所。それが、いなか塾。
ボクは、いなか塾と言うプログラムを不定期に開催しています。
塾は塾でも、皆さんが知っている学習塾のような学力を上げるものではありません。
頭を使うのもいいけれど、もっともっと大切な“人間らしさ”を呼び覚まして欲しい!
キザな言い方かもしれませんが、いなか塾で生きている意味や人生の“キッカケ”を掴む場所になってくれればと願っています。
人によって興味も得手不得手も違いますし、先入観が邪魔をしていて、やってみたら意外と面白かった!なんてこともありますしね。
そう言う意味では、薪割り、雪かき、草刈り、庭木の剪定、米作り、野菜作り、などなどいろんな“仕事”(お金にはならないけれど、生きていく上でどうしてもやらないといけない作業)がある田舎は、最高の教育環境だと思っています。
今年よりもずっと雪深かった、ちょうど一年前、奈良から小学6年生の男の子(T君)がたった一人でこの山奥にやって来たんです。
近鉄電車、JRそしてタクシーを乗り継いで。それも日帰りで。
理由は、「鹿を捌いてみたい!」です。
月〜金、朝7:30〜ボクが配信しているインスタライブ(おくちゃんねる)をT君は観ていたんですね。
その日、いつも通りに罠の見回りをしていたら、1頭の子鹿が掛かっていましてー、
前日に仕掛けたばかりの箇所だったので、ボク自身もうわっ!と驚き少し興奮気味だったと思います。(笑)
「これから直ぐに処理に掛かるのでごめんなさい!また明日!」と開始早々に配信を中断したんですが、、、
その後直ぐにT君からLINEのメッセージが来たんです。
「今から行っていいですか?鹿を捌いてみたいんです!」
ボクは、文字から伝わってくる彼の勢いに押されて二つ返事で承諾しました。
その時のお母様の対応も素晴らしかった!
「学校への連絡は私に任せなさい!行ってらっしゃい!」と。
後で伺ったんですがー、T君の通う学校の校長先生が
「そんな素晴らしいプログラムなら賛成です!」とおっしゃってくれたそうです。
素敵な大人たちによる連携プレーが、新しいキッカケを生んだんですね。
T君は、実はその年の田植えのシーズンのいなか塾に参加してくれていましてね。
皆で食事の支度をしている時だったと思います。
将来は料理人なると言う夢を聞かせてくれてたんです。
見様見真似で作った料理を家族が大層喜んでくれたのがキッカケだったと話してくれました。
キッカケの積み重ねが自信になり、本当の自分、なりたい自分に気付き、夢へと繋がって行くんですね。
鹿を捌くとは、命と向き合うことです。
返り血も浴びます。今風で言うとグロイです。
寒風吹き荒ぶ屋外での作業は辛いし、手先の感覚が麻痺して怪我をしやすく危険です。
大人ですら、生半可な気持ちではできませんよ。
春に来た時の年相応のT君とはまるで別人のような真剣な横顔が、真っ白な久多の雪のように清々しかったな〜〜。
後日、お母様からお礼の知らせが来ました。
自分で捌いて自分で調理したからでしょうね。
伝えたレシピ通りに作った鹿のしぐれ煮を数日間に分けて、大事に大事に食べていたそうです。
あれから一年経ちました。
あの時の、居ても立っても居られないほど君を突き動かした“情熱”を大切に生きてください。
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