見出し画像

『読み合い』で考えるグリコ

近頃皮膚炎っぽかったので病院へ行こうと思い、病院に向かって歩いていたらじゃんけんをしながら下校する小学生2人とすれ違った。

彼らは「グリコ」で遊びながら下校していたのだ。

(※グリコとは
じゃんけんを行い、勝った者が出した手に応じて進む。
グーで勝った場合 :「グリコ」(一部地方では「グスベリ」)と言いながら3歩進む。
チョキで勝った場合:「チヨコレイト」(チョコレート)と言いながら6歩進む。
パーで勝った場合 :「パイナツプル」(パイナップル)、一部地方では「パラシュート」と言いながら6歩進む。)(Wikipediaより引用)

上述の通りグリコとはじゃんけんで勝ちながら歩数を進めるゲームである。
しかしそれぞれの手で勝った時のリターンは不均一で、グーで勝利した時のリターンが一番少なく、チョキとパーがそれぞれグーの2倍進むことができる。


しかし先程すれ違った小学生のグリコはチョキで勝った時、「チヨコ」のみの3歩しか進まなかった。

今はチヨコレートじゃないんやなあとか思いながら、もしかしたらこれはグリコが競技的にルール整備された結果なのかもしれないと思い、本記事にて考察することにした。

病院がとても混んでいて暇だったから。


じゃんけんは読み合い?

画像1

「じゃんけんは読み合い」「後攻はプレミ」等という言説は、オタクたちの間でしばしば冗談めかして唱えられるものであり、基本的にじゃんけんとは運ゲーであるとされている。


ではなぜじゃんけんは運ゲーなのか?

それはじゃんけんというゲームの全ての選択肢が他の一方に強く一方に弱い、いわゆる「三すくみ状態」だからである。

さらにどの選択肢を選んでも得られるリターンが同じであり、それに対するリスクも同じなため、基本的に選択肢として優位であるものがないのである。

詳しくは「ゲーム理論 じゃんけん」とかでググッてもらえるとそれっぽい説明が見つかると思う。俺もあんまわからんけど。

つまり、相手の癖読みなどを除けばじゃんけんは運ゲーであり読み合いは発生しない、ということになる。


そもそも読み合いとは

では読み合いとはなんなのか。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL攻略wikiによると以下のようにある。

“双方がお互いの行動を予測して(読んで)行動している この状態を『読み合いが成立している』とする。”

つまり相手の動きを(お互いに)予測をすることができる状況においてのみ読み合いは発生するのである。


全ての選択肢が差別化できておらず、相対的な優位性が均等であるじゃんけんでは、相手が取る選択肢を(癖読み以外で)予測することができず読み合いが発生しないのである。


グリコは不均等なじゃんけん

画像2
(そもそも紙がなんで石に勝つねん)


ここでグリコに話を戻す。以下、便宜上チョコレートを採用するグリコを旧グリコ、チョコを採用するグリコを新グリコと呼称することとする。

まず旧グリコについて、
旧グリコは
パーで勝てば6歩
チョキで勝てば6歩
グーで勝てば3歩進むことができる。


言い換えると
パーで負ける(相手がチョキで勝つ)と6歩
チョキで負けると3歩
グーで負けると6歩差をつけられることになる。

リスクリターンで考えた時、選択肢の中の優位は、
順に
チョキ(勝ちで+6、負けで−3)
パー(勝ちで+6、負けで−6)
グー(勝ちで+3、負けで−6)
となる。

つまりこの選択肢の強さの不均衡にチョキをtier1とした読み合いが生まれるのである。

(チョキが一番ローリスクでハイリターンなので初手に打ちやすく、それをグーで初手から咎めたら次のじゃんけんで相手はこちらのグーを警戒せざるを得なくなるから、相手が日和るならグーかパーで置きにくる、そこをパーで抑えたら状況有利)

みたいな思考がお互いの脳裏をぐるぐるするわけである。


ここにおいてじゃんけんは運のゲームから読み合いのゲームへと昇華されたのである。

しかしこのゲームには致命的な欠陥がある。


それはグーが最もリスキーな選択肢でありながら最もリターンの少ない行動ということである。



仮にチョキ読みのグーを通したとして、得られるリターンは+3歩、二連続でグーカウンターを決めたところでチョキかパー一発で逆転されるのである。

これではグーを使うインセンティブがあまりにも低い。

そしてこの問題を解決すべくチョキがナーフされたのではないか、というのがこの記事の考察である。


暇な考察してんな~と思われているかもしれないが、暇である。


現在病院についてはや30分、まったく名前を呼ばれる気配もなく、暇つぶしに書き始めたこの記事が先に書き終わってしまいそうなレベルである。困った。

結論

まだ呼ばれなかったらもうちょい引き延ばそうと思ったのだが、ひとまず中待合室まで呼ばれてしまった。そういうわけで一旦記事を〆に入ろうと思う。

新グリコのそれぞれのリスクリターンは

パー(勝ち+6、負け-3)
チョキ(勝ち+3、負け-3)
グー(勝ち+3、負け-6)

の順となる。この順であるときパーは非常に出しづらい。

なぜならチョキが上2つに出し負けない安定的な選択だからである。

しかしそこにグーカウンターを決められた時、再度歩数有利を得るためにはパーで勝たなくてはならない。

ここにおいてリターンを得るためにはリスクを負わねばならないゲーム性が誕生し、前作の旧グリコに比べて競技性が上がったのではないかと考察する。

おわりに

病院の待ち時間は長いので人の少ない朝イチで行こう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?