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クレベリンの焼け太り 大幸薬品への課徴金納付命令とIR情報を読む

クレベリンは、6億円の課徴金を払っても、まだ28億円の利益が出ている。それを説明したい。

「クレベリン」の大幸薬品へ、消費者庁から課徴金納付命令が下った。課徴金の金額は約6億円だ。

景品表示法に基づく課徴金としては、おそらく過去最大だろう。

しかし、大幸薬品は、この6億円を支払っても、まだ利益が出ているように見える。

クレベリン(感染管理事業)の利益推移

大幸薬品は上場企業なので、ルールに基づき、事業ごとの利益を公開している。

クレベリンは、大幸薬品の事業名としては「感染管理事業」と名付けられている。この感染管理事業の利益推移をまとめると、以下のようになる。

クレベリンの利益推移
(大幸薬品 感染管理事業)

結論としては、クレベリン事業は、通算では黒字だ。

クレベリンは、直近2年では大幅な赤字を出している。一方、その前の3年間で、それ以上の大きな黒字を出している。

それらを通算すると、課徴金を支払った後でも、まだ28.4億円の黒字であるように見える。

2018年頃から広告手法を刷新

クレベリンは、2018年頃から広告手法を刷新し、「分かりやすいストーリーを伝達」する方針にしたそうだ。

引用元:大幸薬品 2019年3月期 決算説明資料

上記画像の右側で、2018年当時のテレビCMの画像が紹介されている。覚えている人も多いだろう。

今回の課徴金は、対象期間として平成30年9月13日から、と消費者庁の文書には記述されている。平成30年は2018年なので、この時期とちょうど一致している。

結論:クレベリンは「焼け太り」

クレベリンは大きな不名誉を被り、6億円という「巨額」な課徴金を支払った。しかし、事業としては、まだ28億円ほどの黒字のようだ。

悪評を得たとしても、経済的に利益が出るのなら、今後もこのような広告手法が消えることはないだろう。

以上


付記:法人税等を加味した累積純利益

「課徴金は損金不算入なので、税引前利益と足し引きするのは適切ではないのでは?」という趣旨のご指摘を頂いた。妥当性のあるご指摘と思うので、法人税率を40%と仮定して計算したものをここに載せておく。

この場合は、累積純利益の残額概算は 14.6億円 となる。

クレベリンの利益推移 法人税40%を加味
(大幸薬品 感染管理事業)

参考:各年度の利益額の引用元

以下に、各年度の「感染管理事業」の利益額について、情報元を載せておく。

2018年4月から2019年3月の「感染管理事業」の利益は13.15億円だ。

引用元:大幸薬品 2019年3月期 決算説明資料

2019年4月から2020年3月の「感染管理事業」の利益は34.82億円だ。

引用元:大幸薬品 2020年3月期 決算説明資料

2020年4月から2020年12月の「感染管理事業」の利益は57.65億円だ。

引用元:大幸薬品 2020年12月期 決算説明資料

2021年1月から2021年12月の「感染管理事業」の利益は▲49.36億円だ(赤字)。

引用元:大幸薬品 2021年12月期 決算説明資料

2022年1月から2022年12月の「感染管理事業」の利益は▲21.79億円だ(赤字)。

引用元:大幸薬品 2022年12月期 決算説明資料

以上

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