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安倍さんが襲撃された。それで亡くなってしまった。突然のできごとだった。

彼を憎んでいる人がいる。たしかに良くない人だったし、そうなのだと思う。立件されていないだけ、というのもそうだろう。安倍さんをそこまで憎む必要はなくて、それを生み出した構造なりに怒りを向けるべきだと思う。だって、憎き安倍晋三が凶弾に倒れても、たぶんこのまま悪い方に転がっていくだろうし、それを誰かが、どうにかして、止めることは不可能だと思うから。

犯人について。報道によると、犯人は統一教会に家庭をめちゃくちゃにされたらしい。母親が入信してしまって——入信すること自体が悪いとはまったく思わないけど——子供時代というか青春というかを奪われた。献金、献金、献金。これで家が破産した。それで持ち家を担保にしていたので取られて、それで貸し家に。大学は中退せざるを得なくなり、自衛隊へ。3年で辞めて、そのあとはよくわからない。そういうことらしい。

破産して持ち家が取られて貸し家になって、という部分は自分の家と一緒だ。高校の時だったから、大学に行くのはあきらめようかとも思った。まあ運が良くてというかよくわからないけど、いまでも大学院にいるから、そういうところは結構違う。でも、なんらかの理由によって——しかもそれはおそらく騙されたり、つけこまれたり、依存してしまったりして——お金が無くなって行って、それで家庭がめちゃくちゃになって、というのは彼と同じようにではないだろうし、大きさも違うだろうけど体験した。そういうこと。

だから、彼がその原因となった、原因ではないのかもしれないがシンボリックな存在である安倍晋三を手にかけたことに共感してみることができるのかもしれない。でも、どんな理由であれ、人を殺してはいけないんだと思う。人を殺すことは、いついかなるときも肯定され得ない、ということに理念上はなっている。もちろん、人間という種族は、敵を、仲間を幾度となく殺してきたし、殺すことによって成り立ってきた。でも、近代社会はそうでない。だから、殺すことは許されていないし、殺すべきではなかった。これは間違いなく言いうる——どのような立場に立つ者であったとしても。

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