見出し画像

特別支援学校の教員、をめざす高校生に その1

まえがき

たぶんどこにも書かれていないので、こうだと思うことについて書く。これはその1で、書ききれなかったことはその2にいく予定である。

私は特別支援学校の教員ではなくて、特別支援教育学に関連する領域で研究をしている学生(修士2年)だ。筑波大学の特別支援教育の学科で4年間勉強した。途中まで免許を取ろうと思っていたが、在学中にコロナ禍にはいっていろいろと価値観というか思うところあってやめた。

人間というのはまわりの環境によって、考え方が変わるものなので、どういう場所で勉強するかは考えた方がよいと思う。とくに真剣に「障害」と向きあおう、というようなことを考えているひとはそうだ。

そのためには水先案内というか、そういうことがなされて、そのうえで進む方向/方角を決めた方がいいわけであるが、そうした案内というのは別にどこかに書かれているわけでもない。書かれていたからといって、それを理解できるとも限らないが、書かれていたほうがより良いことは言いうる。それなので、だいたいの方向を記すということがここでの目的として置かれる。

「分ける・分けない」

特別支援教育というのは、これもたくさんいろんな経緯があるのだが、いろんな人間がいて、それぞれの発達の段階だとか状況に合わせて、いろんな教育が用意されるべきだ、と考える。障害のある人は、障害のある人に合わせた教育カリキュラムや場所が用意されて、そうしてそこで自分にあった教育を受けると良い、と考える。

これまで大きな問題になってきたのは「分ける・分けない」ということだった。特別支援教育は障害のある人には障害のある人の学ぶ場があって、それが健常者たちの学ぶ場と別の場所であっても良い――理想的にはともに学べたほうがよいが、いまの状況で一緒にすることは弊害の方が大きく、ひとまずは別に場所が用意されていたほうが良いはずだ――と考える。

対して「分ける」というのはおかしいという批判がこれまでなされてきた(「養護学校義務化 反対」「サラマンカ宣言 特別支援教育」などと検索してもらえばおよそなんとなくわかるかもしれない)。別々の場所に健常者/障害者と分けて教育をすることそのものが良くないと考える人たちがいる。

どちらの立場が「正しい」「良い」のかという問題はここでは言うことはできないし、答えがあるようなものではないし、それはおいておくとして、そういう流れが存在する。もちろん、こういう2項対立で考えること自体に危うさがあって、現実には分ける・分けないの立場の間にいろんなグラデーションがある。

言いたいのは特別支援教育というものが「分ける」という方向性を(未来はともかく、現状においては)ひとまずよいと考えてみる、立場をとっていることだ。こういう方向性そのものを懐疑的にとらえようとするならば、特別支援教育を学ぶ(教員養成)学科に進むとつらくなるかもしれない。こういうことを考えなくても済む、という人は別だが、ここは立ち止って考えるに値するところだと思う。それもふくめて特別支援教育界に身を置く、ということは十分にありうる選択だと思うし、そういう人も多くいるはずだ。

特別支援教育の学ぶなら

きっとどこでもよいのかもしれないが、もし特別支援教育の道に進みたいならば、おすすめは筑波大学(障害科学類)・広島大学(特別支援教育特別専攻科)だ。

「小学校」の免許を取ろうと思うとまた別の選択肢を検討したほうがよいのかもしれないものの(詳しいことは知らないしわからない)、ともかく、この2校は歴史的に特別支援教育を推進してきた学校でもしきちんと勉強したいと思うひとには良いはずだ。とくに私の出身校である筑波大学は環境として非常に良い(これは母校ひいきも含んでいるが、とにかくよいことはよい)。

そもそも論

では、「分けない」道にすすむならどうか。これが難題である。というのも「分けない」道というのは、特別支援教育からすると傍流であって、きちんと学ぼうと思うとどうすればいいのか見当がつかない。

ひとつの道は東京大学だと思う。これはどういうルートでいけば、そういうことを考えうるのかわからないが、小国喜弘先生や福島智先生などがいる。

「インクルーシブ教育(インクルーシブ教育システムではない)」というのが分けない方向性のひとつのキーワードである。そうしたキーワードをたどって、すくない道を探してみる、ということがありうる。

これについては改めて考えてその2に書く。

ともかく

ともかく、ちょっとした水先案内を書いた。

これは私の理解であって、正しいかどうかはわからない。いろんな人の話を聞いたほうが良いが、私はすくなくとも4年間はこのことを考えていて(研究していて、ということも含む)、それで以上のように書いた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?