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追い風と向かい風

自転車を漕いでいると空気抵抗は結構な障害となる。向かい風が吹いている時などは尚更だ。
そんな時にはサドルから立ち上がり前傾姿勢になって、全体重をペダルに伝えるべく一踏み一踏み強かに踵を突き出す。そうして少しずつ少しずつ車体を前に押し出していくのだ。
けれども追い風に背中を押されている時には、余程の突風でも吹かない限りほとんど風を感じる事はない。車体の滑らかに進む様が幾分心地よいと感じる程度で大したありがたみは感じない。

追い風に吹かれて気楽に漕いでいる時に、向かいから険しい面持ちで一生懸命にペダルを踏み込んでいる自転車とすれ違ったりするとこんな風に感じる。
「そんなにきつい風じゃあるまいし、全く大袈裟な人だなあ。」と。

ふと思った。
「背中を押してくれるものの有り難み」は中々気付きにくいものだし「本人にしか分からない苦しみ」というのも確かにある。
気をつけていなければ、頑張っている人や苦しんでいる人を突き放したり見下したりする事も簡単に出来てしまうんだろう。


今日はとても風が強い日だった。

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