こころの花は夜ひらく

夜。
あゝ、夜ってなんて素敵な響きなんだろう。

私の中の仄暗いところ、
その隅っこのくすぶりを暴こうとするあの無遠慮な陽射しが
夜にはいない。

それに、気を張って身体を強張らせてないと途端ににじみ出てしまううみ……
ーそう、結局のところ、このうみは私自身なの。

夜はそんな私を覆い隠してくれる。

優しく夜に抱かれた私は、
どろりと溶けて、
ぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、
ゆっくりゆっくりとまとまって、
段々形が整って……、

最後は月の光粒をたっぷり含んだ夜露のしずくが、
ふっくらとした草葉の頬を伝って、
ポトリ、と私に落ちる。

ー私?
そっか、これ私なんだ。

それで私ノックされたんだと思ってやっとの思いでまぶたを持ち上げて、あたりを見回す。

その時、気づくの。
「私は花なんだ」って……。

そうやって、こころの花は夜ひらくの。

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