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孤独の響き

静寂を破る放屁の音が部屋中に響き渡った。ああ、今日も地獄が始まった。部屋の雰囲気を震わせるあの響きは、俺の人生と同じく、空虚な悲鳴だ。孤独と闘い、負け、また闘う。そう、これが俺の日々だ。

窓の外から見えるのは安らかな夜。明かりを灯すのは寂しさを紛らわすためだろうか。俺は立ち上がり、ソファから一本のビールを手に取った。今夜もこんなに寒いのに、ビールの冷たさはそんなことを無視して喉を通り過ぎていく。

シンクの上には未洗いの食器が積み上げられ、ピザの箱は開けたままで、中身はゴキブリが遊び場にするほど長い間放置されていた。うんざりだ。まるで俺の人生そのものだ。積み上がる問題、解決せぬ怠惰、そして、全てに対する絶望。

テレビの前に戻り、リモコンを手に取った。電源を入れると、画面に映し出されるのは愛も希望も無い世界。殺人事件、戦争、飢餓、そして政治。一部の人間が享受する繁栄と、多くの人間が苦しむ疲労。ニュースキャスターがニコニコと報じる、そのすべてが虚偽に見えた。

俺はビールを一気にあおり、次の瓶を開けた。無情にも時間は過ぎ、俺はただただその流れに身を任せた。そして、またあの音が響いた。今度は、その音に対する怒りと絶望が部屋に満ち溢れた。一人でいることの哀しさと、二度と戻らない時間への憎悪。

でも、それが俺の現実だ。離婚し、孤独に生きることを選んだ男の、孤独な日々の始まりだ。そして、明日も、明後日も、その次の日も、そんな日々が続くだろう。そんな俺のような人生、おまえらにも来るかもしれんな。それまで、一杯やるか。

ビールをあおりながら、俺はテレビの前で眠りについた。部屋中に響き渡る放屁の音と共に、また一日が終わった。


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