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BLと腐とLGBTQと

人生初のリモート会議?を友人2人と行った。お題は『タイBLを観ながら色々語る』というなんとも趣味な内容で。その会話の中で『腐をナゼ隠すのか?』という話題になった。腐を隠す理由から見えるBLとLGBTQの関係性について考えてみた。

子供がLGBTQ、認めるけど・・・

以前、僕はTwitterで『もし自分の子供がLGBTQだった場合、それを認める?』という問いかけをフォロワーさんに聞いてみた。僕のフォロワーさんはアカウント柄、腐の方が多い。その中でも女性が大半を占めていて既婚の方も当然いる。
既婚の方々は皆さん口を揃えて
【我が子供がLGBTQだったら守るわよ!】と言ってくれていた。
それはとても心強く、ゲイ当事者としては嬉しい言葉だった。
世の中のお母さんがみんな腐だったらいいのに!とさえ思えるくらい、嬉しい言葉だった。
だけど、このお母さん方は【腐を隠しているか?】の疑問が湧いた。
何故なら子供が当事者だったとして、家族、友達、職場に【腐を隠していたら】本当の意味で我が子供を守ることはできるのか?隠していたとして【ナゼ腐を隠す必要があるのか?】と。

LGBTQの子を守る方法はいくらでもある。でも、LGBTQの子供が最初に直面するのは「性自認」で、自己を認めること。これは本人の問題で自分で乗り切るしかない。が、この時に悩み、自己嫌悪に陥り、自害を選択する子もいるのも確か。非常に難しい問題でもある。
だからこの時、一番近くにいる親が気づいて手助けしてくれると、ありがたい。気付くためには子とのコミュニケーションをしっかり持つことも大切だが、観ていなくてはいけない。今の家庭環境でそれは厳しく、なかなか気付くことが難しい。何故か?
それはLGBTQが「差別偏見の的」であるからだ。子もネットなどでその現状を見て知っている。だから知られてはいけない、親には特に!と。さらにカミングアウト問題になると一番怖い存在が「父親」だ。どう拒絶されるのか、受け入れてくれるのか、、、。考える度に不安になる。さらには家族の会話でLGBTQに対して批判的な会話を見聞きすれば言えない理由付けが増えていく。この状況下で【守ること】ができるのか。

腐を隠す隠さない理由

Twitterで『旦那に腐女子ってことを隠してるの、なぜ?』という質問をしてみた。
巷では多様性の問題でLGBTQが表面化してきているのにBLを隠すのはなぜなんだろう?やっぱり腐は隠すべきものなのか?と。

そこで得た回答は主に
・旦那意外の男に没頭していることを隠している
・LGBTQのカミングアウトに近い似ている気持ちがある
・バレると驚くかなと思って伝えてある
・全くもって隠してない。気をつけるべきは肌色!
であった。

隠す理由は旦那に対する配慮と、LGBTQのカミングアウトに近い気持ちがあるの2つにと別れた。前者は愛溢れる回答で読んでいて嬉しかった。が、後者はというと、悲しい気持ちになった。
何故ならLGBTQのカミングアウトは大袈裟に言わなくても「自分の人生を賭けた告白」であるのに対して、「趣味の告白」が同一ラインになるなんてあり得ないんだけど!と。そんなに大変なの?と。

だがよくよく考えて思い出してみると、日本のドラマや漫画で表現される「腐」というのは「隠す」のが当たり前のように描かれている。何故か?答えは簡単だ。
腐が嗜むのはBL=ボーイズラブで、ボーイズラブは男性同士の恋愛を描いたものをいう。腐の中ではそれを「男性同性愛者の恋愛を描いた物を嗜んでいるわけではない!あくまでも男性同士の恋愛で人間愛で純愛を嗜んでいるんだ!」と強く言う人もいるが、それはその考えの腐の人達の中での思いであり、腐ではない人達からすれば「BLと男性同性愛者と何が違うのか?」という考えになるのは至極当然のこと。
そう。腐ではない人にとってBLは、男性同性愛者の恋愛物語と大差ないのである。

BL=男性同性愛者=差別偏見の対象

腐ではない人にとってBLが男性同性愛者の恋愛物語と大差ないのであれば、「偏見と差別」が生まれるのは当然だ。
今の世の中、昔に比べればLGBTQにとって寛容的な世の中になった。とは言われるが、差別と偏見が消えたわけではない。
政治の世界では「LGBT理解増進法」所謂「LGBT法案」が「差別は許されない」との表現を入れるわけにはいかない、と言う理由で国会への提出が見送りになった。
大変遺憾な出来事で、その理由自体が「差別になりうる」と何故分からないのか?と疑問に思ったが、それが「今の世の中の声」でもあると受け止めた。
そう。LGBTQに対する差別偏見は今も根強く残っている。
家庭や友人との会話の中で、LGBTQに対する差別偏見の会話をよく耳にしている人は少なくない。
BLが男性同性愛者のことだと思っている人で、男性同性愛者をよく思っていなければBLも当然、差別偏見の対象になると言う訳だ。

だから腐がその差別偏見の対象となっているBLの事を言うのは、カミングアウトに近いと表現するのは合点がいく。

だからこそ「男性同性愛者の恋愛を描いた物を嗜んでいるわけではない!あくまでも男性同士の恋愛で人間愛で純愛を嗜んでいるんだ!」と言う腐女子に問いたい。
貴女はBLが好きで腐女子であることを隠さず生きているか?
BLが男性同性愛者の事だと思っている人に「違う!」と言っているのか?
違う!と言うのは「LGBTQへの差別発言になりうる」と言うことに気づいているのか?
隠しているなら「ナゼ隠しているのか?」貴女が好きな「男同士が恋愛する物語は世間一般に隠さないといけない世界」なんですか?そんなに「男同士が恋愛する世界」は隠さないといけないくらい恥ずかしい世界なんですか?

腐を家族に隠して我が子を守れるのか

自分の趣味である腐を家族に隠す理由は差別偏見が一つの要因であることが判った。
では、腐を隠したまま我が子を守れるのか。LGBTQで悩む性自認の過程で気付いてあげられたら「母は腐女子だ!理解ある!」と言える。となれば早い段階でサポートすることが出来るだろう。子としては至極心強く有難いはずだ。
旦那や家族にも子のことを話さないままLGBTQについての会話で旦那や家族の出方を見たり考えを変えるための問題提起することが出来る。
子がLGBTQだと知らなかったとしても、家庭内でLGBTQの肯定的な会話を頻繁に出していたら子は安心するだろう。自分の親は理解ある人だと。
子がLGBTQじゃなかったとしても、会話があれば差別偏見をしない理解ある人に成長するかもしれない。
でも、差別偏見が飛び交う旦那や家族の中では、その会話でさえ厳しいだろう。
腐を隠して我が子を守る、それはやっぱり我が子をしっかりみてくしかない。

腐を隠さない

隠さない腐の人はBLを旦那や家族と一緒に観ていたりしていた。隠すべきは「肌色=ベッドシーン」でありそれ以外は普通に嗜んでいた。
その回答を見ると驚きだった。隠さないことが当たり前で、それが子供への可能性を広げるものだとも言っていた。
物凄く素晴らしい家庭環境で羨ましい。この様な家庭が増えれば、世の中、LGBTQへの差別偏見は確実になくなっていく。そうなればBLへの差別偏見もなくなっていくだろう。
腐も隠す趣味ではなくなっていくのは間違いない。

BLとLGBTQは密接な関係にある。
台湾BLのHIStoryシリーズは、台湾の同性婚法案成立の手助けになっていた。一般にBLというジャンルを広め、さらにLGBTQの存在を認識させた立役者でもある。LGBTQの存在を認識し、問題点をLGBTQ自身が提起することでLGBTQ及びBLの理解に繋がっていった経緯がある。
だからBLを隠さない趣味にするには、腐とLGBTQとの連携も一つのやり方だろう。LGBTQもBLを否定することなく腐を理解し連携していくことが、自分たちの目標を達成する一つになるのではないか。

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