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お絵描きの心得 その1/ 模写とデッサンをしまくろう

 途中15年もブランクがあっても、物心ついた時からなのでトータル30年近くお絵描きしていると、一応は人並みよりちょっと上手に描けるので、絵についての質問を頂くこともある。

 よくある質問は、「どうやったらそんなふうに描けるの?」。

 いやそれ、自分でもよく分かっていないのよ。本当すいません。でも、意識していないけど、意識してみたらちょっとはお伝えできることがあるかしらと思ってみる。それで、思い出した。

 好きだと思ったものを、とことん真似て描いてみる。これだ。

 絵を描く人って、誰かの絵や漫画を見て、自分もそれを体現したいと思って、それをお手本に描いてみるところから入ることが、圧倒的に多いと思うの。多分それ、自分の性癖に刺さってるって状態なんだろうけど、それこそが絵を描き続ける原動力になるので、好き!って思った作品の何を好きに思うのかも、ぜひよく観察してほしい。

 で、真似というか、模写をするわけなんだけども。え? 技術とか絵の知識がない? いいのです。気にしなくて。真似しようと思って、その作品をじっくり観察して、どうやったらそう描けるのか、試行錯誤することで、描き方が身に付く。とにかくね、描きまくって下さい。手を慣らすことと、絵のアイデアのストックを貯めること。模写は両方いっぺんに出来る。見よう見まねとはよく言ったもんで、本当に、それで吸収できることは多い。下手な技法の本を読むより、実践です。そうするうちに、自分の引き出しが溜まって、オリジナルはそこから生まれてくる。やがて溢れ出して、頭の中でイメージしたものを、紙(画面)に投影したくなる。 大体こんな流れで、オリジナル(一次創作)に辿り着いた…気がする。初めてオリジナルでキャラクター描いたのは、小学校高学年くらいだったっけ。もう記憶が遠すぎて、どんな衝動でオリジナル描き出したかすら、地味に忘れてるんですが。

 で。

 自分の頭に浮かんだイメージを、いざ描き始めるとね、そのイメージを具体的な線に落とし込むのが、意外と困難だってことに気づく。模写と違って、見本がない世界になるので、何も見ないで描く? ところがどっこい、ここでも模写が出てくるんですね。その絵に必要なモチーフ、例えば私みたいにファンタジーメインだったら、剣とかよくあるでしょ? 剣、できるだけ本物を探して下さい。誰かのイラストじゃなく、本物。子供の玩具とか、それに近い物でもいい。なければ、せめて写真。ちなみに我が家には、イタリアの武器屋から買ってきた、ソード型のペーパーナイフがありますが、それを基にしつつ、様々な剣の写真を漁りまくります。そうなると今度は、実物を模写する力が必要になってくる。デッサン力、というやつですね。見たものをそのまま写し込む力があるのとないのとでは、この辺から差が出てきます。私はいまだに、リンゴ1つでも本物を引っ張り出してきて描いたりします。絵って二次元だけど、そこにリアリティがないと、見た人を世界に引っ張り込めないと思うのよ。だから、三次元の世界の、本物を描写する力はあった方がいい。特に自分の絵によく出てくるモチーフは、可能な限り実物を手に入れて、デッサンをしてみて下さい。いろんな角度やシチュエーションで描いて描いて、その感覚を手に焼き付けることが大事。見なくても描ける、はそこから生まれる引き出しの一種なんですね。

 楽しく描くのが大前提なんで、苦しい思いをして修行をしろとは言わないし、面倒なら全然、イメージだけで描いていいと思う。でも、その面倒をちょっと頑張った後の、自分の絵の成長を見たら、説得力が全然違うし、欲が出ます。もっと上手く描きたいって。そして、デッサンも、数をこなせば慣れてくるので、そんなに面倒なことじゃなくなる。私も、今でこそそんなにしなくなったけれど、高校〜美大時代は、凄い数のデッサンをしました。電車に乗ってる時も、ミニスケッチブックを持ち歩いて、吊革とか描いてたし(笑)。でもそれが今、自分の絵の根底にしっかかり残っているので、ブランク明けも、比較的早く感覚を取り戻すことができたように思います。いや、まだまだ描けてるとは言い難いけれど。
 人物や洋服や靴とかも、普段から目にしているものだけど、記憶って意外とアテにならない。きちんと描きたいと少しでも思ったら、改めてよく見てみて。絵のためだけじゃなく、単純に、すごく発見があって面白いよ。

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