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京都の野外彫刻フィールドワーク99

『水平社会への道標』

2003年   佐野 賢

佐野 賢( 1942年京都府生まれ,京都市立芸術大学名誉教授)

設置場所 :  北区下総町5-1 (京都府部落解放センター)

 野外彫刻にはそれぞれに設置されている理由がある。歴史的な偉人の住居跡やゆかりの場所であったり,公共的な施設の象徴として設置されたもの,商工会議所などの何周年かの創立記念として建立されたもの,個人の寄贈によるものなどそれぞれの経緯も一様でない。
 この作品「水平社会の道標」は題名からもわかるように,部落解放運動による水平社会の実現をめざすものとして設置された。石碑に記された作者の言葉からもこの作品に込めた意志がつよく伝わる。
石彫による抽象的な形態だが,羽を休めて立っている大きな鳥のようにも見える。また,遠くを見つめる人物のようにも見える。丸く膨らみのある形に直線や曲線が筋のように刻まれ,そこには赤い彩色がされている。それらは何を表わしているのだろうか。
 残念なことはこの像が分かりにくい場所にあることだ。何度もこのあたりを通っているが知人に教えてもらうまで気づかなかった。像の前に別の建物があり通りからは見えない。正面からこの作品を撮影することも難しかった。