厚生労働省「超過死亡が目立つ中での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の致死率に関する考察 2022年12月13日 西浦 博」の考察(笑)
このリポートにおいては、
「疾病間の比較や流行のインパクトを考察する上で、推定上の落とし穴に十分に向かい合えているかと問われると、その点においては誤りであることを疑う必要がある。本稿の目的は、致死率のデータ生成過程について現行の致死率比較に関する議論の問題を明示し、未観察情報の致死率推定値への影響について暫定的に定量化することである。」
として、「2. COVID-19の致死率に関する数理的定式化」という項目が入れてある。そのモデルとして、" Ma & van den Driessche "の致死率データが発生する過程を観ようというのだ。
さて、この項目2は必要だっただろうか、と考えてしまう。つまり、ある数理的定式化モデルを考えて、そこから必然的にある結果が出て来るから必要だった、というなら話は分かる。しかし実際は、単にこういうモデルもあるよ、というモデルの紹介、そのモデルもかなり不完全なものだ(実際リポーターはそのことを述べている)。
この項目2で言いたかったことは、
「致死率は、『観測できたもの』、『観測できなかったもの』の和である」
ということだろう?
しかも、もともと最初から観測、不観測に分けて考えているので、必然的に致死率もそのようになるのは当然のことなのである(トートロジーだね)。
モデルから導き出されたものではないのだ。
それに、このようなモデルを考えることで、現在進行中のパンデミックの様態を説明しているか、といえばそうはなっていない。
筆者の感想を書かせて貰えれば、「鬼面人を威す」策、或いは、好意的に捉えて「モデル至上主義」的表現ではないか、とさえ思った。
微分方程式など挙げて、これに慣れていない者を牽制しているかのようにもみえる。実際は、理系学生ならもちろんのこと、理系の大学受験を目指す高校生なら、一目で「そりゃそうだよね」という感想しか持てないものにしか過ぎない。とても専門家が挙げるようなトピックではないのだ。
だから、この「2. COVID-19の致死率に関する数理的定式化」の項目は、先に挙げた言で十二分なのである。モデルを挙げてつらつらと書かずともこの言を否定する者は会合の中には居なかったであろう。
これが実態なのであろうか。
日本の将来の不安を感じる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?