お酒業界であっという間に成功したコカコーラから学ぶ。次の新製品
コカ・コーラシステムは、はじけるレモネードに
アルコールを加えた"ハードレモネード"の
専門ブランド「ノメルズ ハードレモネード」
を6月21日に全国で発売しました。
上の写真は、販売開店前に、私が
親しい酒販さんのところで
売場作りお手伝いさせていただき
撮らせていただきました。
開店前で店内暗いのですが
目立つ商品ですねー。
もう発売しています。
良いYouTubeですねー
さすがです。
今流行りのキャンピングカーや
新型コロナ禍での
アウトドアでの飲みなど
暗い世の中ポップ感も加えて
夢あるストーリーに仕上がっています。
檸檬堂で大成功したコカコーラ。
サントリーやアサヒ、キリンにサッポロなど日本の
お酒メーカーの中で、コカコーラが
どこまでイケるのか?注目でした。
あっという間に、市場を支配したのは
「レモンハイ」の1アイテムでした。
レモンハイの濃さに合わせて、味をブレンドする。
定番4種類と季節限定品の1種類合わせて5種類で
「缶チューハイの中でもハイエンド」を狙い
レモンハイの頂点を手に入れました。
2018年5月に“コカ・コーラ社が手がける初のアルコールブランド”としてリリースして以来、2020年3月までの累計で約2000万缶以上を売り上げ、激戦の缶レモンサワー市場で今なおシェア1位を獲得しています。
新型コロナ禍が、居酒屋で飲む美味しいレモンハイが
飲めなくなる中で、確固たる地位をあっという間に
抑えました。実はどのメーカーも最大の売上は
「レモン」にあったからです。
そこだけを狙うと言う。マーケティング戦略の勝利。
さすが、コカコーラでした。
酒屋時代
檸檬堂の関係性をよく知る私ですが
コカコーラの檸檬堂としては
アメリカ的なベンチャーでした。
結果が出なければクビです。
上司の多くは外国人でした。
新型コロナ禍の前から
ズームを使ってミィーティングする
合理的な会社でした。
日本的な「みんなを集めて」みたいな無駄は
一切しません。世界を見れば、普通です。
働く従業員は、檸檬堂のためにかき集められたと言っていいくらい「多業種の集まり」です。
そのプロジェクトのために、就職したに等しい。
大手酒造メーカーや他社のアサヒやキリンなどの営業マンなど本当に多彩なメンバーが集まり「コカコーラ」と言うよりも「檸檬堂を市場拡大する部隊」として集まった筋金入りのアウトローです。
まさに外人部隊のような日本ではあり得ないくらい
「結果にコミットした精鋭部隊として育成」されて
来ています。
今回の新商品は「単なる新商品」ではありません。
檸檬堂と同じように「新たな部隊」が暗躍すると言えばネットフリックスの戦争映画の見過ぎかもしれませんが、笑。「売る事に特化した」コカコーラの絶対負けられない攻め。
ココに来たか!と言う狙い目が、さすがコカコーラです。
檸檬堂が取り込み切れなかった層を狙う
日本コカ・コーラの発表によれば、低アルコール飲料(ビール、発泡酒、新ジャンルを除くアルコール度数10%未満の酒類)の市場は2020年の段階で5000億円規模。
18年から20年にかけて約12%成長しており、
なかでもレモンフレーバーの低アルコール飲料は全体の4割を占めるまでになっているという。
新商品である「ノメルズ ハードレモネード」(以下、ノメルズ)の「ハード」は「ソフト」の対義語で、ノンアルコール飲料のことを「ソフトドリンク」と呼ぶのに対し、日本ではアルコール入り飲料のことを「ハードドリンク」と呼ぶことにちなんでいる。
アルコール入りのレモネードだから「ハードレモネード」というわけです。
日本コカ・コーラ マーケティング本部 アルコールカテゴリー ブランドマネジャーの東條渚氏は
「低アルコール市場のさらなる成長のためには、檸檬堂とは異なる新しい価値観を提案するブランドが必要だと考えた。日本でも専門店が登場するなど、レモネードは注目度が高い。低アルコール飲料市場におけるレモンフレーバーのトレンド、また米国での人気を受けて、ハードレモネード専門ブランドのノメルズを立ち上げた」と、新ブランド開発の背景を説明する。
檸檬堂の購入層はアルコールが好きな30~40代。
今回は20代〜30代を狙う。
今回のレモネードは、前回の檸檬堂のレモンのイメージを保ちながらも、オリジナリティある商品です。
若者層をごっそり奪い、「レモン」と言う世界観を
全ての客層を奪っていく素晴らしい戦略です。
酒蔵や飲食店
日本酒業界と見比べて
マーケティングの大切さ
が本当によくわかります。
コカコーラのマーケティング戦略は
酒蔵だけでなく、多くの企業と比べても
日本企業のなぁなぁ主義では
全く歯がたたない世界である事がわかります。
私も若かりし頃、多くの多国籍企業に勤めていたので
本当によくわかる。ビジネスの本質をいくコカコーラらしい戦略だと思います。
「市場制覇出来なきゃ、終わり」
厳しい世界です。
誰もが、日本にアルコール市場はもうオワコン。
と思っている中で、あっという間に
市場でナンバーワンを「単品」で奪い取りました。
今回のレモネードで、レモン市場を支配することに
なります。
新商品がターゲットにしているのは檸檬堂の購入層よりも若い20~30代です。
では前フリはこのへんで
私的視点で、新製品を見ていきましょう
「檸檬堂」はレモンサワーに特化していますが、新しく登場する「ノメルズ ハードレモネード」は、“レモネード”のお酒。アルコール分5%~7%で、隠し味に“ジュニパーベリー”を加えています。
今回私が注目しているのは
新型コロナ禍で
癒しのお酒を
コカコーラが狙ったと言うことです。
低アルコール戦略での飲み易さ
そして香りです。
その肝が、ジュニパーベリー
と言う隠し味になります。
ジュニパーベリーは、セイヨウネズという低木の果実を乾燥させたスパイスです。
聞いたことが無いという方が多いと思いますが、実はとても有名な蒸留酒(スピリッツ)の香りづけに使われているのです。
歴史も古く、ヨーロッパではありふれた植物でした。
元々は11世紀頃のイタリアの修道士がジュニパーベリーを使った蒸留酒を作ったのが起源のようです。
中世ヨーロッパで黒死病が大流行した際にも、このジュニパーベリーの蒸留酒が治療薬として使われていた記録が残っています。
このジンに関しては、17世紀のオランダの医師フランシスクス・シルヴィウス(Franciscus Sylvius)は解熱・利尿用薬用酒として発明したものと言われていますが、実際には彼の幼少期には既にジンが一般的に知られていたことがわかっています。
17世紀のオランダには既に多くの蒸留酒製造業者がいました。原酒にジュニパーベリーやアニス、コリアンダーなどのスパイスで香りづけをして蒸留酒を製造していたのです。その数はアムステルダムだけで400を超えたと言われています。
製造された蒸留酒は、街中の薬局で薬用酒として販売されました。
1689年にオランダ公ウィリアム3世が名誉革命によってイングランド国王になった際に、このジュニパーベリーの蒸留酒ジンはイングランドに持ち込まれました。
ジンはたちまちイングランド中で大人気となり、簡単に作れるために乱造されました。その大半はジュニパーベリーの代わりにテレビン油で香りづけされた安酒でした。
ジンの大流行は「GIN CRAZE」と呼ばれる社会不安を引き起こします。このジンという強い酒のせいで社会が荒廃してしまったのです。ジンは低所得者の酒、不良の好む酒としてマイナスイメージがつきまとうようになってしまいました。
ところが18世紀半ばにジンの製造が厳しくなり、ライセンスがないと製造・販売できなくなりました。これによってジュニパーベリーによる本来のジンが地位を回復するのですが…
19世紀後半になると連続式蒸留器が使われるようになり、度数が高く純度の高いスピリッツが蒸留されるようになりました。このスピリッツにジュニパーベリーを加えて単式蒸留することで、ドライ・ジンが生れました。
このドライ・ジンが様々なカクテルベースとして受け入れられ、トニック・ウォーターなどとの相性の良さもあって、広く流行するようになりました。
カクテルの王様「マティーニ」、イングランドの植民地で流行した「ジン・トニック」など私たちに馴染みのあるカクテルが多いですね。これらの香りがジュニパーベリーなのです!
このジュニパーベリー、古くからヨーロッパで収穫されていて、古代ローマでは高価な胡椒の代わりとしても使われていたそうです。あの大プリニウスの「博物誌」にも記載があります。その内容は大々的に誤解に基づいているようですが…
エジプトにも輸出されていたようで、ツタンカーメンの墓からもジュニパーベリーが発見されています。
ジュニパーベリーが採取できる植物「セイヨウネズ」は学名を「Juniperus communis」と言います。このJuniperus という呼び名はラテン語から来ているようなのですが、ありふれた植物であったため、語源は正確には分かっていません。
このセイヨウネズ、フランス語ではGenévrierと言います。ここからジンの呼び名が生れたと考えられています。
ジュニパーベリーのフランス語の頭文字をとって
Geneジンになります。
コカ・コーラシステムは、「前向きにたのしみたい」、「ジュース感覚でくつろぎたい」という低アルコール飲用者を中心に、日本ではまだ目新しい、米国で人気のレモネードのお酒“ハードレモネード”を提案するため、専門ブランド「ノメルズ ハードレモネード」を立ち上げ、たっぷり果汁とこだわりの製法で作られた、丸ごと感じるレモンの果実感にジュニパーベリーの香りが特徴です。
レモンの甘酸っぱさやはじける炭酸、カラフルで楽しいパッケージに加えて、「今夜はPOPに。」のキーメッセージを表現した広告で、「ノメルズ ハードレモネード」が単調な毎日にゆるくたのしい気持ちをもたらすことを発信していくとのことです。
既存の低アルコール飲用者をはじめ、アルコールは好きだけど普段あまり低アルコール飲料を飲まない人など、多くの人に新しいお酒のたのしみ方を提案。レモンサワー専門ブランド「檸檬堂」と共に、新しい価値創造によってRTDアルコール市場の活性化を目指すとしています。
日本ではまだ聞き馴染みのない“ハードレモネード”とは、レモネードにアルコールを足した米国で人気のお酒。レモネードとは、レモンの果汁に蜂蜜や砂糖などで甘味をつけ、冷水や炭酸水で割った清涼飲料で、昨今日本でも若者に人気の飲料として、カフェなどでメニューに取り入れられたり、専門店も登場したりしています。
「ノメルズ ハードレモネード」は、たっぷり果汁とこだわりの製法で作ったレモネードにオリジナルのアルコールを足した甘酸っぱいお酒で、さまざまな製法のうち、ミキサーでレモンを丸ごと味わえる「ブレンダーレモネード」から着想。ジンに用いられるスパイス「ジュニパーベリー」のエキスでアルコールに洋風の風味付けされています。
“定番のレモネードのおいしさ”、“ちょっとすっぱい”、“ほろ苦い味わい”の3フレーバーは、それぞれの気分や好みにあわせて「NOMEL(飲める)」ように楽しく味わえる、大人向けの「LEMON-nade」としています。レモンの甘酸っぱさやはじける炭酸が飲みやすく、仕事終わりや、リラックスタイムに明るく前向きな気分が楽しめるとしています。
パッケージは、レモンをイメージした黄色を基調とし、ブランド名やお店のアイコンとなるフードトラックのイラストを中心に、それぞれのフレーバーが一目でわかる視認性の高いデザインとなっています。
爆発的に売れそうですね!
「次はジンでボタニカルだよ」と一昨年
教えてあげた酒蔵さんも、僕はあるのですが
どうしてるかな?笑
1本150円の定価ですが、おそらく130円台で
スーパーマーケットで並ぶ事でしょう。
実は日本酒が売れないで缶チューハイが売れる理由は
価格にあります。
この130円は、ジュースを飲むのに等しい価格です。
ジュースを買う感覚で缶チューハイが買えることは
ジュース飲むよりも、アルコール入ってて良いかな。
と選択され易い。
わざわざ、お酒を買うと言う感覚ではない
気軽さにあります。
コカコーラがレモン系日本酒ソーダとか出さなくて良かったですねー。全部持ってかれるところでした。
パッケージラベルが、店頭に並んでも本当に
目につく美しい商品です。
しかも檸檬堂 監修である事のアピールですが
檸檬堂は国産のレモンを多く使用していて
利益率が低かったでしょう。
今回は輸入のレモンとグレープフルーツです。
コカコーラが得意とするジャンルです。
ガッツリ利益が出ると思います。
イメージ的には、檸檬堂の高品質なイメージ戦略で薄利多売でも認知され、このレモネードで利益回収する。王道のコカコーラの新商品戦略。マーケティング戦略です。
「ノメルズ」という名称は、それぞれの気分や好みにあわせて「NOMEL(飲める)」ように楽しく味わえる、大人向けの「レモネード」から付けた。
そうです。
如何なる理由があろうとも
これから若者が
家飲みで毎晩、このレモネードを呑む。
事で、
他のレモン系缶チューハイは飲まれません。
しかも1本目檸檬堂のレモンハイ
2本目レモネードと
2本抑えられた事で
もうアルコールを夜飲むには
コレで十分になります。
2本で270円くらいで700mlくらい飲む計算になります。しかもジュニパーベリーの香りは睡眠作用にも
優しい薬用感が安心して飲めることが
2本目に相応しいですし
お酒を飲まなかった層の1本目に相応しい。
飲めるようになれば、レモネードの次に檸檬堂。
と言うマーケティング戦略です。
いよいよ真夏。レモンがおいしい季節です。
酒蔵ビジネスは、益々、厳しくなります。
なぜならば、コカコーラがレモネードを出せば
他社もレモネードを出すからです。
出さなければコカコーラの独壇場になるから
ブルーオーシャンをレッドオーシャンに変えないと
他社メーカーの負けだからです。
AppleがiPhoneで、素晴らしいパープルを導入しました。
今回のレモネードも、パープル戦略です
パープルでありながら
真ん中のロゴは
ノーマルのレモネードの色使いです。
さすがです。
檸檬堂で3種、レモネードで3種。
コレで1週間、毎日違うレモン系缶チューハイを
飲める体制になりました。
檸檬堂は高級感ある酒蔵のイメージ
レモネードはPOPで、外食イメージ
レモネードそのものが、今世界で大ブームなので
本当に売れる商品になると思います。
さすがコカコーラ。
どんな理由があろうとも
消費者が認めれば勝ち
その平等性は
商売の面白いところです。
売れてナンボ
です
闘わなきゃやられるだけです。
缶チューハイ市場が
また面白くなりました。
飲食店は、ますます厳しい。
この130円台に、勝たないといけない
酒蔵は、本当に情報発信しなきゃですよ
飲食店が戻れば戻ると思うのは間違いです。
檸檬堂もレモネードも
大手メーカーも
飲食店を狙っていきます。
コカコーラの販売網はすごい。
飲食店で檸檬堂とレモネードが
呑める時代も遠くはありません。
しかも飲食店に支払いサイトを遅くしてあげたり
グラスを用意してあげたり、コカコーラ社のソフトドリンクの値引きなど
酒蔵のできない。飲食店を支援する条件で
僕ならば攻めていきます。
差別化をしっかりして
先ずは情報発信していきたいものです。
今となっては「アルコール業界で成功したコカコーラ」ですが、コカコーラとしても大冒険だったはずです。それをモノにした。0ゼロだった市場でTOPシェアを奪った。それは他のアルコールメーカーは「どこか、静観している余裕」があった隙にやられました。
日本酒業界を震撼させるのは、やはり、多業種からの日本酒参入だと僕は思っています。
ここ2年で大きな黒船がやってくることでしょう。
参考記事はこちら。もっと深く学べます。↓
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