エレキギターの打ち込みについて
お久しぶりです。
今日はエレキギターの打ち込みについて話していこうかと思います。
Q. 皆さんはエレキギターの打ち込みは得意ですか?苦手ですか?
おそらく8割の方は苦手と答えると思います。
これまでにエレキギターの打ち込みを主力として数々の作品を作ってきた私ですが、そんな自分も最初はエレキギターの打ち込みが苦手でした。
そんな私がなぜエレキギターの打ち込みを始めたのか、また極めたのか振り返りながら話していきたいと思います。
エレキギター打ち込みを始めたきっかけ
今から8年前の2014年、当時高校生だった自分はYouTubeにてとある方の作品に出会いました。
当時中学生と名乗る「kakuzatoo」氏というDTMerの作品です。(確か私より3つ下?くらいだった気がします)
彼はフリー音源のみ(DAWや音源に一切お金をかけていない)でアレンジ作品を作っていらっしゃいました。
その時聴いた作品がこちらです。
当時聴いたときは衝撃でした..!!
この作品、エレキギター含めすべて打ち込みで作られているんです。
「中学生でこの作品作るかね..!? すごいわ」当時はそう思いました。
この作品こそ、私がDTMを始める&エレキギター打ち込みを始めるきっかけになりました。
(ちなみに人生で初めてやり取りしたDTMerさんが彼でした)
エレキギターの音作りと打ち込みに悪戦苦闘
大学生になってから自分のPCを持つようになりました。フリーのDAWや音源をインストールして、
「さあ!やるぞ!」と意気込みましたが、まずはギター音がどういう仕組みで鳴っているのか理解するところからです。
アンプ、キャビネット、リバーブ、スクリーマー。。。
頭が割れそうになりました。この横文字はなんぞやと。
とりあえず自分なりに組んでみて鳴らしてみよう。
ギター音源「ズギャアアァァァァ!!!(爆音)」
イヤホンしている私「ギャアアァァァァ!!!(悲鳴)」
これは本当に良い経験でした。まずはちゃんと調べんといけんな。
実際エレキギターを弾いたことがない自分にとってはこの音作りが最初の壁でした。
いろいろ調べてみると、なんとあの作品の作者ブログを発見!!
しかもなんと、使用したアンプシミュレーターとギター音源の設定方法が書かれているではありませんか!?これは本当にありがたい..感謝!
(そのブログは今はもう閉鎖されています)
そのサイト情報をもとに設定を行い鳴らしてみると、見違えるようにきれいな音に!すっごく感動しました。。本当にありがたい。。
とりあえず基本的な奏法5種を覚えて、それを打ち込みで再現することにしました。
ええっと?ベロシティでサステインとブリッジミュートの切り替えっと。
なになに?ピッチベンドでビブラートやスライドを表現できると。
音作りは結構大変でしたが打ち込みは意外とすんなりといけました。やり方さえ分かればこっちのもんです。
そうして出来上がった私の初めての作品がこちらです。
約6年前ということでミックスバランスはかなり雑ですが、当時としてはよくできてたな~と思います。
使用したギター音源はFS Gibson Les Paul Electric Guitar Bridge Pickup Direct In.sf2というサウンドフォント、アンプシミュレーターはPOD Farm 2です。
有料エレキギター音源を買う
社会人になってから作曲ソフトのCUBASEやバンドサウンドに欠かせないドラムやベースといった音源を買いました。エレキギター音源も買いたいな~と思っていましたが、何が良いのか分からず。。
そんな時、ものすごい作品に出会いました。
前奏詐欺の人
という方のアレンジ作品です。
こちらの作品を視聴してみてください。
え、、打ち込み??弾いているよね!!??
初めて聴いた感想はこんな感じです。この方の作品はドラムやベース、和楽器などすべて打ち込みでどれも生っぽく聴こえること。
さらに注目すべきところはギターの打ち込み。
音作りを始め、チョーキングやビブラート、リフの細かな奏法切り替えやギターソロの速弾きまで、すべて打ち込みで完結しているんです。これは聴き惚れましたね。。
この方の作品、他のものもギターの打ち込みがかなりえげつないので聴いてみると良いかもしれません。
使用されている音源ですが、私が聴いた感じとノートの動き、通話したことのあるDTMerさんからの情報より、
ドラム:Addictive drums または Superior drummer 2
ベース:Shreddage Bass
エレキギター:Shreddage 2(ピックスクラッチはV-metal)
他不明
と考えられます。エレキギター音源に関しては、この方についてのまとめサイトでShreddage 2が使われていると書いてありました。
というわけで、約3年前にShreddage 2X(Shreddage 2のアップグレード版)を買いました。定価は14,000円と意外に安かった。
音源のGUIはこんな感じです。
見た目がもうカッコいい!!
ちなみにこちらの音源は7弦ギターをサンプリングしたものらしく、最低域はなんとドロップG(一般的にはE2までだがこちらはG1)
ロックやメタルを作りたい人におすすめの音源です。
初めて触って30分ほどで慣れたので、操作性は他の音源に比べて容易であると感じました。
※今はShreddage 3となって販売されてます。Shreddage 2は廃盤となりました。
音作りのやり方
さて、どうやって音作りしているか説明していきたいと思います。
使用するギター音源は他のものでも大丈夫です。
(UI Standard Guitarという無料のギター音源をおすすめします)
※ここからのセッティングは私がいろいろ調べて考え試行錯誤した結果です。参考までに。。
上の画像はリードギター(ギターソロを担当するパート)のセッティングです。左からスクリーマー、アンプ、キャビネット、コンプ、リバーブという順で繋げています。この順番が重要でギターの出音に影響しますので、この形を覚えておくと良いです。
それともう一つ、ディレイをかけましょう。音に広がりがでます。
使用しているプラグインはCUBASE付属のステレオディレイです。
画像は私が普段から用いている設定で、この場合の設定だとギターを鳴らして0.65秒後にやや右の位置からギターのエコーが聞こえてくるという感じです。ディレイはアンプシミュレーターの後にインサートするのが良いです(画像左のインサート欄参照)
各エフェクターの順番と役割はこんな感じ。
①ディレイ:音が遅れて聞こえてくる
②スクリーマー:原音に歪みを与える(音を壊すイメージ)
③アンプ:ノイズ&音量付加
④キャビネット&マイク:アンプからのノイズ抑制&サウンドメイク
⑤コンプ:音を圧縮、ムラのない音に仕上がる(減衰に影響?)
⑥リバーブ:音に浮遊感を出したり引っ込めたりする
個人的な感想ですが、ギター音源が違ってもアンプの種類・設定が同一なら、聴こえてくる音も大きく変わらない感じがします。
しいて言えば、聴こえてくる帯域や音の出方に差があるのではと思います。
もし音を変えたい場合は、キャビネットのマイクを変えてみると良いです。しっくりくる音が見つかるかもしれません。
また注意点として、リバーブやディレイはかけすぎ注意です。
全体ミックスで聴いたときに音がぼやけて聴こえたり、永遠にやまびこ状態の場合はこれらの見直しが必要です。ミックスバランスが破綻しない、ほどよい感じがベストです。
次にギターリフ(バッキングですが)リードギターの設定とは少し異なります。以下のようにセッティングします。
異なる点はリバーブとディレイは使わないこと。なのでリードギターと比べると設定はかなり楽です。
左からスクリーマー、アンプ、キャビネット、コンプという順で繋げています。これでおしまい!
画像ではキャビネットとコンプの間にプリアンプがありますが、なくても大丈夫です。もし破壊的なサウンドが欲しい場合は入れてみてください(今回プリアンプの説明は省きます)
なおイコライザー調整はこんな感じです。
リードギターの場合、200Hz以下と9000Hz以上カット、2200Hzあたりを2dbカット(画像の通りです)
ギターリフの場合は少し異なり、150Hz以下と9000Hz以上カット、250Hzあたりを2dbカット、2100Hzあたりを4dbカットしています。
※太文字の箇所は倍音が多く含まれているので、カットすることで抜けの良い音に仕上がります(Twitterのフォロワーさんより)
但し、カットしない方が良い場合もあるので、自分の耳で聴いて判断することをおすすめします。
どちらも他の楽器との棲み分けを意識してカットするようにしています。
以上で音作りは終了です。
打ち込みのやり方
音作りが終わったので次は打ち込みですね。ちなみに今回使用しているギター音源はShreddage 2Xです。
まずリードギターの打ち込み画面はこんな感じです。
実際に聴いてみるとこうなります。
順番に説明します(雑な手書きですがご了承ください)
まず①でギターのスクラッチ音を入れてます。その後16分のアルペジオでサステインとブリッジミュート(ベロシティで切り替え)を打ち込みつつ、②でピッキングハーモニクスを入れています。ここではベロシティをMAX127にすることで自動的にこの音が出るようになっています。再度16分のアルペジオと16分3連の速弾きを打ち込んだ後、最後のサステインで終わりです。
③ですが、これはスライド奏法です。C7で打ち込んだ3拍のサステインの後に少し重ねるようにしてベロシティ低めのノートを置いています。すると、ベロシティの高いほうから低い方へとスライドするように音が変化します。
さらに先ほどの所で、④のCC1modulationを最大にしてますがこれがビブラートです。CC1の値の大きさでビブラートの深さを調節することができるんです。
従来のピッチベンドを細かく書いて奏法を再現するという手間が省けるため、この音源は大変使い勝手が良く時短にもなります。
最後にギターリフ(バッキング)の打ち込み画面はこんな感じです。
実際に聴いてみるとこうなります。
これは画像の下半分(Bb0~Bb1)のノートがパワーコード、上半分(Bb3~C5)のノートがサステインとなっています。
ブリッジミュートは、単音の場合は上半分のノートにベロシティ69以下で打ち込む、パワーコードの場合は下半分のノートにベロシティ70~126で打ち込むことで再現できます。パワーコードもわざわざノートを2~3個打ち込む必要がないためこれもかなり時短になります。
これも個人的な感想ですが、バッキングはリードギターよりも打ち込みが楽で、頻繁な調整もあまりいらないのが特徴です。なので「打ち込み苦手だ~」という方はリードギターはやらなくても、まずはギターリフだけ打ち込む練習をしても良いかもしれません。慣れてきたらギターソロの打ち込みに手をつけてみましょう。
長くなりましたが、音作りと打ち込みは以上となります。
これらをすべてまとめた作品がこちらになります。
※一部ギターソロでワウが入ってますが、その設定について今回は省略します。またどこかで話せたらいいなと思います。
以上でエレキギター打ち込みの話を終わります。
少しでも役に立てれば幸いです。
私自身、今後も打ち込みスキルを磨いていきますので引き続きよろしくお願いいたします。
ではまた。
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