幼馴染の君と 〜ep.22〜
俺たちはただ、蓮加の眠るベッドの前で泣き崩れていることしかできなかった。
○○ : ゔゔぅ...蓮加...
回復に向かっていたはずの蓮加が静かに眠っている。
美波 : なんで...グスン...
久保 : 蓮加...グスン...
状況を聞きつけた麻衣、○○と美波の両親もすぐに駆けつけたが彼らの目にも涙が溜まっていた。
麻衣 : 蓮加ちゃん...グスン...
するとそこに、先生が入ってきた。
ガラガラガラ...🚪
先生 : 失礼します。
蓮加母 : 先生、どうして蓮加は...
先生 : 岩本さんの状態も良くなっていましたし、こちらも回復に向かっていると思っていました。ですが、頭を打った際にできた脳内の傷が悪化した結果、このような事態に...
○○ : それって!そっちのミスなんじゃないですか?!そのせいで蓮加は....蓮加は...グスン....
○○母 : ○○やめなさい!!それは絶対に違うから!!
○○ : ゔゔぅ...蓮加...
未だに状況が飲み込めていない○○は最善を尽くしてくれた病院側のせいにしてしまった。
それぐらい○○の頭は混乱していた。
大好きな蓮加がいなくなったこの先、どう生きていけばいいのか。
大好きな笑顔、大好きな声、大好きな日常。
その全てがなくなると思うと、怖くて、怖くてしょうがない、ただ泣き崩れるしかなかった。
でもそんな俺を麻衣姉は抱きしめてくれた。
麻衣 : ○○...蓮加ちゃんのためにも○○が強く生きないと!
それでもその時の俺は、悲しみから立ち上がることができなかった。
———————————————
蓮加が亡くなってから数日。
麻衣と美波と史緒里は今まで通り学校へ通い始めた。
○○は、悲しさで自分の部屋に引きこもった状態から出られなくなり大好きだった学校やサッカーにも行けなくなってしまった。
麻衣 : ○○...美波ちゃん来てくれたよ?
そんな○○を心配して美波は毎日○○の家へ来てくれていた。
美波 : ○○...大丈夫...?
○○ : うん...
いつも会話はこれだけ。
部屋のドアの前で一言声をかけて、帰る。
私には何もできないんだと感じて毎日悔しい気持ちになる。
それでも美波はベッドで寝込む○○をそっとさせてくれた。
諦めず通い続けて数週間。
少しずつはあるが、○○の気持ちも落ち着いてきた。
美波 : ○○...今日も来たよ。
○○ : 入っていいよ
美波 : 本当に?大丈夫?!
○○ : うん...いいよ...
美波 : じゃあ、入るね?
ガチャ...🚪
○○ : 久しぶりだね...美波...
ギュッ...
○○ : 美波?
美波 : うぅ...本当に心配したんだから!学校にも来ないし姿も見せてくれないから!
○○ : ごめん...まだ立ち直れてなくて...
美波 : ゆっくりで大丈夫だから!私もまだ蓮加がいないなんて信じられないし...
○○ : ごめん...俺のせいで...
美波 : 謝らないでよ!○○のせいじゃないし、蓮加を一番大切してた○○が一番悔しくて悲しんでることはみんな知ってるから!
○○ : でも...
美波 : でもじゃない!○○がそんな悲しんでるところ蓮加が見たらどう思うの?!
○○ : ......!!!
美波 : 蓮加の為にも生きようよ!そうじゃないと蓮加も悲しんじゃうから!
○○ : 美波...
美波 : 私だって○○が笑顔でいてくれないと辛いもん...
○○ : ありがとう...美波...俺、蓮加もためにも頑張って生きるよ!
美波 : うん!それでこそ○○だよ!
○○ : ありがとう...
美波 : じゃあ、今日は帰るね!明日、朝迎えに来るから一緒に学校行こ!
○○ : うん...待ってる。
こうして○○は蓮加が亡くなった悲しみを生きる活力へ変えたのだった。