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京都新聞 「現代のことば」

 

『いやげ物』 みうら じゅん

”骨董品”と”土産物品“では置き所が違う。
骨董品は骨董屋に、土産物品は土産物屋に並んでいるものである。
骨董品の場合、並べる前、目利が一度、鑑定を行うが、土産物品にそれがない。
基本、新品だからだ。よって土産物品には流行がある。店主が注意を払うのは、売れ筋のチェック。
特に有名観光地となると、老若男女が訪れる。軒を連ねるライバル店に差をつけるにはすべての世代に受ける土産物品を揃えること。その采配は、店主にかかっている。
しかし、その結果、どの店も同じような土産物品が並ぶ。そんな光景もよく目にする。
ここで、そもそも土産物とは何か?原点に立ち返り考えてみたいと思う。
辞書には“土産は、知人や縁者に配る目的で旅行先などで買い求めるその土地にちなむ品物”と、載っている。
ここで重要なポイントは、配ることが目的ということだ。
自分のために買うものは、たとえそれが旅先の土産物出会って“思い出の品”または”記念品“ということになってしまうのだろう。
だから本来の土産物はただ、買ってきただけでは済まない。
買う時のプロセスとして、配る相手のことを考え“これだったらきっと喜んで貰える”という品を見つけなければならない。
それが複数となると、とても気が回らない。当たり障りのない品で済ませるのであり。「つまらないもので!」という昭和の慣用句には、そんな後ろメタファーの含まれていたのではないか?
じゃ、配っても喜ばれない品まで土産と読んでいいのか?
そんな疑問が湧く。
今の土産物屋はそういう困った品を極力排除しているだろうが、問題は”先代“または“先先代”の店主が仕入れただろう土産物がまだ、残っている場合である。
レトロと言えば聞こえはいいが、それを貰った者は困惑する。その場で中身を開けようものなら、
「これは旅の思い出として、貴方が持っている方がいいんじゃない?」
と言って、突き返してくるかも知れない。それほどまでの威力を持つ古土産。そのほとんどは、日本の高度成長期に生み出されたものである。
・ヘンな掛け軸”ヘンジク“
・金メッキのプラスティック“金プラ”
・ヘンなモチーフの栓抜き”ヘンヌキ“
・ヤシの実を細工したキャラ“ヤシやん”
・妙なプリティ貝細工”プリ貝“
・いらぬ格言が書かれた湯呑み“ユノミン”
などなど、一応、相応しいネーミングを考えてみたが、それらをそうして、『いやげ物』と、呼ぶことに決定!
きっと「いやげ物ですが!」と、差し出せば相手も中身に興味津津。喜んで受け取ること間違いないと僕は思っているのだが。
           (イラストレーターなど)

京都新聞 現代のことば(令和6年4月5日金曜日)

 さて今回の現代のことばは、「いやげ物」です。

 話し始めは、「骨董品」と「土産物品」の違いが書かれています。

 この2つの違いなんて、考えたこともありませんでした。

 面白いですよね。

 お土産品はいろいろなところで買ったことがあります。

 子供の頃は、「いやげ物」を選んで買っていたなぁと思います。

 記憶を遡ると、「ヘンジク」「金プラ」「ヘンヌキ」「ヤシやん」「プリ貝」「ユノミン」どれも、買ったことがあるなぁと思います。

 主に自分へのお土産でしたが……。

 友人にも「いやげ物」好きな人がいて、リアルな魚のキーホルダーに一目惚れして購入し、周りの友人をドン引きさせました。

 また、その友人とは「meets」という雑誌で、奈良のお土産物の記事を見て、橿原神宮の博物館のお土産屋さんで売っていた、埴輪のキーホルダー。

 東向商店街あたりで売っていた、リアルなバンビちゃんの置物。

 他は忘れましたが、車で奈良県を行ったり来たりしました。

 バンビちゃんは軒並み売り切れで、商店街を行ったり来たりして、やっと見つけたときは大喜びしました。

 お店の方が、バンビちゃんが急に売れだしてびっくりしておられたので、雑誌をお見せすると、『そういうことか!』と納得されましたが、『雑誌に載っただけで、こんなに売れるんやな。』と、やっぱり驚いておられました。

 バンビちゃんは確実に、「いやげ物」だったんでしょうで(笑)。

 しかし大人になると、お土産もプレゼントも、残らないものを選ぶようになりました。

 しかし、小物など「いやげ物」も、大人になっても気になります。

 私にしたら、「いやげ物」はとても魅力的で、ついつい購入してしまいます。

 これからも、いくつになってもきっと「いやげ物」を買ってしまうんだろうと思います。

 今度いやげ物を見つけたら、友人にも買って行こうかな(笑)。

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