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雑誌『ゲンロン』

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雑誌『ゲンロン』に掲載されている論文や小説の感想です
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#平松潤奈

銀河帝国の誕生ーマルレーヌ・ラリュエル「運命としての空間ー地理と宇宙をとおしたロシア帝国の正当化」を読んでみた

ウクライナ戦争、ロシア現代思想関連文献を読みつづけています。 今回はフランス人歴史家マルレーヌ・ラリュエルの2013年の論文「運命としての空間ー地理と宇宙をとおしたロシア帝国の正当化」(平松潤奈訳 『ゲンロン7』2017年に収録)を読んでみます。 ラリュエルはナショナリスト的言説の構築物たる帝国(ユーラシア主義)と、空間(地理と宇宙)の関係を明らかにすることをめざします。 そのために三つの構築物(ナラティブ)を分析します。 1)古典的ユーラシア主義 1920年代〜30年代