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雑誌『ゲンロン』

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雑誌『ゲンロン』に掲載されている論文や小説の感想です
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#東浩紀

アメリカはロシアだー座談会「ロシア思想を再導入する」を読んでみた

ウクライナ戦争の開戦の動機を探っていたら、だんだんロシア現代思想に興味が湧いてきました。 今回は座談会「ロシア思想を再導入するーバフチン、大衆、ソボールノスチ」(雑誌『ゲンロン6』2017年に収録)を読んでみました。 参加者は貝澤哉、乗松享平(ロシア文学、思想研究者)、畠山宗明(映画理論研究者)、東浩紀(思想家、ゲンロン編集長)の4人。 問題設定まずロシアと日本のざっくりとした共通点が確認されます。 両国とも近代に遅れて参入し、近代の超克をめざしました。ロシアでも日本の

ウクライナ戦争の動機を考えるー座談会「帝国と国民国家のはざまで」を読んでみた

前回までのあらすじ 戦争に巻き込まれるのはまっぴらごめんということで、ウクライナ戦争を題材にして回避策を見つけることができないかと考えたのでした。まずロシア軍事・安全保障の研究者、小泉悠の著作を二つほど読みましたが、回避策を考えるにも、そもそも2022年2月に開戦しなければならなかったロシアの動機がわからないということでした。小泉は「自分の代でルーシ民族の再統一を成し遂げるのだ」といった民族主義的野望のようなものが動機なのではないかと考えるのですが、しかし2022年2月に開戦