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雑誌『ゲンロン』

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雑誌『ゲンロン』に掲載されている論文や小説の感想です
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#ウクライナ

敗者は記憶を書きかえるー座談会「歴史をつくりなおすー文化的基盤としてのソ連」を読んでみた

前回までのあらすじ ウクライナ戦争のロシア側の開戦動機を調べています。 特に開戦が2022年2月だったのはなぜかという謎を追っています。 前回は、2022年2月にはロシア内のウクライナ侵攻賛成派からのプーチンへの圧力が強くなってきて、プーチンは自身の身を守るため侵攻せざるを得なくなったのではないか、という仮説を立てるところまでたどりつきました。 また、謎を追っていたら新たな謎がでてきました。 ロシアはかつての日本のように徹底的に敗北させられるのが良いという識者の意見があり

ウクライナ戦争の動機を考えるー座談会「帝国と国民国家のはざまで」を読んでみた

前回までのあらすじ 戦争に巻き込まれるのはまっぴらごめんということで、ウクライナ戦争を題材にして回避策を見つけることができないかと考えたのでした。まずロシア軍事・安全保障の研究者、小泉悠の著作を二つほど読みましたが、回避策を考えるにも、そもそも2022年2月に開戦しなければならなかったロシアの動機がわからないということでした。小泉は「自分の代でルーシ民族の再統一を成し遂げるのだ」といった民族主義的野望のようなものが動機なのではないかと考えるのですが、しかし2022年2月に開戦