ちょっぴり怖い話(海外で購入した絵画)

これは、新宿三丁目のバーで働いている男性スタッフから聞いた話です。

そのバーは、築年数の建っている雑居ビルの地下にありました。
地下には何店舗かテナントが入っていて、ほとんどが飲食店でした。

営業中に、隣の店舗の女性スタッフが勢いよく扉を開けて、入ってきたそうです。

「店内がおかしいので見てほしいんだけど!」

男性スタッフに霊感があることを、その女性スタッフは知っていたのです。

男性スタッフは、店にいたお客さんに断りを入れて、隣の店舗の様子を見に行きました。
バーの外の廊下に出ると、隣の店舗にいたらしいお客さんが、数人出てきていました。

なにがおかしいと感じたのか確認しました。

最初に、トイレの電球が切れたそうです。
そして、棚に置いてあったグラスにパキッとヒビが入り、その棚全体がガタガタと揺れたというのです。

女性スタッフもお客さんも、怖くなって店舗の外に逃げ出したそうです。

男性スタッフは、そうっと扉を開け、店内の様子を伺いました。
女性スタッフやお客さんが言っていたように、なにか嫌な雰囲気です。
空気が淀んでいるというのでしょうか。廊下とは違う雰囲気でした。

音を立てないように、そうっと店内に入りました。

店舗の奥の壁に掛けてある絵画から黒い煙が出ているように見えました。
女性スタッフに声を掛けて、店内に入ってもらいます。

あの絵画から黒い煙が出ているように見えるか確認しました。
女性スタッフには見えていないようでした。

炎は見えていないため、実際の煙ではないようです。

いったん廊下に出て、女性スタッフにあの絵画のことを確認しました。
なんでも店のオーナーが、どこかの骨董市で購入し、昨日から飾っているそうです。
絵画を飾る前には、気味の悪い雰囲気は感じなかったそうです。

男性スタッフは1人で店内に戻りました。
その絵画は全体的に黒っぽいもので、人の顔が書かれているようです。
ただ、はっきり人の顔に見えるのではなく、人の顔らしいものが描かれているというものでした。

男性スタッフは壁から絵画を外し、カウンターの上に伏せて置きました。
伏せることで黒い煙が出てこなくなりました。

店内の雰囲気も先ほどとは変わって良くなってきたように感じます。

廊下に出て、女性スタッフ伝えました。
今日はもう営業を止めるとオーナーに連絡して、絵画も処分してもらいましょう。

絵画が原因となった不思議な話でした。

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