理知を継ぐ者(5) 足りなさについて①
こんばんは、カズノです。
実はこんど(てか昨日ですが)本を出しました。『優等生のやめかた 合本版』という本です。以前に5分冊で出していた単行本をひとつにまとめたものですが、これから話していく話題にけっこう重なる部分が多いので、気になったかたは読んでみてください。電子書籍です。
ここで本の紹介をしています。
⇒『優等生のやめかた』紹介
【モチーフ】
さて、これも去年の春頃ですが、アカデミー界隈にちょっとした波風が立ちました。飲食業界も入るでしょう。
ある大学Aの社会人向け講座で、外食産業の企業Bの運営職Cが、自社の経営戦略について「生娘をシャブ漬け」にするようなものと喩えた、あれです。Cはその講座の講師でしたが、この発言を問題視した受講生Dが抗議を行いました。
「あー、あったあった」と思いだす人も多いと思います。その後、受講生DはWebで署名活動を行い、大学Aと企業Bへの抗議を本格化しました。その経緯の報道はこういった記事が典型です。
それからその署名活動の抗議内容はこれです。
同事件の詳細は ↑ からも見られるようです。文中の「本件の詳細」というリンクからですね。三段目末尾の。いちおうここでもリンクを張っておきましょうか。
さて、ひと通り上記の内容を確認してもらえば分かると思います。これヘンじゃないでしょうか?
むろんこの署名活動はヘンだというイミです。
【タイトルの不思議】
なによりまず、ヘンなのはタイトルです。署名を訴える記事に、タイトルが2つあることです。すなわち、
『生娘シャブ漬け発言を受け、早稲田大学・吉野家に意識改革・ハラスメント対策徹底を求める!』(記事の冒頭)
『「生娘シャブ漬け発言」を受け、 私たちはもう我慢しない 早稲田大学・吉野家にハラスメント対策徹底を求める!』(その下の画像)
という2つです。
※タイトル後者では「シャブ」という単語にバッテンが付いていますが、たぶんこれは、「この単語は問題あり」という意思表示でしょう。シゴトの報告書で間違ってしまった箇所にバッテンをつけて「すみません、この文言、削除でお願いします」みたいな意味ではなく。なので「シャブ」はこの文で生きていると、この連載では考えます。「この単語は問題ありという意図」として受けとめる、ということです。
この手の署名記事でのタイトルとは、その署名/抗議活動の主旨が示されるのが一般的ですが、なんで2つもあるんでしょう?
「まあ部分々々は違ってるけど、だいたい似たようなことを言ってるんだから、そんなに気にしないでいいんじゃないか?」と思う人もいるかも知れませんが、そうでしょうか?
後者の真ん中に「私たちはもう我慢しない」というフレーズがあります。これは前者にはありません。おれはこのフレーズが気になります。特にはその中の「もう」が気になります。
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