ユメグラは終わっても、残されたゲストのユメは終わらない

サービスが終了しても、ゲストさんの思い出に残っている限り
ユメノグラフィアという存在は消えることはない。

ゲストさんが覚えている限り、そのキャストさんがそこで生きていた事は
消えることなく語り継がれていく。

VRという界隈の初期にこういうサービスがあったという事を、語り継いていく。

ユメノグラフィアがどのようなサービスか
チケット制によるVR空間内で、仮想アバターのキャストと1:1で30分間お話できるサービスである
値段は初期は3300円、最終的には4400円へ(税込み)
決して安くはない金額であったが、値段相応に対するサービスは受けることが出来た。
値段以上の経験をすることも出来た。

ユメノグラフィアというサービスの性質上、キャストxゲストの数だけ、それぞれの空間が出来ていた事だと思う
それぞれが自分たちの空間を形成し、それぞれ別々の物語を刻んでいた。

ユメノグラフィアの語源はウラノグラフィア
ヨハン・ボーデの星図からだ。
星の数だけ、キャストとゲストの空間があるという意味だろうか

サービス自体は2019年4月に発表があり、7月からβ版稼働開始
同年12月に正式版リリース、という流れである

そして翌年4月に待望のデスクトップ版、ライト版(スマートフォン等)への対応
VRデバイスがないと、、、という敷居の高さを落としてくれたのは非常に良かった
だが宣伝が足りなかったのか、あまりライト版の話題は上がらなかったが
ライト版ユーザーの方から話を伺うと、VRともデスクトップとも違う楽しみ方が出来るという。自撮り棒の気分になれる、というのは非常に面白そうだなと思った。

人と会話することが苦手な人でも、キャストさんの誘導がうまく、楽しくお話することが出来た人も多かったように思える
キャストさんの公式プロフィールや、非公式wikiが充実していたので、趣味の合うキャストさんを選んで、好きな話をしたり
俗に言う”会話デッキ”を持たずにフリートークで30分おしゃべりする
ユメノグラフィアのルーム内に置いてある、動かせるアイテムで遊ぶ
本当にそれぞれの楽しみ方があったかと思う。

人それぞれ、自分にとっても、相手にとっても良い空間が出来上がっている方々も多く、昨年末のサービス終了は本当に悔やまれる。

特にメディアでも、メタバースが取り上げられた直後の終了告知であったがために、もう少しなんとか出来なかったのかと思う
思っていた成長曲線が描けなかった、とあったが、VR事業自体がまだ初期の段階であり、これから伸びていくコンテンツになるであろうと思っていた。

ユメノグラフィア、というサービス外でもツイキャスやyoutubeを利用した配信、動画投稿も行われており、直接ユメノグラフィアで会わなくても、どのようなキャストがどういう人物なのか、というのが事前に把握できたのも良かった。全てのキャストが他の媒体で活動していたわけではないので、一概にも言えないが、全てのキャストがTwitterを利用していたので、触りぐらいならどういうキャラなのかは理解できていたと思う。

見た目で選ぶ、趣味で選ぶ、声で選ぶ、とりあえず始めましてでお会いする
ゲストさん毎にスタイルがあったと思う。
ユメノグラフィア以外でのTwitterや配信等に多く顔をだして、いざ始めましてしてみれば、「初めて会ったような気がしない」となるキャストさんに言われる事も多かった。「やっと来てくれた!待ってたよ!」とお出迎えしてくれるキャストさんもいた。
他媒体で一切交流を行わずに、突然チケットをお迎えして会いに行ったキャストさんもいた。「どうして私を選んでくれたのでしょうか?」と問われる事も度々あった。面白いことをしていて、興味が湧いたので、と
実際にお会いして話してみたらとても面白い人でもっと早く知っておけば!!と思う事もしばしばあった。


ここからは僕個人の話になるのだが
僕は割と見た目と趣味で選ぶタイプであった。
見た目の好みは非常に偏っていて、黒髪眼鏡の女性を非常に好んでいた
趣味の項目では、仮面ライダー等の特撮、洋画、アメコミヒーロー、TRPG、音楽で選んでいた。
最後の最後にハマってしまったキャストさんは、音楽趣味であったが
今や令和のこの時代に、SOUL'd OUTだなんて文脈を見たからには、会いに行かなくてはいけないと、謎の使命感に追われていた。
見た目は完全に好みと外れてしまっていたが、あの1:1の空間で、惚れない方がおかしいだろう!という錯覚まで感じてしまった。
いつしかあの空間に、実家のような安心感と似たような感覚を覚えてしまっていた。帰るべき場所というような感じで。
インドアからアウトドアまで多趣味な僕にとっては、色々なキャストさんと趣味の話で盛り上がるのも楽しかったのだが、やはり彼女との空間は何か特別な物を感じてしまっていた。
彼女からすれば多数いるゲストの中の1人であるが

似たような感覚を覚えた人も多数居たであろうと思うが、いなかったら申し訳ない
あまり恵まれた家庭で育っていなかった私にとって、暖かい家族という憧れに近い感覚を彼女がわけてくれていた、そう感じていたと今では思う。

キャストとゲスト毎にそれぞれの空間がある、と先ほど述べたが
話を聞いた所によると、キャストさんのママになっていたり
筋トレをしていたり、マヨネーズを作っていたり、と若干理解に苦しむ空間を作り上げて楽しんでいたゲストさんもいたようで、本当に千差万別の空間があったようだ。
クラスメイトや近所のお姉さん、妹のようなキャストさんも居た。

よくバーチャルキャバクラと揶揄されていたが、過去にボーイとして働いていた身や、先輩に何度も連れてかれたキャバクラの経験からみれば、完全に別の存在であった。

水商売のそれとは完全に離別できる空間があり、色々なサービス業を経験してきた身としては、そのどれとも当てはまらなかったのがユメノグラフィアであった。キャラクターxコミュニケーションサービスという、新しいジャンルのサービスが出来上がっていたのだ。

キャストさんがゲストさんと会話サービスを行い、その感想をゲストさんが
#ユメノグラフィア体験レポート として周知する、このシステムは素晴らしかった
実際に行かないとわからない空間内の雰囲気が伝わる。どのような会話をしたのか、このテーマにおいて、どれぐらいの理解があるのか等の情報が得られた。
●●さんのレポートを見て会いに行きました!というゲストさんのお話も多々聞いた。
そしてこの体験レポートはゲストさんの善意のみで出来ている。
キャストさんもユメノグラフィア運営も、強要しているわけではなかった。
完全な善意で書かれたレポートが、さらにキャストさんとゲストさんの新たな空間を作り上げて、繋がっていく
先述したウラノグラフィアで例えるならば1つのキャストさんとゲストさんの空間を星とし、それで新たに繋がっていく空間を繋ぐ、星座が出来上がり、数多の星座が集まり、星図が出来上がる。
こうしてどんどん繋がっていく、膨張する宇宙のような空間
「天の光は全て星」であるように、それがユメノグラフィアだったのだと


現在の感染症やインターネット社会で、人との繋がりが希薄になっていく社会に置いて、良い傾向であったのではないかと
これから発展するであろうVRサービスに置いて、良き礎になったのではないかと思う。
ユメノグラフィアというサービス、そこに所属していたキャストさんがいた事を「忘れるものか、この一分一秒を」


僕の好きな作品の言葉を少し借りて締めようかと思う。

ユメグラはなくなった、もういない
だけど、ゲストの記憶に、この胸に
1つになって生き続ける。




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