But.「Dandy Lion」

あなたの手の繋ぎ方が好き。
でも、最近僕たちの間には他の人達と同じように6フィート(約2メートル)のソーシャルディスタンス。

あなたに僕を笑顔にしてほしい。
でも、最近話す時はいつも毎日の不満を言い合ってしまうね。

あなたが僕の心を明るくしてくれるのが好き。
でも、最近は空も心もどんより曇っていたね。

🌧  ⛈  🌩

そばにいて、笑ったり、お話ししたりしたいね。
でも、それができないね。

慢性的に続くうまくいかない状況から抜け出せず、ちょっと寂しい気持ちが歌われていて、
私はこの曲が好きです。
Kenta Dedachi『Midnight Sun』に収録されている「Dandy Lion」。

先日、「Blue Ocean」というラジオを聴いていたら、パーソナリティの住吉さんがこの曲が好きだと仰って、Kentaさんご自身が曲の解説をされていました。少し長いですが、文字起こししますね。

これはKentaプロデュースで、Kenta100%。
(※このアルバムは、4人のサウンドプロデューサーが入っていて、この曲だけセルフプロデュースです)
これは自分のプロデュースした曲で、アルバム制作が始まって1番最後、全部の曲はレコーディングが終わったあとに、スタジオが1日空いてたんですね。そこでもう1曲録っちゃおうかっていうことになって、で、2日前に書いた曲をここでレコーディングして作ったんですけど。
Dandy Lion、たんぽぽですね。たんぽぽの綿毛が飛んでって、でも違う地に落ちちゃって。自分の行きたくない地っていうか。で、そこで、なんだろうな、一緒になれないけど、またがんばってそこで花を咲かせて、で、綿毛でまた飛んでったら一緒に会えると良いねみたいな。そういう切ない感じのソングですね。
(2022.8.2 Tokyo fm「Blue Ocean」より)

ふたつのたんぽぽが寄り添って咲いていたけれど、時が経って綿毛になり離れ離れになってしまい、お互いを恋しく思いながら別々の地で花を咲かせ、また綿毛となり再会を願う。
白昼夢のような、おとぎ話のような、祈りのような歌詞です。

先に書いたように、この曲は、こういうことが好き、こういうことがしたい。でも、今はそれが無理。と、「But」が効果的に使われていて、「But」が繰り返される構造です。
「But」=逆接はネガティヴな気分を連れてくるけれど、現状をはねのける力も持っていて、
言葉の中でも強い意味があります。

この曲の中でも印象的な3バース目の歌詞はこうです。

If heaven's real,then so is hell.
And it sure feels like I'm in hell.
But it's okay.We're dandy lion.
Dandy Lion

天国が本当にあるなら、地獄も本当にある。
僕はいま地獄にいると思う。
でも、問題ないよ。僕たちは「たんぽぽ」だもの。

たんぽぽだから、また頑張れば飛んでいけるよ、と。
続く歌詞はこうです。

I wanna keep holding on.
No matter how tough it gets.
I wanna believe that all these pain.
Could somehow make me strong.
So I could help the world go blooming in love again.
Dandy Lion

どんなにつらくても、耐え続けたい。
この痛みが僕を強くしてくれると信じたい。
この世界が再び愛にあふれるために。

世界が愛の花であふれたらどんなに良いだろうと、この曲を聴きながら思います。
ギター1本で素朴に歌われているから、これは誰もが願っている願いだと身近に感じられて、なおそんな風に思います。
(HPによると、レコーディングは1発録りだったようです)

曲の最後は、8月の終わりにやっとアメリカに帰れる彼らしい今の気分ですね。

We flew miles and miles 
and landed on this plane.
Dandy Lion

長ーい間頑張って、ひとりぼっちで飛んできました。綿毛が落ちるところは地面とは限らない。飛行機に乗りました。

▽HPより。
アルバム特設サイトへのリンクがあります。

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