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読んだ本📕 無人島のふたり


無人島のふたり
120日以上生きなくちゃ日記       山本 文緒

2021年4月、私は突然膵臓がんと診断され、その時既にステージは4bだった。治療法はなく、抗がん剤で進行を遅らせる事しか手立てはなかった。

前書きから

すい臓がんで亡くなった身近な人がふたりいる。どちらも発見されてから3ヶ月程で亡くなている。山本さんの場合、抗がん剤治療で延命して効いても9ヶ月、治療しなかつたら4ヶ月と言われたとか。抗がん剤はあわなくて、抗がん剤をしない選択をする。

ご主人と二人で無人島に流されてしまったような気持ち。

潔くこの世を去ればいいのに、ノートにボールペンでちまちま書いてしまうあたりが何というか承認欲求を捨てきれない小心感がある。
せめてこれを書くことをお別れの挨拶として許して下さい。

「ばにらさま」という短編集は、癌がわかる前に書かれた物だと思い込んでいた。まだ未完の状態だったとは。読んだ時に、人の生死に関しての事が多いなと感じた。まさかそんな状態で書き上げられたんだな。

それにしてもがんって、お別れの準備期間がありすぎるほどある。


ばにらさまの短編のどこかにも、同じような文があった。

『ばにらさま』の発売を見届け、見られて良かったと!
良かった。もう腹水を抜く状況だった。

その1ヶ月後10月13日自宅で永眠される。

つらい話をここまで読んで下さり、ありがとうございました。病気であろうが、なかろうが、読んで下さる方がいたからこそ私は生きてこられたなぁと
本当に心から思います。

9月21日の日記より抜粋

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途中、ウルっとなりながらも一気に。

山本さんは、作家さん!なんだな。
本当に作家さんなんだな。亡くなるまで。

山本さんの本を読みながら
令和元年に亡くなった父の事も思い出し。

父とは、ふたりで亡くなるまでの間、葬儀の話も含めて話し、
わたしが喪主をした。父は、奇跡のように、ほとんど苦しむことがなく
癌で亡くなった。亡くなる直前まで意識があった。

寝る前に歯磨きをしていたら泣けてきた。
涙が止まらなかった。

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