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中小企業の一人情シスが2ヶ月間で電子帳簿保存法に対応させるまでの軌跡

2021年10月30日 きっかけ

きっかけは情シスSlackの投稿でした。

情シスSlackより

このリプライの中で、

今回の改正は規模問わず全ての企業が対象という認識を持っています。
罰則も強化されるみたいなので、対応を検討した方が良いと思います!

情シスSlackより

「んんーーー!なんだこれは!」と、お恥ずかしながら完全にノーマークでした。
そこから情報収集をして、

  • JIMA 電子取引 取引情報保存ガイドライン

  • 国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

  • 国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】

  • 国税庁 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】

  • 国税庁 お問い合わせの多いご質問(令和3年11月)

全て読みました。

2021年11月1日

結果を、上司兼取締役へ提言しました。

社内チャットより

厳密に言えば、PDFに限らず電子データならばOKだし、保存要件も色々あります。まずは相手が理解しやすい内容で伝えるのが大事ですね。
その後、総務・経理部に確認してもらったところ

「電子帳簿保存法の適用を申請してないから対応しなくて良い」

と考えていたようで、
「あっ、これ進研ゼミ(情シスSlack)で見たやつだ!」
と心躍りました。

2021年11月3日

いつもお世話になっている商社やベンダーの方に相談し、
電子帳簿保存法に関する資料を入手することに成功。

2021年11月5日

外部資料を社内に共有することで、ようやく信じて貰うことが出来ました。

それからは経理部門の長が主体で進めていくこととなり、
私は前述した資料を関係者に共有しました。
そして各自で事実確認やお勉強のフェーズ。
社内の方針を決める打合せの日々が続きます。
案の定、取引先各社で対応を検討しているところは無く、そのような事実すら知らない所ばかりでした。

2021年11月26日

経理部門主催で全部署の役職者・実務担当者を対象とした説明会が開催されました。
当日は某大手商社様に電子帳簿保存法に関するウェビナーを主催して頂きました。

・・・結果は、

講師側:電子帳簿保存法の内容や経緯を説明する。
受講者側:来年1月からどうすればいいか聞きたい(&勉強不足)

話が噛み合うはずもなく、どんなに論点がずれようと人を集めた手前粛々と進行していきました。
中にはきちんと勉強して来られた従業員もいたのですが、曰く「無駄な時間だった」と

2021年12月2日 システム開発

「kaze(私)くん電帳法アプリをFileMakerで作ってくれない?」

ITわからんな人が多い会社なんです。
※ちなみにFileMakerとは

Claris公式サイトより

2021年12月7日

私「できました。」

将来的には全ての税務関係署類を電子データで保存することになりそうだと考えていたので、電子帳簿保存法に対応しているSaaSを検証していたのが幸いでした。
とはいえ、JIMA認証タイムスタンプを勝手に付与することは出来ないため、
施行規則第8条第1項 第4号(黄緑色)を満たした、施行規則第8条第1項 第3号(水色)に準拠するシステムを開発しました。

JIMA 電子取引 取引情報保存 ガイドライン

なぜこうなったかというと、

ファイルサーバーに実務担当者が「取引先_取引年月日_取引金額」でリネームして保存していくのは負担が多きすぎる、それらを少しでも軽減するため。

多くの企業がこれで頭を悩ませているのではないでしょうか?
法律が変わらない以上、これを楽にするにはOCRを備えたJIMA認証ソフトを導入するしか無いのではないでしょうか。
※現状、会計システムとの兼ね合いがあるため選択肢が少なすぎる

というわけで、

  • 自社開発のシステム

  • 自社開発したシステムのマニュアル

  • 電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

を揃えて、

2021年12月17日 結末

管轄する税務署へお伺いを立てに行きました。

2021年12月23日

国税庁から解答があり、

「事務処理規程も定めてあることから当該システムを利用した運用で問題はないだろう。」※意訳


〜完〜


ファイルサーバー保管に比べてほんの少し楽になっただけで、実務者の負担は増えたままです。
今後電子帳簿保存法がどう変わる不明ですが、早めに何とかしてあげたいですね。

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