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お笑いライブでオーパスツーを観よう

お笑いのライブシーンを語るうえで、どうしても言及しておきたいコンビがいる。
松竹芸能所属の「オーパスツー」だ。

基本的なプロフィールは事務所公式で確認できる思うので下記のリンクをご覧たきたい。


さて、早速だがここからは恒例の「イタいファンの私見」モードに入っていきますので、くれぐれもご注意を。

オーパスツーは大阪の劇場を中心に活動しており、漫才を主なネタとしている。
しゃべくり漫才コント漫才どちらを披露することもあるが、共通して軽快なテンポでボケとツッコミの掛け合いが繰り返される王道のスタイル。ツッコミのしんじょうさんの話題フリに対して、ボケの大ちゃんが真剣に応えようとすあまり、次第に狂気を孕んでいくパターンが多いだろうか。だんだんと目がキマってゆく大ちゃんと、それに翻弄されるしんじょうさんの困り顔という、ふたりの表情の対比も絶妙なスパイスとなっている。

関西の賞レースやネタ番組、ネット配信に出演する機会も増えてきている注目度の高いコンビだが、オーパスツー最大の魅力は、なんと言っても劇場での活躍であろう。

劇場や寄席でお笑いを観る醍醐味のひとつに、演者と観客の距離が近く、双方が互いをしっかりと意識した状態でネタを楽しめるということがあると思う。
オーパスツーは、この観客を意識した空気づくりが絶妙に上手い。

まずネタの冒頭、オーパスツーのふたり(特に大ちゃん)はその日のライブの他のどの芸人よりも大きい声で袖から登場する。そこでまず、観客は「何だか賑やかな人たちが来たぞ?」と、ふたりに意識を向けることになる。その後ふたりは、センターマイクにたどり着くまでの僅かな時間に、それぞれしっかりと客席を見渡し、観客と目を合わせながらネタに入っていくのである。

ネタ中、大ちゃんの発言はどんどん狂気を増していく。にも関わらず、まるで自分の言い分が正しいかのように客席に問いかけてくる。それに対して、初めは律義に訂正をしているしんじょうさんも、次第に手に負えなくなっていき、ついには助けを求めるような表情を客席に向け始める。

この、ボケとツッコミの掛け合いたる漫才に「観客である自分たちも一緒に参加している感」こそ、劇場に足を運ぶ最大の良さであり、そのなかでもオーパスツーを、ぜひ現場で観てほしいと言える理由なのだ。

オーパスツーを推すもう一つのポイントに、「劇場MCの上手さ」が挙げられる。
この記事をわざわざ開いているような奇特な人にとっては常識かもしれないが、お笑いライブでは、ネタの他に、オープニング・エンディングトークやコーナーなど、フリートークの場面が少なからずある。
こういった場面でのMC(進行役)というのは、かなり重要なポジションであり、芸人によって得手不得手もあったりするのだが、ここでもオーパスツーは「あー、やっぱり劇場で生でお笑いを見るのっていいな」と思わせてくれる。

MCの上手さというのはネタの面白さとはまた違うジャンルのものだ。個人的な好みの問題もあるが、単体でバンバン笑いをとれることよりも、舞台全体(+客席)を把握し、円滑に場を回せることが重要であると思う。

劇場MCにおけるオーパスツーは非常に優等生的だ。
しんじょうさん主導で進行し、大ちゃんが茶々を入れる、漫才的で王道なスタイルを軸にしつつ、周りの芸人ともやりとりを進めていく。
個性あふれる芸人たちのフリーなトークの場面をまとめつつ、きっちりと進行するのはなかなかの技術が必要だろうが、オーパスツーはこれが絶妙に上手い。

ガッっと自分から前に出るタイプの芸人を無下にはしないが、振り回されてグダグダにはならないように努めてくれるし、あまり発言していない芸人に振るエピソードも用意してくれている。
無難なようではあるが、あくまできっちりと進行を優先し、それていて適度に他の芸人の魅力も引き出してくれるので安心感と安定感があるのだ。
そして何より、自分たちが目立つための強引なボケや、演者及び劇場に通い詰めている人にだけしか伝わらない身内ノリをあまりしない(”全く”ではなく”あまり”しないところも結構重要なポイントだ)。

この、優等生的なMC技術は、先述の「狂気的なキャラクターが魅力のネタ」とは相反しているようにも思えるが、ベースの部分にはやはり「会場の観客をしっかり意識していること」が大きいように思う。

劇場で生で見るオーパスツーは、会場を沸かせることのできるパワーを持ったお笑い芸人であると同時に、観客全員にとって、「他でない"私"を楽しませてくれる芸人」なのだ。

オーパスツーは関西の劇場を中心に月あたり15本以上のライブに出演している。
ぜひ現場に足を運んで、その一体感を体感してほしい。

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