試される人生

長いこと生きていると
「これは、“なにやら大きなもの”に試されているんだな」
という場面に出合うことがある。
それは強さだったり、欲深さだったり、善悪の判断だったり。

今まさに私の中の天使と悪魔は戦いの渦中にある。

マンションのベランダに、長い間5円玉が落ちているのだ。
それは隣との間仕切りのちょうど真下。
どちらの持ち物かは、位置的に半々。

決して5円が欲しいわけじゃない。

ただ、洗濯物を干す度に
気になってしゃーないのである。

気になるから拾ってもいいのだけれど
“なにやら大きなもの”はそんな私を見てどう思うだろう。

5円玉に私の手が触れた瞬間
「やっぱりアナタは、自分の中の悪魔に負ける弱虫ね。
人様のお金に手を出す強欲な悪人ね」と
私の手首をつかみ、罰を下すに決まっている。

よし!
ならば2円50銭のおつりを隣の敷地に押し込んで
私が5円をいただこう。
これで円満解決。半分ずっこ。明瞭会計。
イエイ!じゃないか。

翌日、ベランダをみたら
その2円50銭がなくなっていたら
きっと隣人も試されていることに
心を痛めていたということだ。
とても美しい解決策ではないか。

今の日本に50銭ってどこにある?

私はいつも試されている。

September 19, 2008

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