モモ
日々溢れる、星の数程の出会いについて書いています。 全て実際にあった出会いを物語調にしています。 ほっこりしていただけたら嬉しいです。
翔子はアイランドホッピングツアーにフィリピン人の友だち3人と参加していた。 そのツアーは朝ボートに乗って、お昼はボートのクルーがボートの上で料理して準備をしてくれ、昼食後にアイランドホッピングを継続して夕方に本島に戻ってくるものだった。参加者は17人。 全員接しやすく良い人たちだった。 その中に3人中国人がいた。うち1人の男性は日本語と英語も堪能だったから彼は翔子とも翔子の友だちとも問題無く話せた。彼の友だちカップルは中国語以外話せなかった。 とても明るくて素敵な2人だっ
由利は実花と朝までクラブで遊んだ後、実花の家に一緒に帰ろうとクラブを出て駅へ向かうところだった。 眠さも限界でぼんやり歩いていたら突然近くにいた4人組の男たちが実花に、おう!と声を掛けた。その瞬間、実花も 「先輩!お久しぶりです。」 と大きな声で挨拶をした。 実花が由利に4人組の1人が中学の先輩であることを説明した。由利は取り敢えず笑顔で挨拶をするも、そんなことより早く帰って寝たかった。 その先輩だという男が実花に話し掛けてなかなか終わらない。そうこうしているうちに、残
理世は仕事の休憩時間に移民管理局へ来ていた。ビザの手続きでIDを受け取りに来ていた。受け取るだけだから、会社から往復の時間を入れても1時間もあれば十分だと思っていた。 念の為、午後の部が始まる前に着いているようにしようと早目に行ったのだが、既に何人か待っていた。 午後の部が再開しても一向に理世の名前は呼ばれない。1時間は優に過ぎてもまだ呼ばれる気配が無いので理世は焦っていた。 待つしかないので焦っても仕方が無いことは分かっていたが。 部屋の中は既に沢山の人がいた。理世は部屋
文香は数珠を買おうと、高野山のお店にいた。仏教系の幼稚園出身の文香はずっと、幼稚園でもらった数珠を使っていたが、そろそろきちんとしたものを買った方が良いのではないかと思っていた。 沢山ある様々な種類の数珠を前に、どう選ぼうか少し戸惑っていた。祖母は108個の木でできた数珠を使っていたが、文香は使いこなせる自信が無かった。 パッと目を引いたのがピンク色の透明の数珠。とてもキラキラしていて綺麗で一瞬で目を奪われた。ただ、今までピンクの数珠を持っている人を見たことがない文香は、
小学生の梓は弟と父親とゲームセンターにいた。普段は厳しい父親だが、この日は珍しく梓と弟に数百円ずつお小遣いをくれ、この分でなら遊んで良いと一緒にゲームセンターを回ってくれた。 そのゲームセンターには競馬ゲームの様なメダルゲームがあり、それぞれの席に着いた人たちが自分のコイン投入口にメダルを好きな枚数入れ、順位を予想するものだった。予想が当たれば配当具合によりメダルが払い戻される。 梓も弟も一通りゲームセンターをまわってから、このゲームに辿り着いた。 もうメダルも残り少なか
美理は婚約者と彼の姉弟、そのパートナーたちとライブハウスに入る為、外で並んでいた。婚約者の姉弟はその街に長く住んでいて、彼らのお気に入りの地元のバンドの演奏日だった。 エントランスで美理たちの番になり、スタッフの顔見知りの彼の姉弟、パートナーたちはHi!と挨拶するだけで終わった。婚約者はIDカードを見せたが、そこで美理は何も持っていない事に気付いた。特に遠出をするわけじゃないし、とパスポートを持っていなかった。財布にあるのは日本の運転免許証だけ。しかし、日本の免許証は誕生日
マッチングアプリでマッチしたばかりの会話。 はじめましてから始まり、良いテンポで会話が自然と繰り広げられる。 お互いに外国に住む者同士。 同年代で彼が少し若い。 自然と家族の話や家族との過ごし方の話にもなる。 親も老いてくるので、遠く離れてすんでいると家族との関わり方、家族との距離で悩み始めるお年頃。 「親が年を取ってきたからね。だから最近はイタリアで両親と時間を過ごす事が多いよ。」 と言う彼。彼は完全リモートで世界の何処から仕事をしても良いらしい。 基本はオランダに住
由紀は40歳年上のカナダ人女性ルイーズに招かれ、由紀の彼氏と彼女の家にいた。ルイーズは由紀と歳がそう変わらない彼氏と同棲していた。 ルイーズは由紀の祖母に近い歳だが、ビジネスを幾つかしているだけあり、とてもパワフルで好奇心に満ちていた。ルイーズとは共通の友達も多く、1ヶ月に数回は集まっていた。 ルイーズの家はいつもとてもお洒落で美しく保たれていた。料理が得意なルイーズがこの日は4人でのディナーの為に腕を奮ってくれていた。 由紀は彼氏と問題を抱えていて暫く距離を取っていたこ
里美は夏休みの学校の廊下に母といた。 高校に入学して初めての三者面談だった。 里美は相変わらず、学校という仕組みが好きになれなかった。 そもそも集団が苦手なのだ。幼稚園の時点で母親に 「どうして毎日同じ人に会う為に、同じ場所に同じ時間に行かないといけないの?」 と聞いていた。母に 「里ちゃんは、お友達や先生に会いたくないの?」 と聞かれたが 「うーん。会いたいけど、毎日は会わなくていいかな。」 と答えていた。 幼稚園の時点で既にこの状態だったので、学校というものに馴染める
亜優子はエジプト人友達のバスマとアラビア料理の店にいた。 タジン鍋が食べたかったのだが、なかなか良いお店が見つからず、亜優子はバスマにタジン鍋を知らないか聞いていたのだ。忘れた頃にバスマが亜優子にタジン鍋が食べられるお店があると連絡をくれたので、こうして一緒に来た。鍋とはいえ1人用の鍋に用意されるので、亜優子はベジタジンをバスマはカプサを注文した。 それぞれの注文が来たので、楽しく話しながら食べていると突然バスマがウエイターを呼んでアラビア語で何かを伝えている。 「どうし
百合は綺麗な女性が大好きだ。美しい人は見ているだけで楽しい。 少女漫画の定説は美女は意地悪だが、百合はそれは真実ではないと思う。 実際は美女ほど心に余裕があり、自身も努力をしているので、美女ほど人に優しくする余裕があるし、人を馬鹿にしない。内面は外見に表れる。は本当だと思う。 百合は普段行っているサロンのジュエリー販売会に招待された。 そこのサロンはスタッフがみんな美しくて優しいが、その中でも特別に1人百合のお気に入りの瑛里華がいた。 指輪やネックレスを試着しながら写真を
美夕はとてもシャイな小柄の小学生だった。 毎朝の集団登校はやんちゃな年下がいたり、怖そうに見える上級学年の人がいて、どう反応していいのか分からずに苦手だった。ただただ気詰まりする時間だった。 それでも毎朝登校できたのは、雨の日でも傘をもって毎朝欠かさず校門に立つ校長先生の存在があったからだ。毎朝1人で校門に立ち、朗らかな挨拶と笑顔で児童を迎え入れる。喋りかけてくる児童には笑顔で応答し、多くの児童とじゃんけんをしていた。 美夕は恥ずかしくて話しかけられなかったが、毎朝挨拶は欠
桃子は婚約者の友達の結婚式に参加する為、道中のトランジットの為のセキュリティゲートにいた。 人生初のトランジットが必要な旅で、到着日の翌日が結婚式だったので、バゲージロストしても結婚式出席に影響がなるべく無いように、結婚式出席に必要な物は全て手荷物にしていた。 結婚式の事に気を取られていた桃子は眉を整える為のハサミが機内持ち込みできない事をすっかり忘れていた。ゲートのオフィサーにハサミを発見され 「このハサミ、どうする?もし必要なのであれば、預け荷物に入れに行ってもいいわよ
その日は特に用事があるわけでもなかったけど、ふと街へ行こうと思い立ち、陽花里は駅の待合室に座っていた。 電車は15分に1回来るが、寒くて風が強い日だったので待合室の温かいスペースでホッとしたかった。幸いなことに先客は無く1人静かな時間を楽しんでいた。 ガラリと待合室のドアが開き、小柄な老女が入ってきた。なんとなく目が合ったので無言で会釈だけした。老女は陽花里から数個席を空けた隣に座った。暫く無言が続いたと思ったら、闇雲に老女は陽花里の隣に移動してきた。陽花里はどうしたのだろ
美玖は電車に乗るため自動券売機の前にいた。値段を確認する為、券売機上の表を見上げ、券売機のボタンを押そうとしたところで突然手首を掴まれた。 びっくりした美玖が手首を掴んだ人を見ると小柄なおばあさんがおもむろに美玖に小銭を握らせてきた。またもや美玖が面食らっていると 「切符買って」 と頼まれた。 「何処まで行かれるんですか?」 と行き先を確認し、表で値段を確認した。 券売機でおばあさんの分の切符を買い、発券された切符とお釣りをおばあさんに手渡した。その頃には美玖は落ち着きを取
華はメルボルンを訪れていた。メルボルンには友達が多く住んでおり、その友達に共通点は沢山あるのに繋がりがないという事で、華がメルボルンを離れた後も彼らが繋がりを持てるように、彼らを集めて1晩パーティーをしようと目論んだのだ。きっと彼らは気が合うはずだと確信めいたものが華にはあった。 華はAir bnbに泊まり、平日の昼間は友達は仕事なので1人で街をぶらぶらしていた。その中の1日、華はヤラバレーのワイナリーツアーに申し込んだ。 朝の10時から夕方5時までの7時間コース。 ワイナ